今や寿司といえば、世界的に人気の日本食。特に東京ではインバウンドゲストも押し寄せ、予約困難店が急増中です。そんな中、伝統的な江戸前寿司をベースに、より現代的なアプローチを加える店が次々と誕生しています。今回紹介するのは、東京で2023年下期にオープンした話題の寿司店。コストパフォーマンスにもすぐれた実力店6軒を厳選しました。
目 次
1.斬新なニュースタイルの本格江戸前寿司
鮨 富かわ(東京都/吉祥寺駅)
吉祥寺駅から徒歩約1分、末広通り入り口すぐのビル2階に店を構える「鮨 富かわ」。2023年7月オープンするやいなや“江戸前寿司のニュースタイル”と、たちまち注目を浴びました。店に入るとまず目に留まるのは、モダンなデザインの壁をバックに職人が寿司を握る姿。大将の大村亮太氏は「ホテルオークラ・アムステルダム」で修業後、26歳で帰国し、銀座や静岡の和食店で経験を積んで独立。江戸前寿司の技を駆使しながらも、新しい発想をふんだんに取り入れていきます。
赤ワインとバターで炊き上げたフォワグラをシャリと合わせ、マグロとトリュフを上に散らした「マグロッシーニ」や、オレンジで炊いたあん肝を、ふわふわの生クリーム食パンの上にのせたおつまみなど、斬新な料理を考案。ドリンクは、日本酒やウイスキー、ソムリエ厳選のワインなどが豊富に揃っています。共に新しい寿司の世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。
2.アートを眺めながら、旨味が詰まった寿司を満喫
麻布 鮨 翠九龍(東京都/麻布十番駅)
“大人の空間でゆったりとくつろげる店”をコンセプトに掲げる「麻布 鮨 翠九龍」。店主の芳賀真氏は、築地や銀座、六本木、赤坂の寿司店などで経験を積み、2023年7月に麻布十番に自身の店をオープン。店内は、グッドデザイン賞受賞建築家による非日常空間が広がります。店に入るとまず目に飛び込んでくるのは、樹齢300年・長さ約7メートルものヒノキの一枚板が迫力のカウンター。陶器や漆器、絵画などがディスプレイされ、まるで美術館のような雰囲気の中で食事を楽しむことができます。
旨味が詰まった旬の素材の味を、存分に引き出した江戸前の職人技。目で舌で感じられるよう、細部にまでこだわった五感を刺激するコースを堪能してみてはいかがでしょうか。
3.心地よい空間で、リラックスしながら味わう老練の技
鮨 恵比寿 幸凛(東京都/恵比寿駅)
2023年7月、恵比寿の裏路地に誕生した「鮨 恵比寿 幸凛」。落ち着いて過ごせるリラックス空間で、独創的でありながらも、大将・木福昌幸氏の実直さを感じる握りの数々が生み出されます。「蒸し鮑」や「ふかひれの握り」など、最初から最後まですべてがメインディッシュ。一流店も扱う仲卸より仕入れた上質な魚の旨味と向き合い、本来の味わいを余すことなく引き出す方法を探求し続けます。
シャリに使うのは、北海道産・特Aランクの「ななつぼし」。木桶を使い、昔ながらの製法で造られた三重県の「MIKURA酢」をメインに、赤酢の「三ツ判山吹」や米酢をブレンドし、オリジナルの味を追求します。友人宅に招かれたような“緊張しない”寿司カウンターで、心地よく老練の技を楽しめる貴重な一軒です。
4.江戸前寿司をベースにオリジナルを加味した寿司
鮨 十十十(東京都/恵比寿駅)
恵比寿駅から徒歩2分ほどの「恵比寿横丁」近くに、2023年8月にオープンした「鮨 十十十(すし とみ)」。赤酢がきいたマグロ、かつおだしが香るイクラの漬け、九州の卵焼きからヒントを得た独特の玉子など、大将・大貫昌弘氏が江戸前寿司をベースにオリジナルの工夫を駆使した現代風の寿司が楽しめます。大貫氏は「すし青柳」で修業をスタートさせ、ミシュラン星獲得店や都内のホテルで研鑽を積んだ後、独立。
シャリには長野県佐久市産のコシヒカリを使用し、農家に教わったという氷水で炊き上げる独自の手法を取り入れており、一粒一粒が際立った食べ応えのある食感が特徴です。赤酢・米酢・合わせ酢とネタごとに使い分け、厚めのものとの相性も抜群。黒と木目を基調とした落ち着いた店内には、プライベート感満載のカウンター個室もあり、祝いの席や女子会などの幅広いシーンに使えそうです。
5.かくれんぼ横丁に佇む、和モダンの隠れ家空間
神楽坂 寿司 こんこん(東京都/飯田橋駅)
かくれんぼ横丁の隠れた名店、2023年8月オープンの「神楽坂 寿司 こんこん」。和モダンな雰囲気が漂う隠れ家空間は、木の温かみにあふれ、都会の喧騒を忘れさせてくれます。店主の近藤昌弘氏は、和食料理店や寿司店で約25年経験を積み、板前仲間で豊洲市場のマグロ仲買人でもある山本慶氏と共に、満を持して自らの店を開業。
白酢と赤酢を使い分けてシャリを握り、2年間熟成させた魚醤を使うなど、味の幅を持たせています。季節によって変わる魚やシャリの状態、人の味覚といったさまざまを考慮し、一貫ずつ工夫を施して握ります。利き酒師が厳選した生酒やワインの組み合わせで、新たな味わいを表現します。
6.懐石スタイルを融合させた贅沢な寿司店
京橋 鮨 好日(東京都/京橋駅)
2023年9月、京橋駅から徒歩約5分の至便な場所にオープンした「京橋 鮨 好日」。寿司に懐石料理を融合させたオリジナリティあふれる寿司店です。季節ごとに食材を変え、旬と産地にこだわり、前菜・椀もの・向付けと続く懐石のスタイルに握りをはさむ斬新なスタイル。料理長自ら選んだ昆布を使い、配合にひと手間かけた出汁も絶妙です。
「御凌ぎ」には、海苔巻きを天ぷらにした「小柱と大葉の海苔巻き揚げ」などの創作料理が登場し、ゲストを魅了。豊洲から仕入れる直送の高鮮度な食材を揃え、ネタは毎日変わるため、訪れるたびに新しい味を楽しむことができます。赤酢と白酢を独自の配合で合わせ、コクと米酢の香りを引き出したシャリに江戸前の手仕事が織り成す贅沢なネタを、料理長選りすぐりのワインや美酒と共に味わえる寿司店です。
赤酢や白酢を独自のセンスで合わせたシャリや技術の高さで作り込んだネタ、そして寿司に合わせる充実の美酒など、高い技術にオリジナリティを加味した寿司店が増えています。敷居が高く、雰囲気的にも金額的にも足を踏み入れにくい高級店が注目を浴びている中、今回は寿司好きであればぜひ訪れたい、ニューオープンの寿司店ばかりを紹介しました。
※こちらの記事は2024年02月26日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。