長い時を重ねてきた老舗には、一朝一夕にはなし得ない「伝統」を味わう醍醐味があります。その伝統が100年も続くものであれば、なおさら。今回は名古屋で歴史を誇る日本料理の名店をピックアップ。一度は訪れたい老舗の味をご紹介します。
1.400年の歴史を受け継ぎ、新たな世代へ紡ぐ料亭のおもてなし
河文(愛知県/丸の内駅)
創業400年、尾張徳川家ご用達のご馳走処として名を馳せ、中部地区の迎賓館として多くの賓客をもてなしてきた名古屋の料亭「河文」。伊藤博文など歴代の総理大臣をはじめ、国内外の要人や著名人をもてなしてきた名古屋を代表する料亭の一つです。
現在は、靴履きのままご利用いただけるように館内を改装。車椅子や杖をご利用の方や、乳幼児連れ、海外からのゲストでも過ごしやすいようにと椅子席を主流にしているとのこと。
自慢は旬の厳選食材を贅沢に使った日本料理。その年、その季節、その土地で最もおいしい食材をふんだんに使い、板前の細かい心遣いが感じられる一品が並びます。
訪れるお客様の好みに合った味を探求し続ける。江戸時代から続く伝統技法におもてなしの心を大事にする信条が、400年という歴史を生み出した理由なのでしょう。
2.北大路魯山人ゆかりの風情ある料亭
八勝館(愛知県/八事駅)
名古屋駅から地下鉄で30分の八事にある、大正14年(1925年)創業の「八勝館」。元は旅館業を営んでおり、時代に流されない姿を守りつつ、新しいおもてなしを模索しながら現在のかたちの料亭になりました。
4,000坪の庭園に全ての部屋が面し、季節ごとに変わる風情を肌で感じながら特別なひとときを過ごせることでしょう。堀口捨己氏の設計「御幸の間」は、昭和25年に名古屋で国体が開催された際に、昭和天皇皇后両陛下のご宿泊所として建てられました。2020年には国の重要文化財に指定され、毎年公開及び見学会を実施しているそうです。
稀代の美食家として名高い北大路魯山人ゆかりの料亭としても知られ、伊勢・三河湾の海の幸や木曽養老鈴鹿の山の幸、木曽三川の川の恵みなど地元の食材をふんだんに使用。こだわり続けてきた厳選素材を存分に味わえる一品に仕立て、地元産の器と共にいただけます。
3.歴史と趣のある建物で日本料理本来の美しさを堪能
料亭 か茂免(愛知県/白壁)
名古屋の街並み保存地区に指定されている「白壁」に1,000坪の敷地を有する、昭和3年創業の老舗料亭「料亭 か茂免」。大小10室のお座敷があり、昔ながらの数寄屋造の趣を今に伝える佇まいが自慢です。いずれの部屋からも四季の香り豊かな庭園の眺めを楽しめ、掘りごたつや椅子・テーブル席、披露宴会場など、用途に応じておもてなしができるのは、歴史ある料亭ならでは。
季節ごとに変わる会席は、伊勢湾、三河湾、濃尾平野をはじめ全国各地の選りすぐりの食材・珍味を厳選。伝統の味を受け継ぐ職人が織りなす名古屋の美味で、日本料理本来の美しさと醍醐味を心ゆくまで堪能できます。
名物は洋画家・和田三造氏も愛した「すっぽん鍋」。「コークス」の高温で焚いたコラーゲンたっぷりの出汁で体の芯から温まり、ぷりぷりの食感に、〆の絶品雑炊まで、存分に楽しみましょう。
何年経っても変わらずにいてくれる老舗旅館ならではの姿やおもてなしは、いつでも帰ってこられる安心感を抱かせてくれます。何かの記念日に、自分へのご褒美に、ぜひ一度出かけてみませんか。きっと日本のおもてなしの素晴らしさを再発見することになるでしょう。
※こちらの記事は2024年01月31日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。