一度は行きたい、フランス料理の名店 静岡編

海に面し、北側は山に囲まれた静岡は、魚介からジビエ、野菜や果物など、四季を通じて食材の宝庫です。自然との触れ合いや壮大な景観も楽しめる静岡に魅せられたフレンチのシェフも多数。地産地消にこだわり、個性あふれる料理を生み出しています。今回は、静岡の食材にこだわる、一度は行きたいフランス料理の名店を5軒紹介します。

1.パリの三つ星レストランの味を、富士山の眺めとともに楽しむ

Maison KEI(静岡県/御殿場駅)

2020年フランス版ミシュランにて、アジア人シェフとして初めて三つ星を獲得したパリ「レストランケイ」の小林圭氏が老舗和菓子店「とらや」のパリ店で勤務していた18代目・黒川光晴氏と意気投合。コラボレーションが実って御殿場市東山にオープンした「Maison KEI(メゾンケイ)」。

こちらで料理長を務める佐藤充宜氏は「レストランケイ」で研鑽を積んだ実力者。清らかな水を湛えるこの地で、富士山の眺めを目の前に、ゲストの記憶に残る料理を生み出します。

なかでも、味わってほしいのが「レストランケイ」のスペシャリテ「庭園風季節のサラダ」。メインの30品目にも及ぶ野菜に、レモン風味の白い泡の下に潜む4種のソースを合わせ、御殿場産のくぬぎ鱒のスモークを加えアクセントを利かせます。「とらや」の餡を使ったデザートも絶品。澄んだ空気を感じながらパリの味をカジュアルに楽しむことができる贅沢な空間です。

フレンチ

Maison KEI

JR線 御殿場駅 タクシーで15分

10,000円〜11,999円

2.自ら探し求めたジビエや野菜を駆使する一期一会のご馳走

レストラン・カワサキ(静岡県/静岡駅)

静岡駅から徒歩約10分、瀟洒なレンガ造りのビルの2階に店を構える「レストラン・カワサキ」。和食店で修業をスタートしたシェフの河崎芳範氏は、食べ歩きをしているうちにフランス料理に魅せられ、東京・代々木の「レストラン キノシタ」をはじめ、都内の名店で研鑽を積んだ後、富士宮に移住。2014年に「レストラン・カワサキ」を開業しました。

自ら仕留めたジビエや自ら探し求めた野菜、山菜などを駆使して、旬や自然を体感できる味を一皿の中で表現します。野菜がもつ味や香りのピークを皿に盛り込むため、毎朝、契約農家の畑を回り生産者との情報交換も欠かしません。

富士山からの湧き水の恵みを受けた地元の食材は、一期一会のご馳走。食材や皿数などを自分好みにカスタマイズすることも可能ですので、相談してみてください。

フランス料理

レストラン・カワサキ

JR線 静岡駅 北口から徒歩10分

15,000円〜19,999円

3.「サスエ前田魚店」厳選の魚介を日仏融合の技で堪能

馳走 西健一(静岡県/西焼津駅)

広島や東京、本場フランスにて修業し、名店「馳走 啐啄一十」では、和食を学ぶなど多彩な経験を積んだシェフ・西健一氏。鮮度にこだわり、広島から老舗鮮魚店「サスエ前田魚店」より徒歩約5分の場所に移転して構えた店が「馳走 西健一」です。

使用するのはもちろん「サスエ前田魚店」の目利きにより厳選された魚。“足し算”のフレンチと“引き算”の和食の技を巧みに融合させ仕上げたオリジナルの一皿ひとさらは、食通の注目を集めています。ぜひ、味わいたいのは、スペシャリテの「鮮魚のパイ包み」。駿河湾焼津港の鮮度抜群の魚をパイで包み、香ばしく焼き上げた逸品。朝獲れの魚はランチに、夕方に獲れた魚はディナーで、とまさに魚介の旬のピークが味わえる、唯一無二と言える一軒です。

