一度は行きたい、東京の下町にある蕎麦の名店4選

日本の伝統的な食文化の1つ、蕎麦。その香り高い風味と独特な味わいで、古くから日本人に親しまれてきました。東京には、常連客に愛される老舗から、新しいアイデアが光るお洒落なお店まで、沢山の蕎麦屋があります。今回は、東京・下町エリアから、一度は行きたい、蕎麦の名店を厳選してご紹介。それぞれのお店が織りなすこだわりの蕎麦の奥深さを、存分に堪能してみませんか?

1.手打ちの冷や麦と蕎麦で締める独創的な蕎麦店

妻恋坂 けい吾(東京都/末広町駅)

妻恋坂 けい吾の店内

末広町駅から徒歩約3分、妻恋坂の手前の路地裏に佇む「妻恋坂 けい吾」。完全予約制の同店は、硝子の引き戸を開ければ、調理場を囲む幅広のカウンター、特注の折敷、名栗の壁面などこだわりの設えが現れます。

店主の阿部圭吾氏は、西麻布の日本料理店「二戀(にこ)」で修業後、蕎麦の技術を学びたいと神保町の名店「松翁」に弟子入り。契約農家から仕入れた蕎麦の実を、打つ分だけ石臼で挽いたあと「水回し」から「切り」まで、ていねいな工程を経て、つなぎなしの十割で仕上げます。

いただけるのは、秋田の名産を用いた季節の日本料理や、太白胡麻油で揚げる天ぷらなどのおまかせコース。おしのぎとして温かい十割蕎麦と一口寿司をはさみ、季節の食材を天ぷらにした一品料理などが続き、手打ちの冷や麦と蕎麦の2種の麺で締めます。独創的な構成が蕎麦通に人気の一軒です。

蕎麦割烹・天ぷら

妻恋坂 けい吾

東京メトロ銀座線 末広町駅 徒歩3分

15,000円〜19,999円

2.女将の打つ二八蕎麦と大将の蕎麦前料理の共演

浅草じゅうろく(東京都/浅草駅)

浅草駅から徒歩約8分、浅草観音の裏に位置する「浅草じゅうろく」。大将・伊勢谷忠促氏が毎日築地から仕入れる四季折々の食材を使用した料理と寿司、女将の伊勢谷留衣氏が打つ二八蕎麦、美味しいものがすべて詰まった贅沢なコース構成が人気です。

秋は茨城や栃木、冬は長野や福井から取り寄せた蕎麦粉を独自のブレンド、打ち方で、のど越しの良さを追求し、あえて二八蕎麦にこだわります。大将の握る寿司は、豊洲市場の仲卸人との信頼関係から仕入れた上質な魚を相性など細部まで考えたシャリで味わいます。

カウンター8席と5席のテーブル、個室2室を備えた店内は、明るい色合いを基調とした温かい雰囲気。大将や女将との蕎麦談義もはずむ、居心地の良い蕎麦割烹です。

そば、鮨

浅草じゅうろく

つくばエクスプレス線 浅草駅 徒歩約8分

12,000円〜14,999円

3.風情漂う空間で厳選酒とともに楽しむ蕎麦や蕎麦前

丹想庵 健次郎(東京都/浅草駅)

浅草寺裏手、通称「観音裏」と呼ばれる静かな一角に佇む「丹想庵 健次郎」。暖簾をくぐると、竹壁や掛け軸、和箪笥に行灯風など、どこか懐かしさを感じる和の空間が広がります。店主・鈴木健次郎氏は、日本料理店や焼鳥屋、蕎麦屋で修業。多様な経験を持ち、定番のもり蕎麦などに加え、蕎麦殻ごと挽いた野趣味溢れる田舎蕎麦が自慢です。

季節によって産地を変え、国内産の良質な玄蕎麦を石臼でていねいに挽き、蕎麦本来の持つ甘みや香りを最大限に引き出します。削り節の出汁とかえしを合わせた特製のつゆは、蕎麦と相性の良い丸みのある味わい。

酒蔵を訪れ厳選した日本酒をはじめ、三種の利き酒や蕎麦湯割りを選べる焼酎など、蕎麦や蕎麦前と好相性の銘柄が楽しめます。蕎麦と日本酒のペアリングもあり、四季の恵を満喫できる一軒です。

そば

丹想庵 健次郎

つくばエクスプレス線 浅草駅 1番出口 徒歩5分

6,000円〜7,999円

4.通に愛される星付き蕎麦店で「手碾きもり」のワザを満喫

根津 雙柿庵(東京都/根津駅)

根津駅から徒歩約3分、下町風情が残る根津の路地裏に、通に愛される蕎麦店が西多摩郡から移転。過去にミシュラン一つ星を獲得している「根津 雙柿庵」です。店主・渋田剛氏は、立川の名店「無庵」で修業後、独立。

茨城県の契約農家から仕入れた「常陸秋そば」の玄蕎麦を予約分だけ石臼で手挽きして打つ「手碾きもり」は、渋田氏のワザが光り、粗挽きならではの素朴さと豊かな風味が蕎麦好きを魅了します。

蕎麦に季節の酒肴を合わせたおまかせコースと女将が燗銅壺でつける燗酒をともに味わってみては。趣のある硝子の戸を開けると、柿渋色を基調とした落ち着いた色合いが心地よい空間。店主と女将の二人三脚のおもてなしを受けながら、日常からふと離れたくつろぎの時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

蕎麦

根津 雙柿庵

東京メトロ千代田線 根津駅 1番出口 徒歩3分

10,000円〜11,999円

今回は、店主の蕎麦への想いや技術を深く堪能できる、一度は行きたい東京・下町エリアの蕎麦の名店をご紹介しました。手打ち蕎麦には、その美味しさだけでなく、粋を感じる“日本文化そのもの”を味わえる良さがあります。ぜひお好みの蕎麦屋を見つけて、その暖簾を小粋にくぐってみてはいかがでしょうか。

※こちらの記事は2024年10月08日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

Miki D'Angelo Yamashita

コロンビア大学・パリ政治学院修士。新聞社を経てフリージャーナリスト。専門は別だが、趣味が高じて食担当記者に。延べ3000人料理人インタビュー、約30カ国で食関連を取材。料理本も多数編集。

【MY CHOICE】
・最近行ったお店:未在 / 晴山 / レヴォ /茶禅華
・好きなお店:ギ・サヴォワ / Restaurant KEI / 祇園さゝ木 / 宮坂
・自分の会食で使うなら:ル・ブルキニオン / ラルジャン / 乃木坂しん / 蕎麦おさめ
・注目しているお店:お料理ふじ居 / 日本料理 研野 / ELEZO ESPRIT
・得意ジャンル: スイーツ
・好きな食材:麺類

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