「ピエール・ガニェール」グルメレポ。四季を映す彩り豊かな味覚のストーリー

世界を舞台に3つ星シェフとして名高い美食の巨匠、ピエール・ガニェール氏がプロデュースするレストラン「ピエール・ガニェール」。ガニェール氏は、現在、世界9か国で25店舗のレストランを展開していますが、その中でも、ここ東京は、天空に最も近い超高層階のレストランです。今日は、ディナーコース「ピエール・ガニェール」の12月26日から提供されている冬のメニューをいち早く実食レポートいたします。

「ピエール・ガニェール」は、「ANA インターコンチネンタルホテル東京」の36階にあり、東京の景色を一望できる贅沢なロケーションです。

受付から一歩足を踏み入れると、ガラス張りの窓が2面あり、そこから望む夜景に、まずは「うわーーっ」と感激。店内に入るまでのアプローチも素敵で、期待感がぐっと高まります。

この日は、個室でいただきました。

シェフは、ガニェール氏のもとで16年余り仕事をし、その魂と感性を受け継いだ赤坂洋介シェフ。ガニェール氏の薫陶を受けた赤坂シェフが仕切る同店は、10年連続で2つ星を獲得しています。

この日いただいたコース「Pierre Gagnaire Tokyo」は、前菜4皿・魚料理・肉料理・デザートのフルコース。使われる食材が、メニューに丁寧に記述されているのが嬉しいです。もちろん口頭でも詳細を説明していただけるのですが、サーブされたお料理の香りに夢中で、いざいただくときに、「何だったかな?」と思い出せないこともしばしばあるので。

私は、ノンアルコールスパークリングワインをお願いしました。こちらのノンアルコールは、とてもフレッシュで細やかな泡で、本物のシャンパンのように美味しく、気分も上がります。

ガスありのミネラルウォーターは3種類あり、その中でも、初めていただく「OREZZA」をいただきました。こちらは、コルシカ島3大ミネラルウォーターのひとつだそう。さわやかな喉越しで、ぬるくなっても口当たりが良く、お食事に合いました。

まずは、食前酒に合わせて、アミューズ・ブーシュをいただきます。

熱々のクロケット、パン・デピス、コンテチーズ、マロンペースト、竹炭のシュークリームと、直径1cmから2cm程度の小さなおつまみが5品、可愛く盛り付けられています。パン・デピスの中には、ギネスビールのジュレが挟まれ、マロンペーストには、トリュフの香りが閉じ込められ、コンテチーズにはチョコレートがコーティングされ……意外な食材の組み合わせなのだけれど、これが実にマッチしているのです。甘み、酸味、渋み、苦み……こんなに小さなおつまみで、ここまでのバリエーションで舌を楽しませてくれるとは!

「ピエール・ガニェール」のロゴがエンボスされた、ボルディエのバター。メニュー表やカトラリーレストにも、ロゴが光ります。

パンは、3つサーブされます。上から順に、ブリオッシュ、ドライフルーツとナッツのパン、パンドカンパーニュ。当たり前ですが、このパンが美味しい! カンパーニュは、もっちもちで、弾力あり。酸味控えめで、お料理のソースの美味しさを引き立ててくれます。ブリオッシュは、日本でいうところのミルクパンですが、バターがたっぷり入っていて、甘みがあるので、デザート代わりにも。

こちらが、1皿目の前菜です。初めてガニェール氏のお料理をいただく際、“え? これが1皿?”とほとんどの方が驚かれると思いますが、この複数皿が同時にサーブされる前菜こそ、ガニェール氏の象徴的な逸品です。まるで懐石料理のようですよね。

いただく順番も決まっていて、丁寧に教えてくださいます。まずは、酸味の効いた柑橘系と葡萄のシャーベットで口の中をリセットさせ、続いて、マリネしたサバで、舌を少しずつウォーミングアップ、次にスープで……というような形で、1皿食べ始めると、思わず次の1皿を欲してしまいます。この一つ一つのお料理を味わいつつ全ていただいたときに、口の中で1つのお料理が完成する感じで、しっかりストーリーが仕立てられているのはさすがです。

続いて、2皿目の前菜「ズワイガニのデクリネゾン」。
カリカリッとした蕎麦の実、シャキシャキッとした白菜とかつお菜、食感がアクセントになって、ふわふわっとしたズワイガニと、1つのお皿で何種類もの食感が楽しめます。

続いて、3皿目の前菜「リ・ド・ヴォーのポワレ」。
口の中でプリッ、ドロッと、白子のようにミルキーな味わいのリ・ド・ヴォーに、青かびのフルム・ダンベールを効かせたムール貝のクリーム。お料理が提供されるときに、温度、香り、食感が一番良い状態でいただけるよう、温度管理が徹底されていると感じます。

そして、ここで最後の4皿目の前菜「白と黒のホタテ貝ムースのパイ包み焼き」。

ソースはソースでとても美味しいのですが、素材そのものもシンプルに楽しめるよう調理されているので、1皿で2度の味わいを楽しめるのが嬉しいです。
まさに、“少しずつ、たくさんの種類のお料理をいただきたい!”という女性の願いが叶う前菜なのですが、単に品数が多いというだけでなく、この4皿だけでも、コースをいただいたような満足感があり、見た目の可愛さだけではないところが憎いです。

前菜が終わり、ようやくメインのお魚「鱗焼きにした甘鯛とビーフコンソメ」、お肉「ブレス産ピジョンのロースト 蒸したフォアグラと共に」の登場です。甘鯛は、鱗焼きがお見事で、カリッ、サクサクッと香ばしい食感が楽しめます。さらに、衣にビーフコンソメを絡めていただくと、そのままでも美味しい甘鯛をさらに引き立ててくれました。

上は、「パルフェ・グラッセ」。アイスクリームより濃厚な味わいですが、ふわふわっとした雪のように軽やかな口どけの、ひんやり冷たいデザート。下は、酸味と甘みのバランスがちょうどよく、2皿で1品となるデザートでした。

懐石料理のように美しい、現代風フランス料理がいただけるレストラン「ピエール・ガニェール」。洗練された空間と高いホスピタリティー、そして東京タワーを目前に臨むラグジュアリーな景色の中、至高のひとときを過ごすことができました。
日本の四季を映す旬の素材が贅沢に使われているので、記念日といわず、季節ごとに訪れたいレストランです。

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ピエール・ガニェール/ANAインターコンチネンタルホテル東京

東京メトロ銀座線 溜池山王駅 13番出口より徒歩1分(溜池山王駅より約5分)

30,000円〜39,999円

アクセス
住所: 東京都港区赤坂1-12-33 ANAインターコンチネンタルホテル東京36F

※こちらの記事は2023年04月20日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

Ciel

海外旅行カテゴリでのランキング1位を誇る人気ブログ「月に一度の世界スパ&ホテル巡り(http://cieltrip.blog.jp/)」を運営。世界のラグジュアリーホテルを趣味で巡る。いままでに55か国を訪問。昨年の国際線の年間搭乗回数は70、ホテル滞在日は年間250日を超える。2015年に個人のメディアとして初めて、フランス旅のルポルタージュ大賞を受賞。著書『月に一度の世界スパ&ホテル巡り』(KADOKAWA)

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