一度は訪れたい、天ぷらの名店 京都編

日本有数の観光地でもありながら、魅力的な飲食店が数多く建ち並ぶ街、京都。この国の文化を感じる和食には割烹料理や寿司などもありますが、天ぷらも外せません。匠の技で仕立てられた逸品を味わうその瞬間、何とも言えない幸福感に包まれます。今回は京都府内にある、天ぷらの名店を4軒、ご紹介いたします。

1.大正ロマンの香り漂う、癒しと寛ぎの空間

料理旅館・天ぷら吉川(京都府/烏丸御池駅)

1952年に片泊まりの宿として烏丸御池駅の程近くに創業した「料理旅館・天ぷら吉川」。数寄屋造りの邸宅は大正初期に建てられたもので、元々は幕末から明治期における京都を代表する文人の一人であった、江馬天江の住まいでした。当時は文化人達が交流の場として訪れており、館内では太田垣蓮月尼や富岡鉄斎などの作品を見る事ができます。

洛中の中心という好アクセスの立地ですが、純和風建築と遠州好みの雅な庭園とのコントラストは美しく、街中とは思えない別世界の静けさに包まれています。個室は敷地面積の3分の1を占める本庭を望む和室と、坪庭に面した和室をご用意。天ぷらは揚げたてを食べたいという声にも応え、1964年の東京オリンピックの年に茶室を改装してカウンター席も新たに設え、貸切での利用も可能です。

料理はベジタリアンやアレルギー対応など、細やかなリクエストにも柔軟に対応。料理旅館ですから勿論、宿泊の利用も多く、ゆっくりと京都の休日を過ごすにはまさにうってつけです。

天ぷら 会席

料理旅館・天ぷら吉川

京都市営烏丸線/京都市営東西線 烏丸御池駅 烏丸御池駅3-1出口から徒歩約6分

12,000円〜14,999円

2.熟練の料理人が確かな技術で彩る、美しい食体験

水暉/ザ・リッツ・カールトン京都(京都府/京都駅)

二條大橋のすぐ近く、鴨川のほとりにお店を構える「水暉/ザ・リッツ・カールトン京都」。長さ11メートルものカウンター席には、御影石を使用。そこに石川県の伝統工芸である輪島塗を全面に施しており、華やかな美しさと重厚さが巧みにミックスされた、惚れ惚れするような設えです。

店内は組子細工や漆塗りなど、日本の工芸技術を用いた装飾が細部に至るまで緻密かつ美麗に彩られ、食事の前から気持ちがゆっくりと高揚してきている自分に気が付く事でしょう。外には木々が生い茂り、滝の流れがなんとも言えない清涼感を与えてくれます。自然を間近に感じながら食事ができるテラス席もおすすめです。

天ぷらは自然な圧搾製法の「一番搾りべに花油」を使用。風味が軽く、あっさりとしていながらも、食材の味をしっかりと引き出す調理技術は、国内外のゲストからも幅広い支持を得ています。エビやキスなどはサクサクとした香ばしさと程よくジューシーな食感、野菜はフレッシュ感が失われないようにフワッと、根菜ならばネットリと蒸し上げるような仕立てと、素材やゲストの好みに合わせた見事な手腕。誰と来ても安心して身を任せられる、間違いのない名店です。

和食/その他和食

水暉/ザ・リッツ・カールトン京都

線 駅 「京都駅」から車で約20分

15,000円〜19,999円

3.歴史と風情あふれる、創業明治18年の暖簾

京都祇園 天ぷら八坂圓堂(京都府/祇園四条駅)

祇園の奥座敷、閑静な八坂通り沿いにひっそりとお店を構える「京都祇園 天ぷら八坂圓堂」。街を見下ろすように五重の塔がそびえ立ち、建仁寺の広大な境内に抱かれているような佇まいです。打ち水に行灯の出された石畳の路地を通って店内に入ると、ほのかに銘香が漂う玄関がお出迎え。先代まではお茶屋だったという、伝統的な京都の数寄屋造りの店構えを、しっかりと守り続けています。

