「銀座大石」大石義一氏インタビュー。独立後の進化と北島亭イズムの継承

フランス料理の名店「北島亭」の味を16年間支えてきた大石義一さんが、銀座で独立。フランス料理好きの方には、感慨一しおの方も多いのではないでしょうか。開業された「銀座大石」には予約が殺到し、連日多くのお客様で賑わっています。今回は、人気店からの独立を果たされた大石さんが歩いてきた道のりと、その思いをインタビューいたしました。

※この記事は2020年2月に取材した情報をもとに制作しました。

料理の楽しさに目覚めた修業時代と、面接前日の運命の電話

―料理人を志したきっかけを教えてください。

早く社会に出たいという気持ちがあって、姉の紹介で高校生の時に居酒屋でアルバイトを始めました。その頃は、妹の面倒を見るような気持ちで料理をするくらいで、料理人を志していたわけではありませんでした。しばらく働いていると魚屋をしていたという社員が上司となり、魚の扱い方から料理を教えてもらい、料理が楽しいと思うようになっていきました。

興味が出てきた料理を本格的に極めたいと思い、地元にあったレストランに志願したのですが、募集が終わってしまっていて。でも、そこからホテルの料理人の仕事を紹介してもらえました。面接の前日に、たまたま「北島亭」の北島素幸さんからホテルの料理長(北島さんの後輩)に、誰か若い料理人はいないかと電話があったそうで、面接の際には、頑張ったら東京に行ける話もあるよと料理長から言われていました。

ホテルでは宴会対応やケーキ作り、出張料理なども含め、多岐にわたる仕事を経験していきました。色んなことを覚えたいと思っていた自分にはぴったりで、忙しく充実した毎日でしたね。そんな中で3年が経ったある日、料理長から面接の時の東京の話を覚えているかと聞かれました。正直覚えていなかったですし、東京にどうしても行きたいという気持ちでもありませんでしたが、この話は一生懸命修業をしたことに対するご褒美だという言葉に、「北島亭」でお世話になることを決めました。

ホテルでは何百、何千人のお客様を相手にする仕事でしたが、「北島亭」の料理は究極にアラミニッツであり、ホテルの時とはまた違う瞬発力を求められました。しばらくすると先輩たちが独立のため退職します。北島さんとレシピを整理したり、時には表に出てサービスの仕事をメインでしたこともありました。お客様の言葉に耳を傾けながら、プリフィクスメニューを始めたりハーフポーションをご用意したりと創意工夫に努めた結果、「北島亭」の人気がさらに伸びていったのは嬉しかったですね。

お料理も接客も、お客様ごとにアラミニッツで

―「銀座大石」は、どんなお店なのでしょうか。

ご縁があって「銀座大石」の物件に出会え、2019年9月に開業することができました。飲み物はお酒もノンアルコールドリンクも各種取り揃え、ペアリングでのご提供もしております。お料理が美味しいお店は沢山あると思うので、目指しているのは楽しいお店です。フレンチという枠を意識しすぎずに、形にこだわるより楽しんでいただくことが大事だと思っています。

―「銀座大石」をオープンキッチンのカウンター席だけにした理由を聞かせてください。

一番の理由は、お客様全員と会話がしたいからです。お客様に喜んでいただける料理を提供できるように、変に合わせてしまうという意味ではなく、寄り添えるようなおもてなしをしたいという気持ちがあります。それぞれのお客様の、お皿ごとの味の強さや量の加減の最適値を肌で感じて調節しながら、次回のご来店時にもっとご満足いただけるようにチューニングしていきたいと思っています。

―「銀座大石」のお料理は、「北島亭」の時とどのように変わりましたか。

「北島亭」の時は盛り付けの豪華さも魅力のひとつだったので、シェアされて召し上がる方も多くいらっしゃいました。色々なお料理を食べたい、そんなお客様の希望を満たすために「銀座大石」のおまかせコースは、ポーションを調節して皿数を増やしました。おまかせですから、お料理を最後まで楽しんで召し上がっていただけるように、お客様ごとに配慮しています。

一度の食事での皿数が「北島亭」の時と比べて倍になっているので、今まで培ってきた正統派フランス料理の味わいを大事にしながら、食材そのものの美味しさもより堪能していただけるように和食の要素も取り入れています。

―最後に、スタッフの指導について留意されていることを教えてください。

スタッフには、一軒でも多くのお店に食べに行くようにと伝えています。それは自分がお客様として受けて嬉しかったサービスを、自分が「銀座大石」のお客様にもして差し上げられるようになってほしいという思いからですね。

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大石義一 プロフィール
福岡県出身、地元の居酒屋やホテル、レストランを経て22歳の頃に上京。東京を代表する正統派フランス料理店「北島亭」にて16年間スーシェフを務め2019年に独立。同年9月には早くも自身がオーナーをつとめる「銀座大石」を立ち上げ、グルメ界の話題をさらった。「銀座大石」の魅力は、北島亭時代とは一線を画す少量多皿スタイル。和の要素もちりばめられた絶品料理を求め、日々多くのファンが詰めかけ、早くも予約困難の人気店の仲間入りを果たした。

【編集後記】
喋りだしたら止まらない大石さんから感じるのは、とにかく人が好きだということ。お客様にもっともっと満足してもらうためには何をしたらよいのかといつも考えていて、しかもその姿が楽しそうなのが非常に印象的でした。お客様に喜んでいただきたい、大石さんの価値判断はすべてそこから始まっていて、ぶれません。接客にもお料理にもこの姿勢が貫かれていることが、多くのお客様の心を掴んでいるのだと感じました。いつ誰と訪れても美味しく楽しい大石さんのフランス料理、食べない訳にはいきません!

お店の衛生対策について

【ご協力のお願い】
■お客様用の手指消毒液、外用消毒剤アルコールスプレーを設置しております。

■入店時に検温をお願いしております。

【感染予防のための対策】
■厚生労働省の対応指針に基づき、スタッフの手洗い、うがい、並びに、店内、家具、什器等のアルコール消毒を徹底しております。

■スタッフは出勤時の体温測定を実施し、発熱や体調不良がうかがえる者に対しては出勤停止とし、行政に相談し指示を受けるよう周知徹底しております。

■お客様の健康と安全、公衆衛生を考慮し営業時はマスクを着用させて頂いております。


■常に換気をしております。

フランス料理

銀座大石

東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線 銀座駅 徒歩5分

アクセス
住所: 東京都中央区銀座2-10-11マロニエ通り銀座館2階

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※こちらの記事は2023年04月21日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

橋本 恭一

美味しいお酒とお料理を求め続ける 都内屈指の胃袋&肝臓フル回転系ライター。 和洋中ジャンル問わず、王道の古典料理から イノベーティブ系のお料理にどんなお酒が合うかを ひたすらに追い求めており、食前食後などのバーの 楽しみ方も皆様にお伝えしてまいります。
【MY CHOICE】
・さいきん行ったお店:ナスキロ/サエキ飯店/赤坂 らいもん/鮨 みうら
・好きなお店:レストラン キエチュード/ラ クレリエール/私厨房 勇/トラットリア ダディーニ
・自分の会食で使うなら:くろ﨑/Les Chanterelles/日本料理 晴山/の弥七
・得意ジャンル:フレンチ/イタリアン/バー
・好きな食材:サルミソース/真鱈の白子/生トリ貝

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