食通が選ぶ2024年のベストレストラン 中村孝則氏編

日々様々なレストランを巡る食通が、本当に好きなお店とは?今回お話を伺ったのは「世界のベストレストラン50」日本評議委員長を努められ、国内外で活躍されるコラムニスト・中村孝則氏。そんな中村氏から、2024年のベストレストランをジャンルごとに伺いました。どのお店も一度は行きたい、常連になりたい素敵なレストランばかり。早速チェックしていきましょう。
(記事掲載時点の情報となります。詳細は公式サイトなどで事前確認することをおすすめします。)

ご紹介してくれるのは……

中村孝則氏
神奈川県生まれ。美食評論家、コラムニスト。 ファッションからカルチャー、グルメ、旅やホテルなど“ラグジュアリー・ライフ”をテーマに、雑誌や新聞、TVにて活躍中。 2007年、フランス・シャンパーニュ騎士団のシュバリエ(騎士爵位)の称号を授勲。2010年には、スペインよりカヴァ騎士の称号も授勲。 2013年からは、「世界のベストレストラン50」、「アジアのベストレストラン50」の日本評議委員長も務める。剣道教士七段。大日本茶道学会茶道教授。

【日本料理/お寿司のお気に入り店】

1.鮨しゅんじ(東京都/麻布十番駅)

主人の橋場俊治さんは「鮨さいとう」の齋藤孝司さんの右腕時代から存在感と才覚を放っていました。2015年、橋場さんが29歳の時に「鮨さいとう」の二番手として個室を任され、2020年には同店初の暖簾分けをして独立。その後「鮨しゅんじ」を開業、2023年春には元麻布に移転しています。

この店では、自身のスタイルやアイデアを、少しずつ具現化し、料理や鮨の完成度はもちろん、器選びからもてなしの作法など、トータルの世界観を表現しています。新たな知見を得るために、休日は各地の市場や生産地、レストランにも訪れるなど研鑽を怠らない。ソムリエの資格をもち、日本酒への造詣も深い奥さまの彩子さんのサービスは、料理や鮨との相性だけでなく、緩急や息のあったタイミングも心地いい。これからの活躍と進化も大いに期待したいお店。

https://www.sushi-shunji.tokyo/

2.登喜和鮨 新潟店(新潟県/新潟駅)

新潟県を代表する鮨店、新発田市の「登喜和鮨」。今年、めでたく70周年を迎えるのを機に、三代目の小林宏輔さんは、あらたな挑戦として新潟市の古町に出店を決意。「登喜和鮨 新潟店」として営業をスタートさせました。ほぼ新潟産で選りすぐった食材で、自在な料理や握りを提供してくれます。

新発田のスイートコーン「ゴールドラッシュ」とはまぐりの出汁の茶碗蒸しや、新潟沖の春子鯛の磯辺巻き。巴の形で握る南蛮エビや「とと豆」と呼ばれるイクラの郷土料理など、ここでしか味わえない逸品は素晴らしい。もちろん、酒処である新潟の銘酒が揃うのも嬉しい。この店を訪れるためだけに新潟に行く価値が存分にあります。

登喜和鮨 新潟店

JR各線 新潟駅 車で約7分

20,000円〜29,999円

【イタリアン/フレンチなど洋食のお気に入り店】

3.NARISAWA(東京都/青山一丁目駅)

昨年20周年を迎えた「NARISAWA」。その周年を機に、店内を大きくリニューアル。ゲストとキッチンの距離感も近くなり、さらに居心地がよくなりました。シェフの成澤由浩さんは「アジアのベストレストラン50」で、初年度の2013年にアジア1位を獲得して以来、12年連続上位で入賞し続け、ミシュランでは二つ星と同時にグリーンスターを獲得するなど、名実ともに日本を代表するお店として世界中からゲストが訪れます。

成澤さんの料理の白眉は、訪れるたびに驚きと感動があり、進化し続けていること。皿の中の表現力はもちろん、味わいのシャープネスが常に磨かれていることには、あらためて感服します。その確固たるスタイル“イノベーティブ里山キュイジーヌ”の真価に、改めて太鼓判を押したいと思います。

イノベーティブ

NARISAWA

東京メトロ銀座線・半蔵門線 青山一丁目駅 徒歩2分

4.Crony(東京都/赤羽橋駅)

小さな公園に面して大きな窓を配した「Crony」の店内は木漏れ日が入り、どこか北欧風の暖かみのあるリラックスした雰囲気。東京の喧騒を離れて一気に旅した気分に導いてくれます。シェフの春田理宏さんは、パリの「ルドワイヤン」やオスロの「マエモ」、サンフランシスコの「セゾン」や東京の「カンテサンス」など、各国の三つ星レストランで研鑽を積んだ腕の持ち主で、確かな調理技術はもちろんですが、その飄然としたキャラクターに引き移された料理は、精緻ながらも力みがない透明感のある味わいが大きな魅力です。

シグネチャーのイサキの一皿は、芸術的な領域といってもいい完成度。加えてオーナーソムリエの小澤一貴さんのペアリングとサービスも第一級。今年「アジアのベストレストラン50」では58位にランクインし、いまアジアで最も注目の1店です。

フランス料理

Crony

都営地下鉄大江戸線 赤羽橋駅 中之橋口より徒歩1分

15,000円〜19,999円

【その他よかったお店・オーベルジュなど】

5.オーベルジュ オーフ(石川県/小松市)

石川県小松市観音下町にある廃校がオーベルジュとして生まれ変わった「オーベルジュ オーフ」。まず、小松の山麓の美しい里山の田んぼの真ん中というロケーションが素晴らしい。過疎で廃校になった小学校の施設を活かして、“美食オーベルジュとして地域おこしをする”というコンセプトは特筆に値します。まさに今、我が国が推進する“ガストロノミー・ツーリズム”のお手本のようなプロジェクトだと思います。なにより、シェフ・糸井章太さんの料理がこれまた素晴らしい。

世界的な料理の祭典「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」の本戦も含めて、数々の経験を積まれた糸井さんの引き出しの多さは、彼の料理にも反映されて、味わいどころも満載。地元石川の食材を中心に、季節の里山・海の幸を堪能できます。また広い敷地を活かして薪焼き竃を使うなど、ここでしか出来ない調理法を工夫しているのも楽しい。一度訪れたら別の季節も味わいたくなるポテンシャルに溢れています。

イノベーティブ

Auberge eaufeu/オーベルジュオーフ

JR線 小松駅 タクシーで約20分(約13km)

20,000円〜29,999円

いかがでしたでしょうか?数多の名店に通い、味覚の経験値が国内随一な美食家が選ぶ2024年のベストレストラン。どれも素敵なお店ばかりです。ぜひチェックしてみてくださいね!

※こちらの記事は2024年12月21日作成時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

中村孝則

神奈川県生まれ。美食評論家、コラムニスト。
ファッションからカルチャー、グルメ、旅やホテルなど“ラグジュアリー・ライフ”をテーマに、雑誌や新聞、TVにて活躍中。
2007年、フランス・シャンパーニュ騎士団のシュバリエ(騎士爵位)の称号を授勲。2010年には、スペインよりカヴァ騎士の称号も授勲。
2013年からは、「世界のベストレストラン50」、「アジアのベストレストラン50」の日本評議委員長も務める。剣道教士七段。大日本茶道学会茶道教授。

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