「日本料理 四四A2」グルメレポ。広尾に佇む伝統とおもてなしの日本料理に舌鼓

大人が楽しめる名店が軒を連ねる東京・広尾。そんな街で、2016年に開業した「日本料理 四四A2」は支持を集め続けてきました。本日は、一休.comレストランがプロデュースするプレミアム美食メディア「KIWAMINO」のためにご用意いただいた特別コースを味わいながら、夫婦二人だけで切り盛りする小さな日本料理店の人気の秘密を皆様にご紹介いたします。

広尾のひっそりとした住宅街の中に、ポツンとたなびく小さな白い暖簾。店内に入ると、シンプルな造りに木の温もりを感じる心地よい空間が広がっています。温かいおしぼりをいただいて、早速特別コースが始まりました。

最初は、「栗の焼き胡麻豆腐」。熱いうちに箸で割ってみると、湯気とともに上品な栗の香りが。昆布出汁で炊いた煮汁を使って胡麻豆腐に仕立ててあり、甘味と塩味のバランスの妙を楽しみながら、さながら胃袋を起こしてくれるおめざな一皿でした。

お酒は、「月の桂 大極上中汲 にごり酒」を。とろみがありしっとりとしたテクスチャー、しつこさのないお米の甘さが料理の邪魔をせず、栗の美味しさをより一層感じられます。胡麻豆腐と一緒によく噛んで飲むと、すり流しを食べているような気持ちになる好相性でした。

続いては、「フカヒレの揚げ出し」。昆布出汁が染み渡ったフカヒレは、噛めば噛むほど旨味が溢れ出てくる美味しさ。これは日本酒が止まりません。プチプチッとした食感のフカヒレが口の中でほどけていく瞬間は、思わず頬が緩んでしまいます。

ここで、秋限定の「貴 特別純米 ふかまり」をいただきます。丁寧に熟成されたお米の甘味と旨味がバランスよくまとめられている、まさにふかまりを感じる一杯。スイスイ飲めてしまいますが、温度が上がってくると酸味よりお米の穏やかな滋味が感じられ、また一興です。

いい香りがしてきた、と思っていたところに炭火でじっくり焼き上げた太刀魚のお寿司が登場です。皮目はパリッと、身は火が入っているのに生のようなぷっくりとした食感です。噛み締めた瞬間、皮と身の間に挟まれていた太刀魚の旨味のエキスが口の中一杯に広がり、多幸感に包まれました。

気持ちを落ち着けるように、純米酒の「稼ぎ頭」を。精米歩合70パーセントでアルコール度数も低めなので、アペリティフや日本酒が苦手な方にも飲みやすい純米酒。フルーティーですっきりとした酸味が、繊細な太刀魚や酢飯と滑らかに溶け合う。絶妙の塩梅でした。

次は、魚卵好きの私には嬉しい「いくらのお浸し」。出汁の浸かり具合や塩味の加減、皮が柔らかくとろける触感は文句のつけようがありません。秋になってもこれだけの美味しいいくらをいただけるのは、食材を見る目の確かさと丁寧な仕事があってこそですから、ありがたいなと思いました。

いくらのお供には、人気の天青シリーズから純米吟醸の「千峰」。この日は、希少なお米である「愛山」で仕込まれた一本を。口当たりは優しいのですが、飲み進めるとお米の豊潤な美味しさが強く感じられます。一口飲んではうっとり、いくらを食べてまたうっとり、この反復が至福でした。

続いてこの時期の日本料理の定番、「鱧と松茸のお椀」です。鱧のしっとりとした食感と、松茸の噛もうとすると少し押し返してくるような弾力とのコントラストが楽しいです。それらの食材の旨味が溶け込んだお椀の汁は、深い滋味を感じさせてくれ、いつまでも飲んでいたいと思えます。

これは燗酒が飲みたいなと思い女将さんに伺うと、丁度準備していましたとのこと。以心伝心で登場したのは、純米酒「秋鹿」の稲穂ラベル。65度で燗つけしたので、少し食べ進めた後に55度くらいまで温度が下がってから飲んでみてくださいとのこと。お椀の後に飲んでみると、酸味が和らいでまるで出汁のような旨味を感じ、お米の美味しさを深く味わうことができました。

女将さんの接客の目の行き届き方、騒がしくないのに俊敏な動きの秘密を伺ってみると、以前にバーテンダーの経験もあるとのこと。会話も話題豊富で、なるほど納得でした。

お造りは鯛と雲丹に、白トリュフ。お醤油やお塩はつけずに、雲丹の塩味と白トリュフの香りを調味料として鯛を食べるお造りです。軽く昆布締めし熟成された鯛に、雲丹の塩味が違和感なく合います。
白トリュフもふわふわに削ってあり、口に運ぶ分量を箸で調節できるので見事に調和します。飲み込まずに口の中でずっと噛んでいたいと思う一皿でした。

