東京・京橋に佇む40年以上の歴史を誇るグランメゾン「Chez Inno(シェ・イノ)」。フランス料理界のレジェンドとも呼ばれた創業者のスペシャリテをはじめ、正統派フランス料理を楽しむことができる名店です。伝統を守りながらも進化を遂げようとする、この店の魅力をご紹介します。
40年の歴史を誇る、都内屈指のグランメゾン

1984年創業と、都内で数えるほどしかない歴史あるグランメゾン「Chez Inno(シェ・イノ)」。東京駅からほど近いビジネス街の京橋で、立ち並ぶオフィスビルの1階に店を構えます。
ひときわ存在感を放つ店の扉を開けると、中に広がるのは重厚感のあるシックな空間。天井にはシャンデリア、日本人作家のステンドグラスが随所にあしらわれるなど、日本とフランスの融合を感じる華やかな内装です。
フランス料理界のレジェンドが築いた伝統の料理
店の創業者は、フランスや日本で数々の賞を受賞し、国際的な行事で料理を担当するなど、数々の功績を遺した井上旭氏。フランス料理界のレジェンドとも呼ばれましたが、2021年に他界しました。
井上氏が追求した“伝統と創造性あふれる豊かな味わい”を受け継いだのは、創業当時から「Chez Inno」で活躍し、井上氏が信頼を置いていた総料理長の古賀純二氏。「Chez Innoを100年続くレストランにしたい」という思いを持ちつつ伝統を支えていて、店では今でも井上氏が築き上げたスペシャリテの数々を味わうことができます。
なかでも代表的な料理が「仔羊のパイ包焼き マリアカラス風」。柔らかい仔羊の肉とトリュフやフォアグラを合わせてパイで包んだ贅沢な一品です。この料理を楽しみに店を訪れる人も多いとか。
もう1つのスペシャリテは「スズキの薄切り バジリコ風」。シンプルに塩とオリーブオイルで焼いたスズキと、ゴッホをはじめフランスの芸術家や文筆家たちにも愛されたペルノー酒をふんだんに使ったソースがよく合います。
料理はコースだけでなく、アラカルトが豊富に揃っていることもこの店の魅力。スープだけでも伝統的なコンソメをはじめ4種類用意されていて、自分好みにカスタマイズすることが可能です。
伝統を守りつつも、変化を取り入れる店のこれから
こうした40年以上の伝統を大切に受け継いできた「Chez Inno」。一方で時代と共に変化することも恐れません。2022年には、和歌山のフレンチの名店「オテル・ド・ヨシノ」で活躍していた手島純也氏を、料理長として迎え入れました。
30年ほど前、研修として「Chez Inno」に約3年間通っていたという手島氏。店に伝わる料理を受け継ぎつつも、ジビエのパイやパテアンクルートなど新しいメニューを提案し、ラインナップに新たな風を吹かせています。
変えていいもの、変えてはいけないものを見極め、長い時間をかけて築いてきた「Chez Inno」でしか醸し出せない味わいと雰囲気。店に足を運び、ここでしか出会えない食体験を堪能してみてはいかがでしょうか。
※こちらの記事は2025年02月05日作成時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。