食通に聞く、旅してでも訪れたい地方の名店5選

「そのレストランへ行くためだけに、わざわざ足を運びたい」。そんな名店が、地方には数多く存在します。どのお店もその土地ならではの食材や、匠の技が光る一流のお店ばかり。今回はその中でも特にお気に入りを5店舗ご紹介します。

ご紹介してくれるのは……

山本憲資氏
広告代理店、雑誌編集者を経てSumallyを起業。スマホ収納サービス『サマリーポケット』を展開。先日代表を退き、顧問に就任したばかり。食や音楽、現代アートなどへの造詣も深く、様々な媒体で時折記事の執筆も手掛けている。2020年夏より軽井沢に拠点を移し、森の中でスマートリモートライフを満喫中。

1.大分の食材の魅力を堪能できる、九州随一の割烹

日本料理 別府 廣門(大分県/別府駅)

2021年6月、別府にオープンした「日本料理 別府 廣門」。店主の廣門泰三さんが「銀座しのはら」で働いていらっしゃった頃にお店でお会いしたことがあり、それをきっかけに訪問しました。コースは、大分・九州の食材を中心に構成されたおまかせ一本で、素材の魅力を存分に愉しめるお皿ばかり出てきます。

そのセンスに魅了され、すでに訪問回数は4、5回ほど。とてもお気に入りのお店で、九州No.1の割烹ではないかと思っています。ローカルの食材の愉しさをここまでのクオリティで味わえるお店は、日本全国を見渡してもなかなか他に見当たりません。女将さんが注いでくれる日本酒のペアリングもオススメ、気持ちよく酔えます。

懐石・会席料理

日本料理 別府 廣門

線 駅 別府ICよりお車で30秒

20,000円〜29,999円

2.センスのいい器の数々とともに、姫路で播州の素材を存分に愉しむ

淡流(兵庫県/姫路駅)

「銀座 小十」の料理長を長年務めていた中江悠文さんが、2019年姫路にオープンした割烹「淡流」。僕は神戸の生まれなのですが、両親の実家が姫路にあったこともあり、そのご縁で訪問させていただきました。「銀座 小十」のあと、当初は東京での独立を考えていたという中江さんですが、ご出身が姫路の隣町の高砂で、実家に戻って近辺の播州で食材巡りなどをしているうちにその魅力に気が付き、姫路での出店を決意されたと伺いました。

今年でオープンから5年が経ち、今や姫路を、兵庫を代表する名店の一つになっていらっしゃいます。昨年松茸の時期に伺った時も、驚くほどのクオリティで感激しました。器のセンスも素晴らしく、お料理との組み合わせを堪能できます。

懐石・会席料理

淡流

JR在来線/JR新幹線 姫路駅 徒歩8分

20,000円〜29,999円

3.圧倒的に手間のかかった仕事を味わえる、洋食の佳店

kitchen俊貴(愛知県/新栄駅)

名古屋の中心部から少しだけ離れたところにある洋食の名店「kitchen俊貴」。写真を見るだけで丁寧さがひしひしと伝わってくるお料理の数々に気持ちを引かれ、随分前からブックマークしていました。

先日やっとランチタイムに訪問が叶いましたが、前菜のサラダから手作りドレッシングの品の良さに感動。メインの「ハンバーグステーキ&タラバ蟹のクリームコロッケ」も、「随分と手間がかかっているんだろうなぁ」と一口一口噛み締めて味わいました。この日はそこまで時間がなかったので、アルコールなしでランチの定食をいただきましたが、次の名古屋訪問時には、ぜひ夜のコースをワインと合わせてじっくり味わってみたいなと思っています。

洋食

kitchen俊貴

地下鉄東山線 新栄駅 徒歩4分

10,000円〜11,999円

4.究極の居酒屋!? 割烹クオリティのお皿をアラカルトで堪能できる老舗

ぎおん 阪川(京都府/祇園四条駅)

祇園でアラカルト割烹といえば、名前が挙がる老舗の名店「ぎおん 阪川」。おまかせでいただくのはもちろん愉しいですが、カウンターで自分の好きなメニューを注文するアラカルトスタイルもおすすめ。目の前で焼いてもらえる上質な素材をグラスのビールと合わせて、というのは実に贅沢な体験です。

何年か前の初夏に訪問させてもらう機会があり、宮津産の肉厚なとり貝を炭火で炙ったものをいただいたことがあります。単品で頼めるがゆえのインパクトというか、その美味しさは今でもはっきりと覚えていますね。昨年は年末に訪れふぐ刺しをいただきましたが、これまた絶品でした。そんな言い方をしたら怒られるかもしれないですが、最強クオリティの居酒屋に来たような体験ができるお店で大好きです。

割烹・小料理

ぎおん 阪川

京阪線 祇園四条駅 徒歩7分

20,000円〜29,999円

5.代替わりしても抜群にモダンなセンスが光る、岐阜が誇る中華の名店

開化亭(岐阜県/名鉄岐阜駅)

岐阜にある中華の老舗「開花亭」。元々は、銀座「Furuta」の古田等シェフがオーナーシェフとして1978年に始めたお店でしたが、等シェフの東京進出に合わせて現在は長男の貴達さんが継がれています。ちなみに次男は、現在移転準備中の「CHIUnE」の愉史シェフ。

等シェフの時代から何度か伺っているのですが、アラカルトでもコースでも、ここでしか体験することのできない「開化亭」独自の世界観があります。「近くにあったらいいのにな」という気持ちもありつつも、地方にこういうお店があるとそのエリアを訪れる愉しさが増えて嬉しくなりますね。お父さまの時代からの看板メニュー「ホタテ貝柱とウニの揚げ餃子」の、口に含んだ瞬間にじわじわと広がるバターの風味は実にやみつきになります。

中華料理

開化亭

線 駅 岐阜バス 市庁舎西口 岐阜駅よりタクシー「市役所裏の中華屋さん」で。

20,000円〜29,999円

もちろん「そのお店へ行くためだけの訪問もぜひ」にですが、福岡まで行くことがあれば大分まで脚を伸ばしてみる。とか、神戸で予定があれば姫路に、ないしは、名古屋と合わせて岐阜まで。といったかんじで、地方にいくタイミングで1時間ほど移動時間に遊びをもたせて探索すると、素敵なお店と巡りあえる確率がさらにあがって旅の愉しみも増幅します。次はどこに行こうかなと、今日も僕はこれから計画を……。

※こちらの記事は2024年02月27日作成時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

山本憲資

広告代理店、雑誌編集者を経てSumallyを起業。スマホ収納サービス『サマリーポケット』を展開。先日代表を退き、顧問に就任したばかり。食や音楽、現代アートなどへの造詣も深く、様々な媒体で時折記事の執筆も手掛けている。2020年夏より軽井沢に拠点を移し、森の中でスマートリモートライフを満喫中。

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