割烹料理とはどのような料理を指すのでしょうか。広い意味では、季節の旬に合わせた食材を使って「切る(割)」「煮る(烹)」の調理法から生み出される料理を指します。懐石料理などのようにコースでいただく店もありますが、カジュアルにアラカルトを楽しめるところも割烹の醍醐味のひとつ。今回は、店主と料理談義を弾ませながら食事ができる、一度は行きたい、福岡のカウンター割烹の名店を5軒厳選して紹介します。
目 次
1.季節の移ろいを体感できる珠玉のコース
お料理 佐藤(福岡県/小倉駅)

小倉駅から徒歩約2分、季節の花が彩るアプローチを抜けた先に広がる、凛とした和の空間「お料理 佐藤」。この道35年以上の店主・佐藤好美氏は、四季折々の地物をメインに仕入れた上質な食材を、匠の技を駆使して目にも鮮やかな一皿へと変身させます。
奇をてらわないシンプルな調理法で仕上げるのは、自然への敬意を感じさせる、珠玉の品々。器への造詣も深く、心地よい緊張感に包まれた店内には、江戸時代の絵師の写しや京焼、備前焼、バカラなど華麗なるコレクションが並びます。佐藤氏の手元が眺められるコの字のカウンターに席を取り、季節の移ろいを体感できるコースを味わってみてはいかがでしょうか。
2.職人ならではの隠し技が活きる味わい
しらに田(福岡県/天神南駅)
天神南駅から徒歩約7分、那珂川沿いのビル4階に店を構える「しらに田」。石のアプローチを抜けると、木の温もりを感じる一枚板のカウンターに出迎えられます。名店「銀座うち山」で修業した店主の白仁田政信氏は「オーソドックスな日本料理を提供したい」が信条。
職人ならではの隠し技が活きる味わいの料理を、自ら窯元を訪ねて探したこだわりの器に盛り付けて表現します。夜のおまかせで供される一品目の「焼き胡麻豆腐」は、創業以来人気の定番。くるみなどを隠し味に仕込んだ胡麻醤油に鯛を漬け込み、八女の煎茶を回しかけた「銀座うち山」直伝の絶品「鯛茶漬け」もぜひ味わってみてください。
3.肩肘張らない茶懐石の名店で“わびさび”の美食体験
茶懐石 中伴(福岡県/天神南駅)
天神南駅から徒歩約4分、西中洲の一角に位置する凛とした佇まいの「茶懐石 中伴」。茶室をイメージした店内では、和の風情を感じさせる8席のカウンターが存在感を放っています。厨房で腕をふるうのは「南禅寺 瓢亭」で8年、金沢「つる幸」で3年の研鑽を積み、28歳の若さで独立したこの道50年を越える店主・中川敏行氏。“基本に忠実に”という料理哲学のもと、手間を惜しまず出汁や食材の滋味を引き出し、茶懐石の真髄を追求します。
印象的なのは、ゲストの来店に合わせて鰹節を削り、釜で飯を炊くなど、心和むおもてなし。福岡らしさや自分らしさを出しつつ、どこまでも料理に実直。締めの薄茶まで、食事に彩りを添えるこだわりの器で“わびさび”の美食体験をしてみてはいかがでしょうか。
4.店主が釣り上げた魚と旬の素材でお酒を楽しむ
小谷(福岡県/博多駅)
博多駅から徒歩約4分、ビルの2階にひっそりと店を構える、隠れ家のような割烹料理店「小谷」。温かい雰囲気が漂うこぢんまりとした店内で、市場で厳選した旬の食材と店主自ら釣り上げた玄界灘の魚を使用した料理を満喫できます。
座敷も備わりますが、おすすめは調理の様子を目の前で眺められるカウンター席。日々変わる献立は、一品一品を小皿で提供する“少量多皿”スタイルです。ピーナッツモヤシや、クサフグなど珍しい食材も多用。シンプルながら、品の良い味付けにこだわり、素材本来の旨味を活かした皿の数々が味わえます。店主おすすめのお酒とともに、ゆったり過ごしたい一軒です。
5.フレンチから日本料理に転身、九州にこだわる肴が人気
千翠(福岡県/薬院前駅)
薬院駅から徒歩約5分、シックな建物の2階に位置する「千翠」。スタイリッシュなカウンター6席で、吟味した最旬の食材で創り上げるおまかせコースを堪能できます。
店主・松尾英樹氏は、フレンチから日本料理に転身。九州にこだわり、玄界灘、豊前、唐津産などの近海で獲れた魚介と、選りすぐりの野菜を贅沢に盛り合せた一皿を仕立てます。店内は、特注のオリジナル椅子、柿渋を配した建具や壁、白木の一枚板の広いカウンターなど、店主のこだわりが詰まった空間。西日本の名蔵元から店主が厳選した銘酒とともに、一皿ごとに趣向を凝らしたコースを満喫することができます。
最近はコースを用意している店もありますが、調理の過程を眺めながら一品ずつ注文することができるのも、カウンター割烹の楽しみ方のひとつ。肩肘張らずに料理を満喫でき、お一人様を歓迎してくれる店も多数あるのがカウンター割烹の魅力です。福岡を訪れる機会があれば、カウンター割烹をぜひ利用してみてはいかがでしょうか。
※こちらの記事は2024年10月18日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。