幅広い世代から愛される中華料理。4000年以上に及ぶ歴史を持ち、広大な国土の中で発展した料理は、各土地の特長を色濃く反映しています。北方系の北京料理、東方系の上海料理、南方系の広東料理、西方系の四川料理は、中国4大料理として日本でも高い人気を誇るジャンル。今回は、特に日本でもなじみ深い広東料理の名店から、一度は味わっておきたいスペシャリテをご紹介します。
目 次
1.広東料理に欠かせない「上湯スープ」は、シェフの哲学が光る
一平飯店(東京都/麻布十番駅)
麻布十番の住宅街にひっそりと店を構える「一平飯店」は、時間を分けて「夜香港(イエホンコン)」と店名を変更。大皿料理を中心にダイナミズムある香港料理を体験出来る珍しい営業スタイルのお店です。
腕を振るうのは、本場香港と東京で修業を積んだシェフ・安達一平氏。現地の屋台から高級レストランに至るまで、広東料理を取り囲む文化や調理法を肌で学び、自身のスタイルを確立してきました。
スペシャリテの「上湯スープ」は鶏肉や金華ハムなど、多様な食材を使って贅沢に仕上げた逸品。黄金色に輝くスープは、その色、香り、舌を伝う優しい旨味まで、計算尽くされた繊細な味わいが特徴です。ときに、料理の引き立て役に回り、コース料理を更に素晴らしい体験へと昇華する「上湯スープ」はぜひ一度味わいたい銘品。
2.心も身体もデトックスされる、中国の精進蒸しスープ
カントニーズ 燕 (エン)/東京ステーションホテル(東京都/東京駅)
東京駅に直結する「東京ステーションホテル」内、地下1階にある広東料理専門店「カントニーズ 燕 (エン)」。モダンで落ち着いた雰囲気の店内は、優雅で広々としています。
“美と健康を叶える”をテーマに、広東料理の真髄を守りつつ、オリジナルな発想で再構築。美容食材も積極的に取り入れたメニューは、特に女性から大人気です。コースはディナー5種類とランチ6種類かあり、そのときの気分やシチュエーションによって選べるのも嬉しいポイント。
スペシャリテの1つ「佛跳牆ファッテューチョン」は、数種類のキノコと廣東乾燥野菜をふんだんに使って仕上げたオリジナル精進蒸しスープ。濃厚な旨味は、体の芯まで整うような味わいで、しっかり食べても罪悪感ゼロ。美味しく、ヘルシーな料理で心も身体も若返るようです。
3.本場香港の味をアレンジしたとろけるような和牛の煮込み
センス/マンダリン オリエンタル 東京(東京都/三越前駅)
地上37階で東京の絶景を一望できるリッチな空間・広東料理「センス」。テーブルはどこからでも大きな窓ガラスの先にある美しい景色を見られるよう配置され、スペシャルな雰囲気を演出しています。
料理長・中間利幸氏は正統派広東料理を追求。それぞれのレシピが持つストーリーを尊重しながらも独自の感性を加えた広東料理を提供します。あわびや伊勢海老といった品質の良い高級食材を、中国野菜などと合わせて余すことなく使用した美食の数々はつい、うっとりとするほどの味わいです。
スペシャリテは「鹿児島黒牛リブロース 酒粕と広東甜梅菜煮込み 和牛の芋角」。本場、香港で人気の料理「牛バラ煮込み」をアレンジした逸品で、霜降りが特徴的な鹿児島黒牛リブロースを酒粕と煮込んで仕上げています。一口食べると口の中に広がる、肉汁の旨味ととろけるような食感。贅沢な味わいを存分に堪能できます。
4.高級食材を使ったトラディショナルで深みのあるスープ
中国料理 桃花林/The Okura Tokyo(オークラ東京)(東京都/虎ノ門ヒルズ駅)
虎ノ門ヒルズ駅から徒歩で約5分。「オークラ東京」は日本が誇る高級ホテルの1つとして知られています。ホテル内にある「桃花林」は、前身のホテルオークラが1962年にホテル直営の広東料理レストランとして日本で初めてオープンした歴史あるお店。
桃源郷からインスパイアされた店内の壁には桃花が描かれ優雅な空間となっています。ホテルオークラ時代から移設継承された切金細工の、高さ3mにも及ぶスクリーンは圧巻。清朝期のアンティークと共に配置された広々とした店内は、甘美なひとときを過ごすのにぴったりです。
同店の魅力はなんといってもメニューの数で、なんとアラカルトは400種類以上。豊富なグランドメニューには「フカヒレの煮込み」や「叉焼(広東式チャーシュー)」といった広東料理の王道も。なかでも「蟹の卵入りふかひれスープ」は銘品で創業以来長く愛され続けています。丁寧に仕込まれた上湯スープに濃厚な蟹の内子をすり流し、コリッとしたフカヒレの食感とともに味わうことができます。中国の伝統技法と日本の四季を融合したこだわりの料理を堪能してはいかがでしょうか。
5.伝統的技術と新しい思考で作り出すスペシャリテ
銀座嘉禅(東京都/銀座駅)
銀座駅から歩いて3分程度、2022年にオープンした「銀座嘉禅」。間接照明が上品な店内にはカウンター席とテーブル席が用意され、様々なシーンで利用しやすい空間となっています。
オーナーシェフの簗田圭氏は、全国各地に店を持ち本格中華を提供する「中国飯店グループ」で研磨。北京、香港などでも本場の味と技術を学んだ実力派です。“覧古考新”をテーマに作り出される広東料理は旬の素材を活かした繊細かつダイナミックな味わい。
全9品以上を味わえるおまかせコースの中でも人気の高い「嘉禅名物フカヒレの姿煮込み」と2種の食べ方で楽しめる「廣東式ダック」は、一度食べたら箸を動かす手が止まらないほどの美味しさ。こだわりの詰まった料理は見た目にも楽しく、食の喜びを感じられます。
6.情熱が生んだ、本当に印象に残るフカヒレ料理
西麻布 香宮(東京都/広尾駅)
「西麻布 香宮」は自身の料理人人生の集大成として、スターシェフ・有島浩昭氏が店内の至る所まで贅を尽くし監修を務める広東料理の店。広尾駅からおよそ7分の場所にあり、シックな印象の店内では7メートルを超える一枚板カウンターが存在感を放ちます。
18歳で広東料理の世界に飛び込み、その後、数々の都内有数ホテルで研磨。フランス・パリの新店立ち上げに招かれるほど業界内でも信頼度の高い有島氏の信条は「一菜一魂(ヤッツォイ・ヤックァイ)」で、料理人生40年以上が経過した今尚その情熱は衰えることがありません。
特に看板メニュー「フカヒレ姿煮」は、同店に来たら必ず食べたい一皿。希少な青ザメを大胆に使用した見た目はインパクト大。端正な下準備のもと、金華ハムの上湯で仕上げたスープは琥珀色に輝き、その美味しさに驚きと感動を覚えることでしょう。
各店舗が打ち出すスペシャリテはどれも、シェフが趣向を凝らして作る至極のメニュー。シェフの経験はもちろん、考え方や店のテーマも垣間見ることができるでしょう。まずはスペシャリテから広東料理の名店の味を堪能してはいかがでしょうか。
※こちらの記事は2024年05月10日作成時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。