インタビュー|

【対談】「エディション・コウジシモムラ」×「ヴィラサントリーニ」~高知の恵みを五感で愉しむ~

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高知県土佐市の高台に建つ、横浪の眺望をエーゲ海に見立てたリゾートホテル「ヴィラサントリーニ」。白亜の建物に青い海と空が映え、その絶景から一度は泊まりたい人気の宿として有名です。
来る5月、「ヴィラサントリーニ」にて、ミシュラン東京2つ星のフレンチ「エディション・コウジシモムラ」のオーナーシェフである下村浩司シェフがコラボイベントを開催するとのこと。「ヴィラサントリーニ」大井史子社長と、高知ならではの自然の恵みや魅力についてお話しいただきました。

土佐湾の穏やかな紺碧の海に目を見張る

―5月にコラボイベントをされるということですが、お二人の出会いは?

大井社長(以下大井):私は仕事で東京に行くことが多く、会食やプライベートで都内のレストランをよく訪れています。友人から下村シェフのお店にお誘いいただき、数年前から大好きなレストランとして度々、お邪魔させていただいておりました。シェフはとても記憶力が良くて、たまたま高知にいらっしゃったときにお声がけくださって。

下村シェフ(以下下村):今、高知のグラフィック・デザイナーとして著名な梅原真さんと商品開発などでご一緒する仕事がありまして、そのご縁で高知を訪れたのです。「ヴィラサントリーニ」は2019年の12月に新館をオープンして、その中にレストラン「logue(ローグ)」を始めるということで、以前より気になってはおりましたが、レストランからの眺望に一目惚れした感じですね。

大井:5月28日、29日のコラボイベントを快諾してくださり、とても嬉しく思っています。

下村:それにしても、こちらの絶景は日本ではないような錯覚をしますね。今、コロナ禍で海外旅行に行けないでしょう。リゾートに行きたい方々が、「ヴィラサントリーニ」を知ったら、一気に押しかけてきますよ。まるで海外にいるような心地よい感覚を得たんですが、ギリシャ風というコンセプトはどこから来たんですか?

大井:ありがとうございます。ホテルを建設する際、ヨーロッパ好きなこともあってリゾート風が良いなと探していたところ、目についたのが、エーゲ海に浮かぶサントリーニ島のホテル「ヴォルカノ ビュー ホテル」でした。断崖から望む青い空と海の景色が、土佐市宇佐のこの高台からの景色とそっくり。三日月の形をしている島なので、見方を変えると高知県と似た形をしているんですね。
2004年の6月にサントリーニ島に向かい、現地のホテルを50ほど視察して、「ここのイメージで間違いない」と確信しました。 帰国後すぐにデザイン設計に取り掛かり、 約1年後の2005年8月1日、エーゲ海リゾートホテル「ヴィラサントリーニ」をオープンさせました。

サントリーニ島のホテルは建物やお部屋の形が独特なんです。かつてエーゲ海で最も古い文明が発達し、交易の要所として繁栄した島でした。交易船の船員たちが断崖の山に横穴を掘って住居にしていたそうで、現代では多くがリノベーションしてホテルになっています。本館のイメージはその洞窟型住居に見立てた客室になっています。
また、船長は断崖の上にある平屋根の大きな建物に住んでいたことから、新館は船長の家のイメージで作りました。

下村:今回の訪問には、島根在住の知人カメラマンも同行していますが、こちらの画像を送ったところ、直ぐにご一緒します!と連絡が来まして。。笑
僕も長年ヨーロッパにおりましたが、まるで、海外にいるような錯覚に陥ります。
正にビジュアルで語れる素晴らしいホテルだと思います。

大井:錯覚する感覚というのはすごく面白いですね。私はもともと「対価を支払い、ハイクオリティなサービスを受ける」というヨーロッパのホテル感覚が好きで、オープン時からそういう世界観を作りたいと思っていました。なので、日本の旅館のおもてなしとは少し違う印象を受けるかもしれません。
サントリーニ島に、予約の取りづらい5つ星の「カティキエス」というホテルがあり、フロントからプールサイドを見下ろすような形になっているのですが、滞在客がプールサイドのデッキチェアで寝そべっている横を、ホテルマンがトレイに乗せたシャンパーニュを颯爽と配っていたのが印象的でした。その時のホテルマンの立ち居振る舞いがとても格好よく、そんなヨーロッパのリゾートホテルならではの世界観をここで再現したいと思いました。

