上海料理をベースとした新感覚のヌーヴェルシノワが、幅広い層から人気を集めている「中国料理 礼華 新宿御苑店」。ここ数年、様々なスタイルの中国料理のお店がオープンしている中、変わらない人気の秘密を探りにお伺いしました。
新宿御苑の美しい自然に囲まれた絶好のロケーションであるため、夏季はテラス席でバラエティに富んだお酒とお料理を堪能できるビアテラスプランも人気。
今回は厨房近くに設えられた、ゆとりのある個室席をお願いしました。
最初のお皿は、本日の前菜盛り合わせから。
タコと加賀太胡瓜の梅肉和えは、タコの甘みと梅肉の酸っぱさが小気味よく、弾力のある歯応えがたまりません。鯛の中華風漬けは、八角や桂皮などのスパイスとごま油が特徴的で、和食にはない食欲をそそる味付けになっています。
マキエビの野ばらのお酒漬けは、漬け込みに使用している玖瑰露酒(メイクイルーシュ)
からほんのりと漂うバラの香りで、なんとも言えない上品な味わいに。添えられているお塩をつけて食べると、マキエビの甘さをしっかりと感じることができます。
鶏肉の低温調理は、山形県産健味鶏の胸肉の穏やかな旨味に、特製のアーモンドソースが抜群の相性を発揮していました。食べ疲れしないのに、濃厚で癖になる味のソースです。中華風カポナータは、どんな味なのだろうと食べてみると、胡椒とカルダモンがバチっと利いていて驚かされましたが、これがまた野菜の滋味を引き出してくれる絶妙な味付けでした。
前菜は、それぞれ食欲を増進させる異なった味付けで、否が応でも期待が高まります。
続いては、干し貝柱と冬瓜のスープです。器から冬瓜の爽やかな香りが立ち昇ってきます。
冬瓜をゆっくりと噛み締めると、貝柱と葱油の美味しさがじわじわと優しい温かさで溢れ出てくるのです。この美味しさの溢れ出し方は、まるで高野豆腐を思い出させるようで、食べ進めていくと胃袋がほっとするような心落ち着く味付けでした。
スープの後は、エビと季節野菜の大葉炒め。強い火力でサッと火を入れる中国料理の炒め物は、その歯応えと香りが魅力です。
油通しした野菜のシャクシャクとした食感と、ぷりっぷりのエビが口の中で転がり、噛めば噛むほど香りと旨味が華やかに広がっていきます。
米を発酵させた調味料の酒醸(チューニャン)が隠し味に使われており、食べ終わった後の
余韻にまでコクを感じるようで、ついついもう少し食べたいと思ってしまいます。
メインは、お店始まって以来の看板料理である、フカヒレの土鍋入り姿煮込みです。
大ぶりのフカヒレが丸々使われているのも嬉しいです。肉厚の身はお箸を使ってほぐすだけで、なんとも気持ちのよい弾けるような感触が指先に伝わってきます。
口にその身を運んでみると、声が出てしまうくらいのフカヒレとソースの美味しさでした。
丁寧に細部まで掃除をしたフカヒレを使用しているため雑味はまったくありませんし、手間を惜しまず作った白湯で煮込むからこそのとても深い味わいでした。
お腹に余裕があれば、残ったソースにご飯を入れて最後まで食べ尽くすのもおすすめです。ちなみにソースは季節限定のものを含め5種類ほどあり、それぞれが絶品の味わいです。
締めのご飯は、ちりめんじゃこと鞍馬山椒の炒飯です。
口の中がフカヒレの美味しさで満たされていましたが、炒ったちりめんじゃことパラパラに炒められた炒飯の食感の妙が、程よく口の中をリセットしてくれます。
仕上がりがねっとりとした主食性の高い炒飯も魅力ではありますが、締めのメニューとしては強い火力で一気に仕上げられたパラパラの炒飯がまさにぴったりの一皿でした。
頬張る量によって、高菜多めだったりコーンが多めだったりする度に味わいが変わるのも楽しいです。
デザートは、“やわらか”杏仁豆腐と小菓子。
杏仁豆腐は粘度が高いのですが、甘さ控えめに仕上げられていて、つるんつるんと口の中に吸い込まれてあっという間になくなってしまいます。小菓子の水羊羹と月餅も、お茶とのバランスがとてもよいものでした。食事の最後にいただくお茶が美味しいと嬉しいもので、思わずお代わりをしてしまいました。
コースを通して感じたのは、基本を大事にしながらも上海料理の枠にとらわれずに、常に新しい美味しさを貪欲に追求する姿勢。どのお皿からも、実感することができました。
この意欲的な取り組みが、何度訪れても飽きの来ない満足度を生み出す大きな要因になっていると思いました。お酒についても、いかにお料理を美味しく味わっていただくか
という点に主眼をおいて提供されており、マネージャーソムリエを始めとしてそれぞれ得意分野を持っているスタッフが幅広い提案をしてくださるのも魅力です。
都会の喧騒を離れ、多様なシーンでゆっくりと中国料理に浸ることができる安心の一軒です。
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アクセス
住所 東京都新宿区新宿1-3-12 壱丁目参番館 1F
※こちらの記事は2020年01月27日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。