美しい日本庭園を眺めながらのランチは、京都ならではの贅沢。歴史を感じる空間や設えの美しさにも感動を覚えます。ていねいに手入れをされた木々の緑あふれる食事処で、ゆったり非日常のひとときを過ごしてみたい、そんな4店を紹介します。
1.歴史を体感できる空間で優美な京料理を
中村楼(京都府/祇園四条駅)
京の情緒が漂う東山界隈、八坂神社南門の中に位置する「中村楼」。門をくぐると、静謐な空気が流れ、江戸の初期から田楽豆腐で人気を博し料亭へと変遷した、創業450年余の歴史を体感できます。
部屋の窓からは、美しい庭園の木々や池を望み、豊かな緑に癒されながら京料理を堪能できます。12代目店主の辻雅光氏は、由緒ある店の板場を取り仕切る料理長の奈良昌紘氏とともに日々市場に赴き旬の食材を吟味。四季折々の地物を生かした優美な料理の数々を繰り出します。
近隣で採れた京野菜を香りや食感、温度にもこだわり、自然の恵みをベストの状態で饗応します。6,050円の「祇園田楽豆腐弁当」は“祇園豆腐”を楽しむランチメニュー。玄関脇に併設された二軒茶屋では、抹茶や名物の田楽豆腐も味わうことができますので、ぜひ、立ち寄ってみてください。
2.糺(ただす)の森に佇む150年の歴史ある京料理茶懐石
下鴨茶寮(京都府/出町柳駅)
150年以上続く京料理茶懐石の老舗「下鴨茶寮」。出町柳駅から高野川沿いを歩いて、約10分、下鴨神社一帯に広がる糺の森に、風格ある数寄屋造りの建物が目に留まります。
創業者である佐治家は、神への饗膳や天皇の使いへ出す勅使膳などを担ってきた下鴨神社御用達の包丁人。安政三年に、現在の場所に店舗を構え、茶懐石・京料理の店を開業しました。総料理長の本山直隆氏は、東京で修業を重ねたあと、2016年「割烹料亭 銀座 下鴨茶寮 東のはなれ」で料理長となり、2017年6月「下鴨茶寮」の総料理長に就任。常に進化し続け、伝統的な京懐石に現代のセンスを加味しながら独創的な料理やおもてなしを提供しています。
手入れの行き届いた庭園は緑にあふれ、京都ならではの“はんなりした美しさ”に心和みます。眼下に流れる高野川を愛でながら京懐石に舌鼓。季節のお椀や八寸など全10品で15,730円のランチ「懐石 福膳」もおすすめです。歴史を物語る調度品、茶室など京都の粋を体現した空間に非日常の時間が流れます。
3.名庭師が手がけた日本庭園とともに楽しむ食体験
南禅寺参道 菊水(京都府/蹴上駅)
自然と歴史が溶け合う京都ならではのエリア、南禅寺参道にある料亭旅館「南禅寺参道 菊水」。新進気鋭のデザイナーによる上質な空間の中で「食と時を味わう別邸」へと生まれ変わりました。
時代を越えて愛される名庭師、7代目・小川治兵衛の手がける広大な日本庭園を眺めながら、和と洋が織りなす料理を満喫。伝統と新しい試みを感じる和会席や現代的な要素を組み入れた京洋食が魅力です。旬の食材にこだわり、ソースの描き方に菊水の庭の四季を映し出す洋食は華麗なひと皿。
京都の名店で修業後、同店に入り、2018年より総料理長を務める西野悌司氏は、食材と向き合い自然を感じながら豊かな素材を操り、美しい季節を描きだします。南禅寺名物の湯豆腐を含む全7品の会席ランチは、7,260円。「料理旅館」をコンセプトにしたお屋敷で、夏の新緑を愛でながら、ゆったり流れる京都の時間に身を任せてみてはいかがでしょうか。
4.440年の年を経て進化を遂げる京料理
山ばな平八茶屋(京都府/修学院駅)
安土桃山時代、若狭街道沿いの街道茶屋として開業した「山ばな平八茶屋」。山口県萩の禅寺から移築された騎牛門(きぎゅうもん)をくぐると緑に囲まれた庭園が広がります。
北大路魯山人や夏目漱石など、著名人に愛され、文学にも登場する名だたる店。創業当時から若狭街道を行き交う旅人に親しまれてきた名物「麦飯とろろ汁」を味わうことができます。代々の当主が受け継いできた料理を時代に合わせて進化させた、きめが細かく口当たりなめらかなとろろ汁は、風味がまろやかになる少量の白味噌が隠し味。
21代目主人・園部晋吾氏は、昆布や鰹、米やつくね芋など素材をあらためて厳選し、現代に沿う味わいに深めてきました。時代に即して柔軟に変化させながらも老舗が守り続ける「ぐじ」を用いた若狭懐石は、ランチで18,975円から楽しめます。木々のざわめきや高野川のせせらぎの中、京料理の醍醐味を堪能してみてください。
いずれも京都を代表する歴史ある料亭で、緑あふれる庭が美しい名店ばかり。一度は体験してみたい老舗でのランチ、ぜひ、新緑の時期に訪れてみてはいかがでしょうか。
※こちらの記事は2024年10月11日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。