一度は訪れたい、中国料理の名店 京都編

“京都に行ったら日本料理”と、まずは思いますよね。しかし、地元の食通たちの味覚に合わせて独自に進化を遂げてきた京都の中華料理は、予想以上のレベルの高さを誇ります。今では、中華の枠を超えるような新感覚を味わえる独創的な店が多数あり、グルメの間では「京都に行くなら中華料理」との声も上がっているほど。今回は、そんな美食家にも愛される中華の名店を4軒厳選してご紹介します。

1.シェフ独自の技法で展開される、華やかな広東料理

仁修樓(京都府/大宮交通公園前)

京都・柴竹の住宅地、大宮交通公園南側に2019年開業直後から予約困難となった「仁修樓」。門にはシェフが陶作した丹波立杭焼きの店名が、格調高く灯ります。オーナーシェフ・上岡誠氏は「日航ホテル」や「エクシブ有馬離宮」など、15年以上もホテルの中華料理店で鍛錬を積んだ実力派。上岡氏自身によってデザインされた上質感漂う空間で“滋味”溢れる広東料理の一皿ひと皿を満喫できます。

コースには、活け鮑を上湯で6時間蒸したステーキに、300〜800グラムから選べる青鮫フカヒレ、上海蟹や希少なドンマンガニの内子ソース、そして貴重なタイガーシャークの尾鰭の上湯スープなど。シェフ独自の技法を施した、贅沢な料理が提供されます。器やテーブルウェアは、自作のものに加え、趣味で集めた景徳鎮のアンティークや国内作家の作品が並び、上岡氏の作り上げた小宇宙ともいえる美しい空間が、夢のような美食体験を叶えてくれます。

中華料理

仁修樓

線 駅 市バス:46系統「大宮交通公園前」駅徒歩1分

20,000円〜29,999円

2.圧巻の風景を眺めながら楽しむ、こだわりのヌーベルシノワ

齋華(京都府/京都駅)

真言宗の古刹・泉涌寺の裏手、静謐な林の中に密やかに佇む一軒家「齋華」。ドアを開けると、店内に広がる圧巻の光景に目を奪われます。2階の高さまである一面の窓から見える、泉涌寺の借景が美しい8席のカウンターは、どこに座っても特等席。秋には、真っ赤に燃える紅葉を眺めながら、先鋭的な料理に舌鼓を打つ醍醐味が味わえます。

数々の中華の名店で修業を積んだ齋藤博人氏が手がける四川料理は、フレンチや西洋料理の要素も取り入れたヌーベルシノワ。味付け、煮込み、スパイスによる香りの豊富なバリエーションが、表現の幅を無限大に広げます。スペシャリテの一つは白いエビチリ。自家製酒醸で自然な甘みを出したチリソースは、齋藤氏ならではのセンスから生まれた絶妙な味わい。ここでしか体験できないこだわりが詰まった、オンリーワンの店です。

中華料理

齋華

JR線 京都駅 八条口よりタクシーで10分

20,000円〜29,999円

3.バーのような空間で味わう、京料理を取り入れた新感覚中華

私房菜 すみよし(京都府/清水五条駅)

京都東山五条、馬町交差点に位置する「私房菜 すみよし」。四川や広東料理を学び、多彩なテクニックを誇る実力者による、京料理のテイストを取り入れた話題の中華です。有名ホテル出身の住吉氏が「ホテルの中華をリーズナブルに提供したい」という思いで独立。「私房菜」つまり“プライベートキッチン”の店名通り、豊富にそろう一品料理を、好みに応じてオーダーできます。

鱧や雲子など、中華ではあまり使わない和の食材も巧みに組み入れた新感覚のメニューのほか、定番食材のあこうは、蒸す、揚げるなど、調理法が選べる楽しみも。昼はコースが中心、創作性に富んだメニューは夜、お酒とともに。ジャズが流れるおしゃれなバーのような空間で、カジュアルに楽しみたい独創的な京の中華割烹です。

中国料理

私房菜 すみよし

京阪本線 清水五条駅 徒歩約10分

6,000円〜7,999円

4.築90年の面影を残す町屋で味わう京風創作中華

創作中華 一之船入(京都市役所前駅)

史蹟・高瀬川の一之船入に面し、かつてお茶屋だった町屋を改修した趣きある一軒家「創作中華 一之船入」。由緒ある伝統的な風情の中、無農薬の京野菜をふんだんに取り入れた「京風創作中華」を楽しむことができます。オーナーシェフ魏禧之氏は、横浜中華街が生まれ故郷。全国の有名店で修業を積み、中国特級調理士を取得した厨父(料理人)です。

中国8大料理と和洋の技法を融合させ「医食同源」の思想をベースにした身体に優しい味を生み出します。築90年の侘び寂びの精神溢れる、京都らしい情緒を満喫できる空間には、屋形船をイメージした部屋や船着場を眺められる個室なども完備。高瀬川を眺めながら古民家和室で創作中華、なんとも雅な美食タイムを過ごすことができます。

創作中華

創作中華 一之船入

京都市営東西線 京都市役所前駅 徒歩2分

15,000円〜19,999円

今、熱い京都の中華。その中でも、今回ご紹介した4軒は代表格といえるでしょう。予約困難の店もありますが、一度は訪れたい名店ばかり。京都旅行の際には、ぜひチェックしてみてください。

※こちらの記事は2024年01月25日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

Miki D'Angelo Yamashita

コロンビア大学・パリ政治学院修士。新聞社を経てフリージャーナリスト。専門は別だが、趣味が高じて食担当記者に。延べ3000人料理人インタビュー、約30カ国で食関連を取材。料理本も多数編集。

【MY CHOICE】
・最近行ったお店:未在 / 晴山 / レヴォ /茶禅華
・好きなお店:ギ・サヴォワ / Restaurant KEI / 祇園さゝ木 / 宮坂
・自分の会食で使うなら:ル・ブルキニオン / ラルジャン / 乃木坂しん / 蕎麦おさめ
・注目しているお店:お料理ふじ居 / 日本料理 研野 / ELEZO ESPRIT
・得意ジャンル: スイーツ
・好きな食材:麺類

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