食通が選ぶ2023年のベストレストラン 門上武司氏編

日々様々なレストランを巡る食通が、本当に好きなお店とは?今回お話を伺ったのは、数々のメディアに出演・執筆し、関西を代表する食通として知られる門上武司氏。そんな門上氏から、関西を中心に2023年のベストレストランをジャンルごとに伺いました。どのお店も一度は行きたい、常連になりたい素敵なレストランばかり。早速チェックしていきましょう。
(記事掲載時点の情報となります。詳細は公式サイトなどで事前確認することをおすすめします。)

ご紹介してくれるのは……

門上武司氏
1952年10月3日大阪生まれ。フードコラムニスト。
株式会社ジオード代表取締役。関西の食雑誌『あまから手帖』の編集顧問を務めるかたわら、食関係の執筆、編集業務を中心に、プロデューサーとして活動。「関西の食ならこの男に聞け」と評判高く、テレビ、雑誌、新聞等のメディアにて発言も多い。一般社団法人 全日本・食学会 副理事長。2002 年日本ソムリエ協会より名誉ソムリエの称号を授与される。著書に、『門上武司の僕を呼ぶ料理店』(クリエテ関西)のほか、『スローフードな宿』『スローフードな宿2』(木楽舎)、『京料理、おあがりやす』(廣済堂出版)等。11月29日に発売された「あまから手帖別冊 食べる仕事 門上武司」(クリエテ関西)はこれまでの門上武司の食の歴史と、これからの「食」を考える刺激的な一冊。

【関西・日本料理/お寿司のお気に入り店】

1. 伏見町 栫山(大阪府/北浜駅)

都会にありながら、一歩店内に入るとその静謐感に驚く。大阪の喰い切り料理を尊びながらも、素材の組み合わせなどは自由自在。薄切りの松茸が花を添えたお造りや、松茸とスッポンの奉書焼きなどワクワクしながらも胃袋を心地よく刺激してくれる。カウンターでの演出が考え抜かれており、ご飯の段階になると「おお!」という歓声が上がり、拍手が起こるほど。常に変化することを目指している、大阪の新たな日本料理の世界を切り拓く存在。

日本料理

伏見町 栫山

京阪本線 北浜駅 徒歩3分

2. 鮨 三心(大阪府/谷町六丁目駅)

民家を改装して作り上げた店内は凛とした空気が流れる。営業スタイルは昼二回。まず寿司飯への研究心、浸水の温度や水の種類(軟水か硬水など)、炊飯器の種類、そして米の種類など寿司に合うご飯を突き詰める姿勢は比類なき。ネタは広島にある「梶谷農園」の野菜を巻き寿司に仕立てたり、寿司飯を包み込むように握ったりするなど、寿司の各パーツをブラッシュアップすることに余念がない。ヒラメの舌を覆うような味わいは忘れ難い。

寿司

鮨 三心

大阪メトロ谷町線、長堀鶴見緑地線 谷町六丁目駅 徒歩5~6分、6番出口が一番近いです

【関西・イタリアン/フレンチなど洋食のお気に入り店】 

3.チェンチ(京都府/神宮丸太町駅)

ここ2年ほどの変化は著しい。それまでは京都で料理を作ることを考えていたが、その域を軽々と超え、世界の料理人と交流することで、各国の食材、調味料、技法などを巧みに取り入れ、料理の世界が解放された感じ。特に発酵とアジアの香辛料の活かし方が、坂本健さんの料理に新たな生命を吹き込んだようだ。雲子のフリットは鮎の魚醤や黒麹などを使い、記憶に残る味わい。洗練さと知性を感じる。

イタリア料理

cenci

京阪線 神宮丸太町駅 徒歩12分

15,000円〜19,999円

4. Droit(京都府/神宮丸太町駅)

フランス料理の過去、現在、未来が俯瞰できる。森永宣行さんはレストランとは料理だけでなく、サービスまで含めて成立するというフランス料理店の在り方までも考える。料理は常にテーマを設定し、ソースのあるべき姿、ジビエの活かし方「サカエヤ」の牛肉の的確な調理など、常に前進することが真骨頂である。関西のフランス料理の次世代を担う一人である。

フランス料理

Droit

京阪鴨東線 神宮丸太町駅 徒歩8分

20,000円〜29,999円

【関西・中華料理のお気に入り店】

5. 京 静華(京都府/東山駅)

70歳を過ぎてカウンターのみに改装。理由は「料理を長く続けたい。一人で営むならカウンターと思いました」と宮本静夫さん。改装後も「春巻と麻辣のシャーベット添え」など、オリジナリティ溢れる料理を作り続ける姿勢は料理人の鑑とも評される。古典料理を徹底的に研究すると同時に、独自の視点で新たな料理を作り続ける。中国料理の基本となる上湯のクオリティは宮本さんでしかあり得ない、クリアにして滋味に溢れる味わいである。

中国料理

京 静華

京都市営東西線 東山駅 徒歩5分

20,000円〜29,999円

【その他、関西以外でよかったお店・オーベルジュなど】

6.アグリスケープ(北海道/西28丁目駅)

シェフの吉田夏織さんは、料理を作ることが大好き。同じぐらい野菜を育てたり、鶏を飼育したりすることも大好き。その身持ちがシェフの笑顔とスタッフとの一体感、料理にしっかり現れている。最初に食材を見せるのだが、全て自分たちが作っているものなので、説得力が半端ではない。食材の鮮度と質が料理の価値を左右するということを実感する。「葉野菜とハーブのサラダ」、「シャルキュトリー」の凄みは鮮烈であった。

http://www.agriscape.jp/

7.はすのみ(岡山県/西川緑道公園駅)

厨房にある火口は三つ。一つは常時蒸し器がかかったまま。故に二つの火口であらゆる料理を仕上げる。スチームコンベンションオーブンに頼らない。瀬戸内のチヌで清湯をとり、その熱々の清湯で火入れを施す料理は、味わいの深みと香り、そして余韻の長さに感動を覚えた一品。シンプルな調理器具から秀逸な料理が生まれる瞬間に立ち会った感覚。機器に頼ることなく、人間が持つ能力の無限の可能性を感じる。

https://ya1s700.gorp.jp/

いかがでしたでしょうか?数多の名店に通い、味覚の経験値が国内随一な美食家が選ぶ2023年のベストレストラン。どれも素敵なお店ばかりです。ぜひチェックしてみてくださいね!

※こちらの記事は2023年12月31日作成時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

門上 武司

1952年10月3日大阪生まれ。フードコラムニスト。
株式会社ジオード代表取締役。
関西の食雑誌『あまから手帖』の編集顧問を務めるかたわら、食関係の執筆、編集業務を中心に、プロデューサーとして活動。「関西の食ならこの男に聞け」と評判高く、テレビ、雑誌、新聞等のメディアにて発言も多い。一般社団法人 全日本・食学会 副理事長。2002 年日本ソムリエ協会より名誉ソムリエの称号を授与。
著書に、『門上武司の僕を呼ぶ料理店』(クリエテ関西)のほか、『スローフードな宿』『スローフードな宿2』(木楽舎)、『京料理、おあがりやす』(廣済堂出版)等。2023年11月29日発売の「あまから手帖別冊 食べる仕事 門上武司」(クリエテ関西)はこれまでの門上武司の食の歴史と、これからの「食」を考える刺激的な一冊。

このライターの記事をもっと見る

この記事をシェアする