冬の寒い季節に本番を迎えるジビエ料理。
鳥獣を仕留める技術や処理の仕方によって味は大きく変わり、個体ごとの特性は一期一会ですから毎年のお楽しみでもあります。
今回はジビエ料理の評判が高い東京都内のレストランを3軒、ご紹介いたします。
1.厳選食材をリーズナブルに味わえる、フレンチ好きの強い味方
レストランユニック(東京都/目黒駅)
フレンチ好きから多くの支持を集める「レストランユニック」。
ひとつひとつの食材に対して、どうやったら一番美味しく食べていただけるかを、飽きる事なく考え続ける中井雅明シェフ のお料理は洗練の極みを感じます。
どれも食材の美味しさを感じるのですが「塩気がきつい」や「脂が強すぎる」といった印象を受けません。
濃厚なサルミソースと一緒にいただく真鴨や月の輪熊は、食べる手が止まらなくなります。
噛み締めるたびにソースと肉に閉じ込められた旨味が混ざり合い、食べ慣れた仕立てのメニューでも、その美味しさにあらためて深い満足感を得られます。
調理風景が見られるカウンター席は3席のみ になっていますが、ここでワインを飲みながら次のお料理を待つひとときは至福です。
2.人の繋がりと季節の食材を大切にする、グルマンに愛されるフレンチ
レストラン マノワ(東京都/広尾駅)
2021年11月に10周年を迎えた「レストラン マノワ」。
山梨県・南アルプスの自然に囲まれて育ったオーナーソムリエの中村豪志氏は、多くの猟師と親交があり、質の良いジビエを安定して入手する事ができます。一頭丸ごと仕入れるからこそ何を食べて育ってきたのかが分かり、さらに量の少ない内臓部分をはじめ、より一層食材を吟味したお料理を提供する事ができます。
中村氏の思いをしっかりと形にしているのが、名店での修業を重ねてきた青木一興シェフ。
猟師との固い信頼関係があるからこそ成せる技ですが、なかなか味わう機会の少ないライチョウやヤマシギといった、希少なジビエを堪能できる事が多いのも魅力です。
質の良いジビエからは繊細で滋味深いお出汁が取れるので、その出汁を生かすための淡いソースを付け、それぞれの部位を食べ進めていくと、重層的なうま味が口の中に広がります。
こちらも4席限定でカウンター席の用意があり、青木シェフの調理を眺めながら、ご自分でも狩猟をされる中村氏のお話しを楽しむ事ができます。
3.豊かな山の幸を表参道で味わう極上のご褒美フレンチ
LATURE(東京都/表参道駅)
美味しいジビエ料理を提供したいという思いから狩猟免許を取得した室田拓人シェフは、
多くの人にジビエ料理を楽しく味わわせてくれる名人です。
お客様それぞれの経験値によって、どのジビエをどのような調理法で提供するかを綿密に計算するのは難しい事ですが、それが「LATURE」 の真骨頂と言えるかもしれません。
鹿と熊を組み合わせるなど、一皿に複数種のジビエを盛り合わせるの も魅力的。それぞれの肉が、魅力を主張しながらも見事に調和が取れています。
鉄板のサルミソースはもちろん 、カカオを使ったソースも肉そのものの美味しさの輪郭をより際立たせる相乗効果があり、食材のポテンシャルをしっかりと引き出しています。
インテリアやお料理の仕立てにも、その時々の食材と出会えた大切さを感じられるような
プレゼンテーションがあり、自分が充実した時間を過ごしている事を実感 。
調理風景がよく見えるカウンター席のご用意もありますが、タイミングを見て室田シェフが客席全体に足を運んでくれる心遣いには自然に笑みが出てしまいます。
今回ご紹介した3軒ともに、お魚や付け合わせのパンなど、至るところまで美味しく、その魅力はジビエ料理だけにとどまりません。
どのお店にも共通しているのは、季節の豊かな食材の美味しさを、多くのお客様に知ってもらいたいという強い思いを持たれているという事。皆様もぜひ、冬からの贈り物を味わいに足をお運びください。