2019年11月、「セルリアンタワー東急ホテル」に大人のための特別なダイニングと呼ぶにふさわしい、新しいレストランとバーがオープンしました。今回皆様にご紹介します「鉄板焼 桜 -SAKURA-」は、令和元年度の「現代の名工」にも選ばれた福田順彦総料理長が全面プロデュースをされています。匠の技、そしてそのおもてなしの心地よさの全容をじっくりと取材いたしました。
「セルリアンタワー東急ホテル」の2階、柔らかい間接照明に映える格子が印象的なエントランス。「鉄板焼 桜 -SAKURA-」があるフロアに入ると、桜の樹皮を用いた象徴的なアートウォールが迎えてくれるカウンター席が広がります。
心に華やぎと寛ぎを与えてくれる和モダンの設えです。
すべては食材が持つ美味しさを、最大限に引き出すために
アミューズは二皿、香ばしく焼き上げた帆立は、中心部が半生の状態でふっくらとした食感です。挟み込まれている桜の塩漬けが、帆立の甘さをより際立たせてくれます。
もう一皿は、オレンジカリフラワーのムースにズワイガニとキャビアをあしらったもの。ズワイガニの旨味がオレンジカリフラワーの甘みと溶け合って、奥行きのある味わいに。キャビアの塩気もよいアクセントになって、調和の取れたお料理に仕立てられています。
ここにランソンの「ブラックラベル ブリュット」のシャンパーニュを合わせます。春の香りのような清々しいアロマの辛口で、飲み終わりに感じる花の蜜のような香りが楽しいです。帆立やズワイガニの甘味ともよく合います。
続いての前菜は、海老芋と鰯をベーコンで巻いてソテーし、上にわかさぎのコンフィを乗せた一皿。粘度のある海老芋が鰯をしっかりと包み込み、甘さとほろ苦さのコントラストが食欲をそそります。ベーコンの脂を吸った海老芋は、食べれば食べるほど癖になる美味しさです。グリーンマスタードソースとの相性良く、スパイシーな酸味が後を引きます。繊細な味のわかさぎは箸を入れるとふわっと湯気が立ち上り、口に運ぶとその身の柔らかさと淡く上品な美味しさがなんともたまりません。
ドメーヌ・マルク・クライデンヴァイスの「クリット ゲヴェルツトラミネール 2016」は、ミネラリーなミディアムボディの辛口白ワイン。ライチのような瑞々しさ、奥に薔薇のようなうっとりする香りも潜んでおり、鰯やわかさぎの優しい味わいをビビットに感じさせてくれます。
お料理とぴったりの相性のワインが続き、これはもうソムリエのご提案に身を委ねようと決めました。後半のお料理の前の箸休めには、大根と鰹節とトマトのサラダを。紅芯大根や紅しぐれ大根など、複数の大根がオリーブオイルとごま油、醤油で和えられています。いりごまの香りと隠し味のゆかりが絶妙の組み合わせで、シンプルな仕立てだけに食材の鮮度のよさが十二分に伝わってきます。
鉄板焼の醍醐味、舌が喜ぶ卓抜の火入れ
透明な耐熱フィルムを使用して、鉄板の上でアクアパッツァが作られます。会話を楽しみながら、流麗な所作の調理でお料理が仕上げられていく。鉄板焼の魅力に酔いしれる、代えがたい時間です。フィルムの袋を開けて目の前に盛り付けていただいたアクアパッツァからは、真鯛やアサリやイカなどが煮込まれた香りが後から後から溢れ出します。どの食材も表面はつやつやと、内側からは凝縮した魚介のエキスが噛む度に溢れてきます。スープを一滴も残したくないと思うほど絶品の味わいでした。
ボルドー白ワインの「レ・ブラン・デュ・シャトー・プリュレ・リシーヌ2016」は、豊かな果実味とエレガントで滑らかな口当たり。しなやかでありつつ力強い味わいがあるので、滋味深い料理との相性は抜群です。もう少し温度を上げつつ、次のお料理にも合わせてみようと思います。
次に現れたのは大きく育った活鮑です。身は白ワインとバターで、肝は醤油とバターで焼き上げます。焼き上げる際の香りのよさが、胃袋を刺激してどうにも抗えません。身を口に運ぶと、柔らかさと歯応えのよさが共存します。身の旨味を味わいながら、肝も口に運びます。プルプルとした食感の後に溢れてくる肝のエキスが、口のなかで最高のソースに変わり、食べ切ってしまうことが惜しい気持ちになってしまいます。温度が上がってきた白ワインを飲むと、肝のソースにふくらみを持たせてくれ、あっという間に食べ切ってしまいました。
締めのご飯の前に、和牛のフィレステーキをレアで焼いていただきます。目の前で切り分けられる様子は見ていて飽きることがありませんが、温かいうちにいただきましょう。
まずは何もつけずにフィレ肉をいただくと、表面はしっかり焼き上がりカリッとしています。内側は綺麗なピンク色で、豊かな肉汁と弾力があるのにしっかりと火が入っています。目の前で調理を見ていたからこそ、見事な火入れの技術に驚きます。素材に合わせるコンディメントも丸中醤油や龍神乃鹽の塩など、食材の美味しさを最大限に活かすためのこだわりの品が揃えられています。
合わせる赤ワインは、「カリフォルニア・サン・スペリー・カベルネソーヴィニヨン 2016」。熟したプラムの果実感を感じるフルボディ、しっかりとしたタンニンを感じた後の余韻は、元気なスパイスやバニラの香りが! フィレ肉と一緒にいただくと、お肉を噛み締める喜びを再確認させてくれるベストパートナーとして活躍してくれます。
最後に、食材の美味しさが溶け出している鉄板でガーリックライスを。ここまで盛り沢山のお料理をいただいたのに、ガーリックの香りが食欲を刺激します。空気を入れて鉄板で仕上げることでガーリックの強さも円やかになります。お米の甘味とガーリックの旨味の調和、ああ美味しいという言葉が口から思わず漏れてしまいます。
デザートは栃木のスカイベリーと、葛切りです。スカイベリーは酸味と甘味のバランスがよく、ジューシーな味わいの苺です。葛切りには金粉と柚子がかかっており、食事後の口のなかをさっぱりとさせてくれます。始めから終わりまで、時が経つのも忘れる大満足のひとときでした。
食後に軽く放心状態だったところに、温かいお茶とおしぼりをいただき我に返りました。お客様がどのような状況か常に留意し、気持ちのよいサービスを当意即妙に受けられる。開業より「セルリアンタワー東急ホテル」がお客様に愛されているのも深く頷けます。
鉄板焼は、国内はもとより海外でも人気が高く、多くの有名店が存在しますが、そのなかでも「鉄板焼 桜 -SAKURA-」のお料理とおもてなし、そして美しい設えは心に残る大切な時間になるのではないでしょうか。華やぐ食事がうれしい、おすすめの鉄板焼です。
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アクセス
住所: 東京都渋谷区桜丘町26-1 セルリアンタワー東急ホテル 2F
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※こちらの記事は2023年04月20日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。