鍋島の中でも特に希少な、兵庫県特A地区の「山田錦」のみを使用した大吟醸をいただきます。洗練された、透明感のあるジューシーな味わい。一口飲む度に広がる、爽やかな吟醸香は格別です。

ここでかわいらしい包み紙とともに、「毛蟹と松茸のコロッケ」がきました。割ってみると、毛蟹も松茸もこれでもかというくらい詰め込まれています。

包み紙を使ってハンバーガーのように頬張ると、もう言葉が出ない美味しさです。伝統的な日本料理の魅力をしっかりと伝えつつ、新しい発想の料理も多種多様に味わわせてくれるのが嬉しいです。

日本酒で通すかと思いきや、現れたのは白ワインの「ドメーヌ・ルフレーヴ マコン ヴェルゼ 2016」。
柔らかい果実味とキリッとしたミネラル感が、コロッケのクリーミーさにぴったりと合います。

ほろ酔いを感じながら、「黒イチジクの白和え」を。ホッと一息つける優しい甘さです。最後まで寛いで幸せを感じてほしいという、おもてなしの気持ちが伝わってきます。

黒イチジクの甘さと合わせてみてくださいと、これまた希少な純米大吟醸の「花陽浴 直汲み」を。パイナップルの様な甘さですが、しつこさはなく清涼感のある軽やかな余韻がたまりませんでした。

コースも終盤、「黒毛和牛サーロインのしゃぶしゃぶと天然舞茸の天婦羅」です。舞茸が立派過ぎてお肉が見えないので、一口食べてみると天然ならではの豊かな香り。そのままサーロインも食べてみると、舞茸の旨味成分と相まって美味しいの一言。残りの舞茸を汁に浸してもう一度サーロインと一緒に食べてみるとたまらなくなり、赤ワインと一緒に味わい尽くしたくなってしまいました。

ここで本日最後のお酒、「シャトー・レゾルム サン ジュリアン 2009」。
重厚で骨太なタンニンが作り出す力強い味わいが、舞茸の濃厚な旨味成分ともしっかり渡り合い、サーロインの美味しさにも更なる深みを与えてくれます。この日は、終始素晴らしいペアリングでした。

締めのご飯は、「銀聖の吹寄せご飯」と「香の物」、「茗荷と京揚げの味噌汁」です。遠火と近火を繰り返して焼き上げた銀聖は、身はふっくら、皮はパリッとしているのにジューシーで見事な火入れでした。

美味しい鮭、ご飯、野菜が一つになって、心もお腹もすっかり満たされました。

デザートは、お店の名物でもある「クリームチーズプリン」。季節ごとに旬の果物と合わせますが、この日はピオーネでした。

高知の牛乳と北海道のクリームチーズが使われており、濃厚な香りと爽やかな甘さが魅力です。あっという間に食べ終わり、お代わりしたくなってしまいました。

どのお皿からも、四季ある食材の持ち味を最大限に活かした料理を届け、お客様に幸せを感じてもらえるように努められている真摯な気持ちが伝わってきました。お酒も多様なものを温度やグラスを変えたりして最適解を常に探されているとのこと、ラインアップからその心意気が伺えます。

お見送りの際に、心からの笑顔でお客様を送り出されているのも印象的でした。
年代問わず、大切な人をもてなし、もてなされたい。そんな日に、幸せになれる日本料理店です。

日本料理

日本料理 四四A2

東京メトロ日比谷線 広尾駅 2番出口より徒歩10分

アクセス
住所 東京都渋谷区恵比寿2-13-10 レンブラント広尾 1F

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※こちらの記事は2020年01月04日作成時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

橋本 恭一

美味しいお酒とお料理を求め続ける 都内屈指の胃袋&肝臓フル回転系ライター。 和洋中ジャンル問わず、王道の古典料理から イノベーティブ系のお料理にどんなお酒が合うかを ひたすらに追い求めており、食前食後などのバーの 楽しみ方も皆様にお伝えしてまいります。
【MY CHOICE】
・さいきん行ったお店:ナスキロ/サエキ飯店/赤坂 らいもん/鮨 みうら
・好きなお店:レストラン キエチュード/ラ クレリエール/私厨房 勇/トラットリア ダディーニ
・自分の会食で使うなら:くろ﨑/Les Chanterelles/日本料理 晴山/の弥七
・得意ジャンル:フレンチ/イタリアン/バー
・好きな食材:サルミソース/真鱈の白子/生トリ貝

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