席に座ると、まずは竹ザルに盛られた山海の幸が運ばれてきます。旬の京野菜や山菜、瀬戸内や明石、若狭の魚介、奥琵琶湖に注ぐ清流の川魚など、四季と鮮度のよさが伝わってくるプレゼンテーション。季節の移ろいと共に、春には稚鮎や筍だったのが、秋にはハゼや松茸、銀杏というように、豊かな食材の変化を訪れる度に楽しめるというのは、実によいものです。

吟味を重ねた食材を引き立てる塩や天つゆは、こだわり抜いた独自の調配合を行い、天ぷら油は上質な綿の実を贅沢に絞った「最高級綿実油」を使用。素材の持ち味や風味を損なう事がありません。ゲストの食べ進め具合に合わせて絶妙なテンポでの提供が素晴らしく、文句の付け所がありません。

天ぷら

京都祇園 天ぷら八坂圓堂

京阪電気鉄道線 祇園四条駅 6番出口から徒歩8分

20,000円〜29,999円

4.隠れ家で味わい尽くす、あっさり京風天ぷら

天ぷらお料理 川辰(京都府/桂川駅)

街の喧騒を避けるように、桂川すぐ近くの閑静なエリアにお店を構える「天ぷらお料理 川辰」。柔らかい明かりの提灯が出迎えてくれ、石畳の細い道を進んでいくと、真っ白な暖簾が目に入ります。席は全席掘り炬燵になっており、ゆっくりとリラックスできる雰囲気で食事を楽しむ事ができます。目の前で流れるような調理風景を見たいという方には、L字のカウンター席も用意されています。

食材は京野菜はもとより、全国各地から取り寄せた四季折々の新鮮素材を贅沢に使用。高温の油を用い、短時間で揚げ切る車海老や、低温でじっくりと仕上げる根菜類など、食材ごとに最適な頃合いを見極めて供されます。天ぷらに向く新しい素材の探求にも余念がないのは訪れる度に実感する事で、ロマネスコの天ぷらなど、ゲストを飽きさせない斬新な美味しさに出会えるのも魅力です。

油は軽やかな仕上がりになる「こめ油」を使用。切れのよさからもたれるような事がなく、油のしつこさが気になる方でも気軽に食べ進められます。お造りや椀物などの一品料理も天ぷらに引けを取らない絶品揃い。確かな技術と厳しい目で仕入れた食材のよさが、高い評価を集めています。

天ぷら

天ぷらお料理 川辰

JR京都線 桂川駅 東口より徒歩10分

8,000円〜9,999円

いかがでしたでしょうか。十二分に発揮される職人技で揚げられた天ぷらは、そのすべてに様々な工夫が凝らされています。提供される料理に込められた技術と真心が、訪れる度に私たちを幸せで満たしてくれるから、多くのゲストが通い詰めるのでしょう。皆様も京都探訪の折には、ぜひ足を運んでいただけましたら幸いです。

※こちらの記事は2023年04月20日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

橋本 恭一

美味しいお酒とお料理を求め続ける 都内屈指の胃袋&肝臓フル回転系ライター。 和洋中ジャンル問わず、王道の古典料理から イノベーティブ系のお料理にどんなお酒が合うかを ひたすらに追い求めており、食前食後などのバーの 楽しみ方も皆様にお伝えしてまいります。
【MY CHOICE】
・さいきん行ったお店:ナスキロ/サエキ飯店/赤坂 らいもん/鮨 みうら
・好きなお店:レストラン キエチュード/ラ クレリエール/私厨房 勇/トラットリア ダディーニ
・自分の会食で使うなら:くろ﨑/Les Chanterelles/日本料理 晴山/の弥七
・得意ジャンル:フレンチ/イタリアン/バー
・好きな食材:サルミソース/真鱈の白子/生トリ貝

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