サントリーニ島のホテルのように、どこでシャンパーニュを飲んでも絵になるホテルを作りたかったんです。
こちらの新館はビューバスになっているのですが、是非横浪の絶景を眺めながら浴槽に浸かり、シャンパーニュを味わっていただきたいですね。
うちでは朝食にスパークリングワインとノンアルコールのスパークリングをご提供しています。ヨーロッパの上質なホテルでは朝からシャンパーニュをいただくことが多く、優雅な一日の始まりを演出できればと始めました。

下村:「シャンパーニュが似合うホテル」、良いキーワードですね。海外に行けない時だからこそ、海外にいるかのような錯覚をするリゾートは、今の時代が求めていると思います。

新鮮な恵みは、地元でしか食べられない

―高知の食材で、シェフが注目しているものは何ですか?

下村:仕事柄、旅に出ると地元の食材を見に行くことが増えました。高知でも、地元の生産者に会いに行こうと思っています。高知では「日曜市」が有名ということで、色々と見て回りましたが、柑橘の種類が非常に多くて興味深いですね。高知ならではの食材は、地元で消費されていて、東京には出回らないようですから、普段見かけないものが多かったです。
また、露地ものも多く、素材本来の良さ、力強さを感じました。

大井:柑橘は、こんなに種類があるのかと驚かれることが多いですね。シェフにぜひご賞味いただきたいのは、「めじかの新子」。ソウダガツオを高知では「めじか」と呼び、生後1年未満の幼魚を「新子」と呼びます。刺身としては獲れてから半日が賞味期限なので、地元の漁師町ならではのグルメです。
新子の刺身に欠かせないのが「仏手柑(ぶしゅかん)」です。皮のすりおろしと果汁をたっぷりかけ、爽やかな香りと共にいただきます。
8月~9月下旬ごろまでしか食べられない、一瞬の旬の味覚なので、この時期にぜひお越しいただきたいです。

下村:「ぶしゅかん」は酢みかんの一種で、独特の酸味がありますが、東京ではあまり見かけません。日曜市でも果汁を試飲しましたが、高知ではよく使われるそうですね。他にも沢山の柑橘が揃っていてバリエーションが豊かだなと感じました。
高知の特徴の一つとして、実は森林率が84%で、森林エリアが多いことがありますね。
今、次回のイベントのテーマを考えているんですが、「山、川、海、そして人」をテーマにしてみようと思っているんですよ。
どちらかというと高知はカツオなど海のイメージが強いですが、実は山の恵みも多いので、それを払しょくしたいですよね。僕としては、隠れた特産品を発掘して紹介したい。紅茶も生産されていますが、紅茶=高知というイメージもないので。
僕はまだ僅かな情報しかないですから、皆さんから情報を聞いたりして、生産者さんを巡ってみたいと思います。また東京の店でも、高知食材をふんだんに出してみようと思っています。そのうち、「シェフって高知の人なんですか?」って聞かれるくらいになりたいですね。笑

大井:是非そうなられてください。笑
高知の食材を巡る中で、もし何か面白いものがあれば、朝食にご提案をいただければ嬉しいなと思います。
当館でお泊りのお客様は、ディナーなしの方もいらっしゃいますが、朝食は皆様に召し上がっていただいています。なのでやはり朝ご飯は大事だなと思っています。

ギリシャの朝食ではどんぶりサイズの器にヨーグルトを入れて、はちみつをたっぷりかけていただきます。それもホテルの特徴にしたくて開業以来朝食の名物になっています。コロナで1年ほど輸入が止まっていましたが、今月からやっと再開し、朝食にギリシャから輸入したフェタのグリークヨーグルトとギリシャのはちみつをお出しすることができるようになりました。

下村:そうですね。朝食については5月までには完成できるよう色々と考えていまして、一風変わったジュースを提案できないかなと試作し始めたところです。高知ならではの素材を掛け合わせて作ったもので、朝にいただく爽やかなものにしたいと思っています。

大井: 今回のイベントで何度か高知にいらしていただくことで、高知の食材を再発見していただけるのはとても嬉しいことですね。地元にいると、中々これが面白いものだと認識しづらいので。

