記念日や食事会など、少しかしこまったシチュエーションも多いフランス料理。一皿一皿、目にも美しい料理が運ばれてきますが、意外と各メニューの名称や提供される順序、ルールといった基本的なマナーについて、曖昧になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はフランス料理のメニューの順序や名称、各料理のマナーに関してご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
目 次
1. フルコースやハーフコース、レストランによって異なる料理の数
一般的なコース料理は7、8品で構成されますが、格式の高いグランメゾンなどで提供されるフルコースは10、11品の構成です。
またレストランの方針によりカジュアルに楽しめるハーフコースを用意している場合は、より品数が少なくなります。
2. コース料理の流れとマナー
今回は代表的なフルコースの流れと、それぞれのマナーについてご紹介します。
-アペリティフ
食事の前に飲む食前酒のこと。食欲を増進させたり、ゲスト同士の会話を弾ませたりする意図があります。
① アミューズ
「アミューズ・グール」「アミューズ・ブーシュ」とも呼ばれ、一口サイズのおつまみのような料理。アペリティフと共にいただきます。
アミューズは、前菜が提供されるまでの空腹を和らげたり、これから始まる料理への期待感を高めたりする役割があります。一口サイズだからこその繊細な盛り付けも魅力です。
【アミューズの食べ方】
一口サイズで提供されるので、手に取り一口で食べましょう。
② オードブル
スープの前に提供される軽い料理。オードブルの役割は食欲を駆り立て、後に続く料理に期待が膨らむよう、食事の雰囲気を盛り上げることです。
料理の内容は、パテなどの肉料理やさっぱりした魚料理、サラダなど、レストランによって多種多様。「冷たい前菜」と「温かい前菜」の2品を提供する場合もあります。
③ スープ
食欲を刺激し、後に続く料理の消化を促す役割を持っています。シンプルな料理ですが、多くの時間や手間が凝縮されている料理です。とろみのあるポタージュタイプと、サラリとしたコンソメタイプの2種類があります。
【スープの飲み方】
スプーンを使い、皿の手前から奥へすくい、残りが少なくなったら皿を傾けてすくいます。カップスープの場合も、スプーンがあれば使用します。
カトラリーの音をカチャカチャと立てたり、息を吹きかけたり、音を立てて飲むのはマナー違反になりますので、気を付けましょう。
④ パン
単体で食べるのはもちろん、魚料理や肉料理を食べ終わった後に残ったソースを、パンに付けていただきます。レストランによっては、スープの前に提供される場合もあります。
【パンの食べ方】
食べる分だけちぎり、バターを塗ります。パン皿がない場合は、テーブルクロスに直接置いても大丈夫です。
⑤ ポワソン(魚料理)
メインディッシュのうち、初めに提供される魚料理。魚料理から提供する理由は、味が薄いものから出すことで、味覚をぼやかさないため。
レストランごとに料理に合わせたソースを使うため、ソースを楽しむ料理でもあります。
⑥ グラニテ、またはソルベ
グラニテ、ソルベとは、柑橘系の果汁をベースに作られたさっぱりとしたシャーベット状の氷菓のこと。口の中をリセットする役割があります。
魚料理と肉料理の間に挟むことで、魚料理のソースや魚介の風味に影響を受けず、肉料理を味わうことができます。
⑦ ヴィアンド
メインディッシュの肉料理。フランス料理では主に牛、豚、鶏、鴨、鹿、仔羊などが使われます。赤ワインと合わせて、マリアージュを楽しみましょう。
【メイン料理の食べ方】
魚や肉は左側から食べ、ひっくり返さないことがマナーです。
また最初に全てを切り分けるのはマナー違反になるので、一口サイズに切り分けて食べましょう。
⑧ サラダ
肉料理の後に提供される生野菜。レストランによっては、オードブルのタイミングで提供されることもあります。
【サラダの食べ方】
ナイフとフォークで小さくまとめ、フォークに刺して食べましょう。
⑨ フロマージュ
チーズのことを指します。デザートの前にワインと共に楽しみ、会話を楽しむ役割があります。トレーやワゴンに乗せられて提供されることが多いです。
⑩ デセール
アイスクリームやケーキ、フルーツなどのデザートを指し、品数が多い場合は、分けて提供されることもあります。
⑪ カフェ・ブティフール
コーヒーや紅茶と小さな茶菓子が出されます。例えばデミタスコーヒーと焼き菓子などが一般的です。
フランス料理の代表的なフルコースのメニューと順序についてまとめてみました。一度、目を通しておけば、実際にレストランにいった際、マナーに困らず美食の時間をより楽しめることでしょう。
なおレストランによっては順序が異なる場合もあります。気になる方は、事前のお問合せや公式ホームページなどで情報を確認することをお勧めします。
◆参考文献
現代マナー・作法の会「困ったときにすぐひける マナー大事典」
辻調グループ辻静雄料理教育研究所「フランス料理ハンドブック」
※こちらの記事は2023年08月21日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。