真の鮨好きなら、九州の鮨屋巡りをしてみたいもの。地元・九州で獲れる絶品の魚介を中心に、その日のおすすめを一貫いただき、余韻に浸る旅へ。今回は、今回は、トラベルメディア「一休コンシェルジュ」との共同制作で「一度は訪れたい九州の鮨の名店と名宿を巡る旅 唐津編」をご紹介します。
目 次
焼き物の街・唐津でこそ食べられる唯一無二の鮨
「鮨処 つく田」(佐賀県/唐津市)
全国から客が訪れる唐津の鮨店「鮨処 つく田」。唐津焼・隆太窯の陶芸家、中里隆氏の器で出されるつまみに始まり、唐津の魚とシャリが調和する握りを堪能できる名店です。「鮨処 つく田」の大将、松尾雄二氏にお話をお聞きしました。
「鮨処 つく田」開店秘話、唐津焼の陶芸家・中里隆氏との出会い
(松尾雄二氏、以下松尾氏)実家も同じ唐津で鮨店を営んでいました。私が手伝っていた頃、唐津の陶芸家である中里隆先生の甥御さんを通し、お茶事の手伝いをさせていただいたのが先生との出会いでした。先生が鮨についてお話しされていて“地方の鮨は甘くて適わない。銀座の「きよ田」では砂糖を使わずに旨い鮨を出す”とおっしゃいました。そこで砂糖を使わず、塩だけで鮨を握って先生のところにお持ちしたところ、気に入っていただいて、何度かお家に伺うようになりました。銀座の「きよ田」さんに連れて行ってくださり、それがきっかけで「きよ田」さんでも度々勉強させていただきました。
中里先生のお家では定期的にバロック音楽のコンサートが催されていて、その後のパーティーで鮨を握る機会がありました。そのうちお店を出さないかという応援をいただき、平成5年8月にこのお店を始めました。
「鮨処 つく田」の握り:地物の魚で握る鮨のこだわり
(松尾氏)唐津に生まれ育った中で扱ってきた魚ですから、仕入れは唐津の地物が基本です。やはり青魚がこのあたりは良いですね。アジやサバ、白身魚なども良い物が色々ありますが、特に唐津はイカに恵まれていると思っています。
よそで仕事する機会もありますが、唐津の魚を扱っていると、他のエリアから取り寄せる感覚はありませんでした。今は良いものがあれば北海道から、不足しがちな貝類を大分から仕入れることもあります。
お米は高校の頃からの友人が唐津で農家をしていまして、彼が作るコシヒカリをずっと使っています。「上場米(うわばまい)」というのですが、上場台地という高台があって特に美味しいお米ができると言われています。
野菜の美味しさを感じる鮨前のつまみ
(松尾氏)鮨はどうしても野菜を使うことが少なく、枝豆や刺身のツマで大根を切ったような簡単なものしかなかったんです。お客様も生野菜を鮨屋でいただくというのは気に入っていただけなくて。うちはご年配の方もいらっしゃるので、野菜でお浸しなどをお出しするようになりました。
大根おろしにジャコを乗せて海苔を振るような簡単なものでも喜んでくださいますね。夏はキュウリやナスに、海老と合わせてお出しします。冬場は大根や蕪などの身体を温めるような野菜を使っています。特殊な野菜を使うわけではないのですが、地元の新鮮なものに手を加えて一品、お出ししています。
鮨を深く楽しむ、唐津焼の器
(松尾氏)開店当初は中里先生が器を用意してくださって、全て先生の器でお出ししていました。今年の夏で30周年を迎えるのですが、徐々に有田焼やガラスの器といった、唐津焼以外のものも使うようになっています。
「唐津焼は器だけで完成するものではなく、料理を盛り付けて完成するものだ」と、よく中里先生がおっしゃっていました。絵柄が主張するわけではなく、全体が映えるようになるという、それが唐津焼の良さだと思います。唐津焼は色々な種類がありますし、色に合わせて料理も変えていく。焼しめの器には青魚はもちろん、河豚など身が白いものも映えます。盛る楽しさがあるので、唐津焼は料理人にとっても魅力的です。
唐津にしかない魚というものはないですが、漁場として良い魚が獲れる街ですし、唐津の人たちも季節ごとの魚の旬が分かっている。お客様が魚に対して目が肥えているので、魚屋が旬を集めてくる。唐津ならではの良い魚が、信頼している目利きの魚屋から手に入るという良さがありますね。
唐津に行くなら…一休コンシェルジュが厳選する、一度は泊まりたい宿
洋々閣(佐賀県/唐津市)
古くから焼き物の街として知られ、城下町として栄えた佐賀県・唐津に佇む「洋々閣」。明治26年(1983年)創業、随所に当時の面影を残しつつ、現代の利便性を加えた全20室の老舗旅館です。
「鮨処 つく田」のお話に登場した、世界的にも評価の高い唐津の陶芸家・中里隆氏の作品を集めたギャラリーが併設されていて、旅のひとときに鑑賞できます。息子の太亀氏、娘の花子氏、孫の健太氏の作品も並び、見るだけではなく購入することも可能です。
朝食は、宿中央に位置する食堂にて、日本庭園を眺めながらいただきます。麦粥と唐津川島のざる豆腐、朝市の干物など身体をいたわる一品をゆっくり味わいましょう。
魅惑の古都、佐賀・唐津。九州ならではの美意識と、ここだけの豊かな美味に癒される旅を、体感してみませんか。
※こちらの記事は2023年08月24日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。