兵庫県・西宮の閑静な住宅街に突如現れる和の風情。元は旅館であったという見事な数寄屋造りの一軒家で、旬を丁寧に切り取った本格会席料理をいただく贅沢な時間を過ごしませんか?
神戸地区で3つ星に輝いた数少ない一軒であり、連日予約が殺到するほどの人気を博しているこちらのお店。名店で修行を積んだ店主による芸術の如き料理と、静謐な和の空間が訪れるゲストを魅了して止まない日本料理店「子孫」をご紹介します。
阪急電鉄甲陽線甲陽園駅から歩いてほどない立地。大正時代には遊園地や撮影所が存在し、温泉地に高級旅館が軒を連ねるなど、大変に賑わっていたこの界隈は現在では押しも押されもせぬ関西屈指の高級住宅街として知られています。凛とした和の風情をまとった「子孫」はその数寄屋造りの外観からも格式が漂い、一歩足を踏み入れればまるで外の世界とは違う時間の流れを感じるような、端正で落ち着いた空間に迎えられます。
店内にはゆったりと寛げる掘りごたつ式の個室を始め、中庭に面した明るさが気持ちのよいテーブル席も用意されています。四季の移り変わりを楽しめる庭園の風情は言わずもがな、空間の一つ一つまでがこちらでいただくご馳走のうちと思えるような心遣いの行き届いた設えに、背筋がぴんと伸びる心地よさを覚えます。店名の「子孫」は、かつて敷地内にあった池がまるで小さな孫を思わせるような形をしていたことが由来となっているとか。
店主の藤原研一氏は、滋賀県東近江市にある1868年創業の名料亭「招福楼」にて修行を積んだ熟練の料理人。こう聞いただけでもその見事な腕のほどが伺えるというものですね。元々祖父が営んでいた旅館を先代が引き継ぎ、後に現店主である藤原氏が日本料理店としてリニューアルしたのが現在の「子孫」。藤原氏は「招福楼」において、一期一会の茶の湯の精神に通ずるおもてなしの心を深く学んだといいます。
日本料理の命である出汁には並々ならぬこだわりがあり、昆布出汁は火入れすることなく前日から時間をかけて引き、鰹出汁は血合いのない鰹節を用いて雑味なく仕上げます。そんな極上の出汁で仕立てる『椀物』は、季節の食材の滋味と相まってうっとりとするような至福の味わい。
そして京野菜や明石の魚介など、吟味した産地から届く季節の味覚は、店主の丁寧な下ごしらえと熟練の技で見目麗しい日本料理に仕立てられ、選りすぐりの器で提供。実際に口に入るもののみならず、供する器や空間の設え、所作などの全てが「料理」のうちであるという修業先の教えが、ここ「子孫」でも脈々と息づいています。
大切な人とゆったりとしたひとときを過ごしながら、季節感溢れる美味に酔いしれたい日にぴったりの「子孫」。和の風情に彩られた端正な空間は、家族のお祝い事などでもぜひ利用したいですね。ランチ、ディナー共に様々な会席料理のプランが用意されていますが、星獲得の人気店とあって予約はなかなか困難なことも。計画を立てたら早めのご予約がおすすめです。
※こちらの記事は2023年06月07日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。