天ぷら×日本酒のマリアージュが楽しめる名店4選

天ぷらといえば、食卓にもよく登場するおなじみの一品。しかし、素材の旨みを引き出したサクッと美味しい天ぷらは、なかなか家庭では食べることができない難しい料理でもあります。たまには、外食をして匠の技を味わいたいものです。今回は、プロの手による絶妙な揚げ具合に、銘酒を合わせて楽しめる天ぷら店をご紹介します。

1.希少酒と合わせて楽しむ、代々受け継がれた衣地と揚げの技

天七(神奈川県/関内駅)

関内駅より徒歩約1分というアクセスの便利な「天七」は、昭和40年創業の老舗。代々受け継がれた独自の衣地と揚げの技が光るサクッと軽やかな口当たりが絶妙です。薄く衣をまとわせ、2種類の胡麻油をブレンドした軽い食感と香りが魅力。

各地から旬の素材を取り寄せた「極コース」では、活蝦夷鮑、伊勢海老などを贅沢に味わうことができます。また「夢コース」の黒毛和牛の天ぷらもぜひ味わってみたいスペシャリテ。自慢の豪華なラインアップを楽しむことができます。
入手困難な日本酒をそろえ、定期的に銘柄を入れ替えているため、訪れるたびに新しい発見があるはず。ソムリエ資格を持つ支配人セレクトによる、希少な日本酒とのマリアージュを堪能できます。

天ぷら・懐石・会席料理

天七

市営地下鉄ブルーライン線 関内駅 9番出口より徒歩1分

12,000円〜14,999円

2.厳選日本酒と味わう、レア感が絶妙な素材が纏うサクサクの衣

てんぷら前平(東京都/麻布十番駅)

麻布十番駅から徒歩約3分の、おしゃれな飲食店ビル4階にある「てんぷら前平」。カウンター席に座り、目の前で次々と食材を揚げていく様子を眺めながら、外はサクサク、中はレアな絶妙の火入れによる天ぷらを、熱々のうちに舌鼓を打つ。軽い衣に香る胡麻風味が食欲をそそり「山の上ホテル」出身の前平大将の冴えた腕が実力を見せます。

「太白胡麻油」と「太香胡麻油」を素材によりブレンドし、しっとりと空気を含んでふっくらした揚げ具合は、見事なもの。素材の繊細な旨みを引き出すため、鮮魚は開店直前に下ろし、本来の味と食感を満喫できるよう、早めに揚げる。そんなこだわりにも料理人としての矜持を感じます。日本酒をこよなく愛する大将が選び抜いた銘柄との相性も抜群で、王道の妙味に思わずリピートしたくなるはずです。

天ぷら

てんぷら前平

都営地下鉄大江戸線 麻布十番駅 徒歩3分

3.〆にはそばも楽しめる、静岡の銘酒と食材が滋味深い江戸前天ぷら

蕎ノ字(東京都/人形町駅)

人形町駅を出て、甘酒横丁を抜けた路地の一角にある天ぷら店「蕎ノ字」。粋な界隈に佇む店の扉を開けば、檜で設えた美しいカウンターが迎えてくれます。実家が静岡のそば店「細島屋」である鈴木利幸氏が、〆にそばが食べられる天ぷら店をコンセプトに、地元で開業。江戸前の天ぷらに衝撃を受け、名店を食べ歩いた味から独学で習得した腕前を披露しています。

静岡産の島田人参、玉取茸、在来種の茄子や駿河湾の幸を、東京の人にも味わってほしいと、2016年に東京・日本橋へ移転すると、まもなく人気店に。そば粉は益子産や川根産を使った二八で手打ち。祖母に習ったという粗挽きのそばがきは、ぜひ味わいたい逸品です。地元島田市の大村屋酒造の銘柄「女泣かせ」や「重兵衛」を合わせれば、静岡の滋味が身体に染み入ります。

天ぷら・蕎麦

蕎ノ字

東京メトロ日比谷線 人形町駅 徒歩2分

4.小麦粉に黄身だけを合わせて揚げたまろやかな味わいを沖縄の塩とともに

天ぷら すず航(東京都/茅場町駅)

茅場町駅からほど近い路地に水打ちをされた風情ある佇まいの「天ぷら すず航」。艶やかな塗りのカウンター中央で、店主の鈴木晴也氏がテンポよく江戸前の天ぷらを揚げる姿は、臨場感満載です。

天ぷらのその奥深さに惹かれて技術を磨き、自宅を改装して店を開いた鈴木氏。食材に合わせて油の温度や衣のつけ方を微妙に調整。綿実油(めんじつゆ)に胡麻油を加えた油で揚げ、全卵を使わず、小麦粉に黄身だけを合わせているため、角がとれたまろやかな味わいが生まれます。店で一手間加えて炒ることで甘味が出る、こだわりの塩がアクセントに。「獺祭」や「八海山」と合わせて、江戸前ならではの胡麻の風味を楽しみたい一軒です。

天ぷら

天ぷら すず航

東京メトロ日比谷線 茅場町駅 徒歩1分

12,000円〜14,999円

天ぷらと日本酒は、味わいのバリエーションが豊か。幅広い食材を用いる天ぷらは、合わせる調味料や揚げる油によって風味も変わり、日本酒もまた、米や精米歩合、製造方法で味わいが異なります。どのような組み合わせが最適か、迷うところですね。今回は、日本酒にこだわる天ぷら店を厳選しました。プロから組み合わせの妙を教えてもらいながら、奥深い世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょう。

※こちらの記事は2023年12月25日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

Miki D'Angelo Yamashita

コロンビア大学・パリ政治学院修士。新聞社を経てフリージャーナリスト。専門は別だが、趣味が高じて食担当記者に。延べ3000人料理人インタビュー、約30カ国で食関連を取材。料理本も多数編集。

【MY CHOICE】
・最近行ったお店:未在 / 晴山 / レヴォ /茶禅華
・好きなお店:ギ・サヴォワ / Restaurant KEI / 祇園さゝ木 / 宮坂
・自分の会食で使うなら:ル・ブルキニオン / ラルジャン / 乃木坂しん / 蕎麦おさめ
・注目しているお店:お料理ふじ居 / 日本料理 研野 / ELEZO ESPRIT
・得意ジャンル: スイーツ
・好きな食材:麺類

このライターの記事をもっと見る

この記事をシェアする