フードライター・森脇慶子さんがおすすめする日本料理店5選

日々食べ歩きをするフードライター・森脇慶子さんが、絶対に外さない行きつけの日本料理店をご紹介!正統派の和食や肉割烹など、様々なお店をピックアップしました。

1.食通の舌を魅了するジャンルを超えた海老・蟹料理の数々

うぶか(東京都/四谷三丁目駅)

子供の頃、家族と食べた蟹の美味しさに心惹かれ、料理人の道を選んだ「うぶか」店主・加藤邦彦氏。「かに道楽」に入社後は、京都の料亭やニュージーランドの和食店で修業を積み、新宿時代の「レンゲ」(現在は銀座)では中華も学んだ経歴の持ち主です。その豊富な経験に培われた素材へのアプローチで、甲殻類専門という制約したスタイルでありながら、多彩な調理法や味わいで、最後まで飽きることなく海老・蟹の美味しさを堪能させてくれます。

なかでも、出色は、スペシャルテの「車海老味噌フライ」。車海老の頭と殻でアメリケーヌソースを作り、車海老に射込んだ逸品です。アメリケーヌソースのふくよかな風味が海老の旨みを引き立てる一方、添えられた実山椒のタルタルソースをつければ、ソースの濃厚さを爽やかに味変。予め追加をお願いする常連客が多いというのも頷ける美味しさです。

和食

うぶか

東京メトロ丸ノ内線 四谷三丁目駅 徒歩2分

12,000円〜14,999円

2.極上のステーキを旬の味と共に会席仕立てで味わう肉割烹

肉割烹 上(東京都/六本木駅)

「田村牛のプレザオラ(生ハム)の春巻き」に「リブマキの握り」、そして「シャトーブリアンサンドイッチ」など。様々なアプローチで牛肉の美味しさを引き出す肉の達人は、「肉割烹 上」料理長の大久保丈太郎氏。月替りのコースでは、こうした牛肉料理をメインに、早掘り筍や蛤、蕗の薹などの旬の食材や雲丹にメジマグロ、ヒラメといった海鮮類を散りばめつつ、独創的な料理がテンポ良く登場。目と舌を楽しませてくれます。

「月齢35ヶ月以上の脂のくどくない赤身の美味しいA4を中心とした牛を選んでいます。」とは大久保氏。その肉の美味しさをストレートに味わえるのが、炉窯で焼くヒレステーキ。ロゼ色の断面も美しく、繊細な肉質と豊かな肉汁を堪能させてくれるはず。

割烹・小料理

肉割烹 上

都営地下鉄大江戸線 六本木駅 2番出口より徒歩8分

30,000円〜39,999円

3.薪と炭の二刀流で独自の世界を切り拓く和食の新星が銀座でリスタート

麻布室井(東京都/銀座駅)

再開発のため、麻布十番の店を閉め銀座へと移転。2023年12月にリニューアルオープンした「麻布室井」。以前に比べグッと広くなった店内には、炉窯が2台設えられ、カウンター席も2席増えて10席に。個室も備わるゆったりとした空間の中、薪火と炭火を巧みに使い分けた旬の味を楽しませてくれます。

「窯が2台になり、それぞれ炭と薪に分けて扱うことができ、火が扱いやすくなりました。」とはご主人の室井大輔氏。聞けば、魚など皮をパリッと焼きたい食材は炭火で、ジューシーに仕上げたい野菜や薫香をつけたい場合は薪火でと使い分けているそう。素材感を生かしながらも、さりげないアレンジを加えた一皿一皿が、コースの流れにメリハリをつけ、室井氏の気さくな応対と共に記憶に残るひと時を演出しています。

公式Instagram:https://www.instagram.com/tabetabe_/

4.ご主人の誠実な人柄そのままの直球勝負の美味しさが光る正統派和食

樋口(東京都/明治神宮前駅)

裏原宿に人知れず店を構えたのは、新世紀に変わった10月のこと。以来、多くの食通達の舌を魅了してきたのが神宮前「樋口」です。とはいえ、その料理は、殊更に気を衒ったものでも高級食材で意味なく飾り立てたものでもなく、至ってシンプル。全国各地の旬の食材に心を砕き、素材本来の持ち味を引き上げるため見えないところに手間をかける。寡黙なご主人・樋口一人氏の人柄そのままの実直で、直球勝負の美味しさが魅力です。

例えば、骨を抜き筒のまま関西風に地焼きにする鰻、藁で炙った鯵などさりげない一手間が心に残る美味しさを伝えます。また、常連客が楽しみにしているのが、締めの手打蕎麦。十割で打つその蕎麦は喉越しも軽やか。お代わり必須の逸品です。

5.派手さはなくとも滋味溢れる一皿一皿に心惹かれる新富町の隠れ家

味幸(東京都/新富町駅)

2022年の秋、新富町の外れにひっそりと暖簾を掲げた小体な和食店「味幸」。ご主人の南博幸氏は奈良出身。地元の和食店や「加賀屋」で修業後、今は無き名店「京味」で研鑽を積み、晴れて独立を果たした逸材です。

穏やかな笑顔に迎えいれられ席に着けば、安らいだ空気感の中、滋味豊かな料理の数々が口福を運びます。月毎に変わるおまかせのコースでは、冬には松葉蟹や寒もろこ、春は筍、夏には鮎と旬の食材が皿に季節を映し出し、派手さはなくとも心満たす美味しさを楽しませてくれます。なかでも出色は胡麻豆腐。一見、何の変哲もないようでいて、その食感と風味は別格。季節に応じて胡麻の炒り加減を変えるなど、もてなしの心が偲ばれる佳品です。

※こちらの店舗は現在紹介制となっております。

どこも一度は味わっていただきたい美味しいお店ばかりです。
ぜひお店選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。

※こちらの記事は2024年04月22日作成時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

森脇 慶子

学生時代からの食べ歩きが昂じて食の世界に携わり、早や40年余り。
フードライターという言葉もない頃からこの道一筋。美味しいものへの探求心は、変わりません。
食は歴史、食は人をテーマに続けていければ、というのが目下の願い。「東京最高のレストラン」のメンバーとしても20余年のキャリアです。

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