季節を感じる旬食材の逸品。春のごちそうといえば、緑色に輝く「花山椒」を思い浮かべる人も多いことでしょう。里山の恵みを閉じ込めた香味、舌で感じる苦味と旨み。この季節にしか食べられない旬の味を求めて、名店へ足を運んでみませんか。
目 次
1.宮大工が建てた日本家屋で味わう名店ならではの味
SEN(京都府/五条駅)
五条駅から徒歩約5分、宮大工が建てた日本家屋が風情ある「SEN」。中に入ると、北欧調のモダンなカウンターが出迎えます。店主の杉澤健氏は、京都の老舗の数々で培った匠の技や伝統、ロンドンでのプライべートシェフの経験の持ち主。開業僅か半年で一つ星を獲得した、京都の注目店の一つです。
日本料理は、移り変わる四季を巧みに映し出す芸術。京都大原の水を始め、京野菜、丹波牛、丹後の黒鮑や間人蟹など、厳選した食材で四季を映します。4月中は、花山椒を用いたおまかせコースが登場。お出汁が効いた料理と花山椒のハーモニーを楽しんでみては。
2.親しみのある非日常空間で、旬を感じる京料理を
祇園丸山(京都府/祇園四条駅)
主人・丸山嘉桜氏が1988年に開店した二つ星の名店「祇園丸山」。数寄屋造りの店構えの中に一歩踏み入れると、心地よく凛とした空気が招き入れてくれます。敷居の高さを感じさせない細やかなおもてなしも人気の理由の一つ。
おまかせの料理では、春は筍・夏は鮎・秋は松茸・冬は松葉蟹を席で炭火で焼いてくれます。春は何といっても花山椒。素材の味わいを引き出し、五感(リズム・光・音・香・味)を通じて表現される、滋味深い日本料理を堪能しましょう。
3.「摘草料理」の名店で、山里の野趣と力強さを体感する
美山荘(京都府/京都市左京区花脊原地町)
京都市街から車で小1時間走らせた京都の奥座敷・花脊(はなせ)に佇む料理宿「美山荘」。創業1895年、再興された峰定寺の宿坊として始まり、3代目の中東吉次氏の頃から「摘草料理」を標榜。4代目の久人氏も自ら野山に入り、集めた野草や山菜、茸はもちろん、鮎やアマゴなどの川魚や、野鳥・猪・鹿・熊などの野趣に溢れる自然の恵みが揃います。
立原正秋や白洲正子など、多くの文化人から愛された由緒ある料理宿で堪能できるのは、四季折々の食材を用いた主人のおまかせコース。春先からは、花山椒はもちろん、都会ではあまり見かけない野山の摘草をいただけます。豊かな自然に囲まれ、季節のはしりから名残りまで、移ろう日々に身を寄せるような特別な時間を過ごせることでしょう。
4.歳時を感じる料理と茶の湯の心で客人をもてなす
祇園 末友(京都府/祇園四条駅)
「祇園 末友」は、名料亭で腕を磨いた末友久史氏が2009年にオープン。日本の建築美にこだわり、自ら設計した店舗には“構えも料理の一つ”という思いが込められています。和食の基本となる「水」にもこだわり、地下40メートルから汲み上げる「八坂の水」を礎に繊細な料理を仕立てます。
春になると楽しみなのが、花山椒をふんだんに使った「山と海の幸を贅沢に味わうコース」。牛肉との焚き合わせは見た目も美しく、花山椒の香りと共に至福のひとときを過ごせることでしょう。
5.京都を代表する老舗料亭の繊細な京料理でいただく春の味覚
室町和久傳(京都府/烏丸御池駅)
京丹後の料理旅館に端を発する、京都の代表的な老舗料亭「室町和久傳」。京町家にモダンな趣を取り入れた空間、野趣の味わいに独自の洗練を加えた料理が人気です。2つの開放的なカウンターや中庭を望むテーブル席、大きさの異なる4つの個室があり、様々なシーンで利用できます。
食材にこだわり、野菜は「和久傳」グループで契約する畑で作った新鮮なものを提供しています。春の名物「丹波牛と花山椒鍋」は、花山椒を惜しげもなく使用。香り高い花山椒と合わさる肉の柔らかな甘みに、春の訪れを実感すること請け合い。
花山椒という食材一つを取っても様々なアプローチがあります。そのどれもが花山椒の新たな魅力を教えてくれ、料理の奥深さを感ぜずにはいられません。料理人の数だけ、まだまだ知らない美味しさに気付かせてくれるお店が、この世界にはもっとある。春だけのごちそうである美味しい花山椒を、探しに行きませんか。
※こちらの記事は2024年11月29日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。