青で統一した壁や、昼夜それぞれ異なる照明で海を感じられるよう演出された空間は、デザイナーの相良哲也氏が手がけています。 その瞬間の旬を味わう口福を、ぜひ体験してみてください。

フレンチ・イノベーティブ

馳走 西健一

JR東海道本線 西焼津駅 車で6分

12,000円〜14,999円

4.さまざまな技法により生み出される“西欧料理”

西欧料理 サヴァカ(静岡県/菊川駅)

伝統的なフランス料理の技法だけでは、素材の持ち味を最大限引き出すことは難しい、という考えのもと、シェフの山口祐之氏が掲げるのが“西欧料理”。繊細な素材は個々に下ごしらえをし、力強い素材はシンプルな調理方法を用いるなど、さまざまな技法により、オリジナルの一皿が生まれます。

新鮮な魚介、内閣総理大臣賞を受賞した遠州夢咲牛、地元の猟師から入手するジビエ、信頼する生産者の野菜など、静岡産食材のポテンシャルの高さを感じて静岡・菊川の地で「西欧料理 サヴァカ」をオープン。

お箸でいただく“くつろげるフランス料理”を信条としています。山口氏が学生時代を過ごした北海道やフランスの食材、長野の山菜や果物も個性を彩る大切な要素。この地ならではの里山の風景とともに味わってみてください。

フレンチ

西欧料理 サヴァカ

JR東海東海道本線 菊川駅 タクシーで10分

10,000円〜11,999円

5.相模湾の絶景とともに味わう、三國清三氏監修の地中海料理

ミクニ伊豆高原(静岡県/伊豆高原駅)

伊豆高原駅から徒歩約1分、相模湾の絶景を望むフランス料理店「ミクニ伊豆高原」。建築家・隈研吾氏が手がけた開放的な空間で味わえるのは「オテル・ドゥ・ミクニ」オーナーシェフ・三國清三氏がプロデュースする地中海料理。

伊豆の新鮮な魚介や肥沃な土壌で育った野菜など地産地消にこだわって生み出される料理の数々は、伊東産鮮魚と伊豆味噌のタルタルなど伊豆尽くしです。厨房で腕を振るうのは、フランス・モンペリエの星付きレストラン「ル・ジャルダン・デ・サンス」など有名レストランで研鑽を積み、2007年に帰国した後は「ミクニ マルノウチ」でもシェフを務めた佐々木章太氏。

地中海料理と相性の良いプロヴァンス地方の辛口の白やロゼワインを合わせて、ゆったりとリゾート気分に浸ってみてはいかがでしょうか。

地中海料理

ミクニ伊豆高原

伊豆急行線 伊豆高原駅 徒歩1分

10,000円〜11,999円

焼津港で水揚げされる魚、温暖な気候を活かして育てられる野菜や果物、富士山の地下から湧く清らかな水。美味が詰まった静岡の幸を用いたフランス料理は、また格別です。静岡に魅せられたシェフの個性が光る名店を、ぜひ訪れてみてください。

※こちらの記事は2024年11月21日作成時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

Miki D'Angelo Yamashita

コロンビア大学・パリ政治学院修士。新聞社を経てフリージャーナリスト。専門は別だが、趣味が高じて食担当記者に。延べ3000人料理人インタビュー、約30カ国で食関連を取材。料理本も多数編集。

【MY CHOICE】
・最近行ったお店:未在 / 晴山 / レヴォ /茶禅華
・好きなお店:ギ・サヴォワ / Restaurant KEI / 祇園さゝ木 / 宮坂
・自分の会食で使うなら:ル・ブルキニオン / ラルジャン / 乃木坂しん / 蕎麦おさめ
・注目しているお店:お料理ふじ居 / 日本料理 研野 / ELEZO ESPRIT
・得意ジャンル: スイーツ
・好きな食材:麺類

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