下村:まず、「ヴィラサントリーニ」は富裕層の人たちにビジュアルで誘惑して「行ってみたい」と思わせる力があります。今までは、どうせ飛行機に乗るなら海外へ行っていた、という層を取り込むチャンスかなと思います。一方で、旅の魅力として食は切っても切り離せない特別なもの。そこで、「食と宿」というテーマを提案し、PRしていきたいと思っているんです。
イベントでは、必然的に東京のお店でやっていることとは違う料理を打ち出していきたいなと思います。
高知の食材は、やはり東京で僕たちが見知らないものがふんだんにある。大衆が好んで食べてきた郷土料理にも沢山のヒントがあって、そういう地元ならではの知恵からインスピレーションを得たいとも思っています。
また、一方で、「人の力」というのもあります。僕は梅原真さんを高知のナビゲーターだと思っていて、歴史的な情報やストーリーを教えていただくことによって、より興味を持ちました。地元の人との関わりや、そういう人たちと素材の魅力を発信する形は、もっと様々にあるんじゃないかなと思っています。

大井:シェフが高知をどう表現されるのか、今からとても楽しみです。また、この貴重な機会を、高知の海が一望できる「ヴィラサントリーニ」のレストラン「logue(ローグ)」で開催できることを光栄に思います。
美味しい料理も勿論、景色もとびきりのご馳走ですので、ぜひ思い出に残るひとときを過ごしていただきたいですね。また、今回のことがきっかけで高知をより身近に感じていただければ幸いです。

【編集後記】
日本の美しさを異国に見立てたリゾートホテルの先駆者として、新しい旅のカタチを提案されている大井社長。また、旅の目的の一つに「人」との出会いを信念とされている下村シェフの温かみ。高知の絶景を間近に見ながら、ゆったりとした気持ちで和やかに過ごす、リゾートホテルならではの滞在の良さを感じたひとときでした。下村シェフが高知でどんな食材を探索されるのか、今からとても楽しみです。

***プロフィール***
下村浩司
六本木「エディション・コウジ シモムラ」オーナーシェフ。
22歳で渡仏し、「ラ・コート・ドール」などの三ツ星レストランを中心に8年間研鑽を重ね、1998年に帰国。都内のフランス料理店でシェフとして腕を振るう中、フランス大使公邸において数多くのパーティーの総指揮をとる。2007年に六本木「エディション・コウジ シモムラ」(現在ミシュランガイド東京版2ツ星)をオープン。シンガポール、バンコク、コペンハーゲンでの海外イベントの実施。JR九州クルーズトレイン「ななつ星」のデザート、JAL国際線ファーストクラス機内食を担当するなど、国内外の招致が絶えない。

フランス料理

エディション・コウジ シモムラ

東京メトロ南北線 六本木一丁目駅 1番出口方面六本木ティーキューブ連絡口直結徒歩3分

20,000円〜

大井史子
高知市生まれ。ヴィラサントリーニオーナー。
BlancBleu株式会社 代表取締役社長、株式会社歳時記屋 代表取締役(イベント会社)。
2004年6月サントリーニ島初訪問、以来毎年渡航。2005年8月ヴィラサントリーニOPEN。
日本ソムリエ協会 ソムリエ・ドヌール(名誉ソムリエ)、ラ・シェーヌ・デ・ロティスール オフィシエ・メートル・オテリエ、ブルゴーニュワインの騎士団 シュヴァリエ(騎士号)、シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ、サーブルドール騎士団 サブラー、シャトーパルメ名誉騎士団 シュヴァリエ。
趣味はワイン、旅行、猫、漫画。

ヴィラ サントリーニ
https://www.ikyu.com/00001273/

Airi Ishikawa

一休コンシェルジュ メディア事業部長。高級旅館のお取り寄せが最近のマイブーム。インタビューを中心に、地産地消や、生産者に近い距離で食材と向き合う極みのシェフがいる店をご紹介します。
【MY CHOICE】
・最近行ったお店:座屋 / とり澤 / IL FIGO INGORDO / ラチェルバ
・好きなお店:ベージュ・アラン・デュカス / ブラマソーレ / 美伶
・自分の会食で使うなら:六雁 / 中国飯店 富麗華 / レストラン ローブ
・得意ジャンル:フレンチ / バー
・好きな食材: 魚卵

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