フードライター・森脇慶子さんがおすすめする、1万円以下のランチが美味しいレストラン5選

日々食べ歩きをするフードライター・森脇慶子が、絶対に外さない1万円以下のランチが美味しいレストランをご紹介!和食から洋食まで様々なお店をご紹介します。

1.風情溢れる古民家で楽しむ蕎麦三昧。在来蕎麦ならではの味わいも魅力

蕎麦おさめ(東京都/目白駅)

在来種の蕎麦に特化した蕎麦の名店「おさめ」が、今年2023年4月、西麻布から目白に移転。築100年の古民家をリニューアル、一軒家の瀟洒な蕎麦店として生まれ変わりました。ししおどしや灯籠が並ぶ坪庭を望む屋内には床の間が設えられ、墨汁渋で染めた杉の床は素足にも優しく、美味しい蕎麦をいただくには絶好のシチュエーションです。

夜はアラカルトもありますが、ランチは完全予約制で5,000円台の「昼のそば三昧コース」のみ。その名の通り、そばがきから始まり、前菜の盛り合わせが出た後は、せいろ、粗挽き、玄挽きとまさに蕎麦尽くし。常時20種ほどが揃う在来種の中から、せいろは千葉成田在来、粗挽きは長崎対馬在来、玄挽きは鳥取伯耆在来など、それぞれ日替わりで打ち分けています。

「昔から品種改良することなく栽培してきた在来の蕎麦は、力強く、複雑性のある香りと旨みが魅力です」とは店主の納剣児氏。穀物感溢れる蕎麦の醍醐味をぜひ味わって。

蕎麦

蕎麦おさめ

山手線 目白駅 徒歩7分

8,000円〜9,999円

2.住宅街の一軒家で味わう感性豊かなイタリア料理

mondo(東京都/自由が丘駅)

自由が丘駅から歩くこと10分余り、閑静な住宅街に溶け込むかのようにひっそりと店を構えるリストランテ「mondo」。木の温もりが感じられる店内は、日中は、大きくとったガラス窓から差し込む日射しと庭の緑も素敵です。どこかミュージアムを思わせる開放的な雰囲気の中、シンプルでいて創意に富んだ料理の数々を楽しませてくれます。

ランチもディナーと同じくお任せコースのみ。滋味あふれる野菜のスープから始まる皿の数々は、オーナーシェフの宮木康彦氏がイタリアで学んできた郷土料理をベースに、自身の感性を吹きこんだ季節の味が魅力です。

また、ソムリエの田村理宏氏が料理にあわせて選ぶワインのセンスもさすが。時の流れをしばし忘れさせてくれる贅沢なひとときを約束してくれるはず。

イタリア料理

mondo

東急東横・大井町線 自由が丘駅 正面口より徒歩8分

12,000円〜14,999円

3.女性シェフが繰り出すテーマもユニークなランチコース

フランス料理 タンモア(東京都/乃木坂駅)

乃木坂から赤坂にかけて歩くこと10分ほど。年季の入ったビルの地下にひっそりと佇むフランス料理店が、ここ「タンモア」です。“柔らかな時間”の意味を持つ店名通り、白を基調とした清楚な店内では、心和らぐ美食のひとときを楽しませてくれます。

「フレンチは、じゃがいも一つでも料理人の腕一つで一流の料理にできる。そこが魅力ですね」と語るオーナーシェフの田中いずみ氏は、フランスでも3年半研鑽を積んだキャリアの持ち主です。

ユニークなのは、毎月、テーマを変えて構成するランチコース。例えば、世界のリゾート地をテーマにした8月のコースでは「沖縄」と題してゴーヤを再構築したアミューズからスタート。前菜の「プーケット」は貝と海老の冷製トムヤムクンにグリーンカレーソルベ添えた一皿等々、各リゾート地の料理や食材を取り入れつつ、フレンチへと昇華させています。ジビエ料理も得意という田中シェフ、アレンジは加えつつも、その根底には王道のフランス料理が息づいています。

フランス料理

フランス料理 タンモア

東京メトロ千代田線 乃木坂駅 徒歩6分

8,000円〜9,999円

4.ランチで楽しむ上海伝統料理。上海蟹の名店ならではの味をぜひ

蟹王府(東京都/三越前駅)

世界の食通が認める中国上海の「成隆行蟹王府」。ミシュランの一つ星を持つこの上海蟹の名店が、初めて日本に出店したのがここ。2020年、日本橋にオープンした「蟹王府」です。自社養殖場で徹底した管理のもとに養殖、生きたまま日本に届けられる最高品質の上海蟹が名物ですが、注目すべきはそれだけではありません。

フカヒレを使った料理や煮込み、点心など上海の伝統的な料理も侮れません。その味を手頃に味わいたいならランチがおすすめ。夜はコース2万円台からと高額ですが、ランチなら、20食限定の上海蟹入りの麻婆豆腐や上海蟹ソースの坦々麺等々、ワンランクアップしたおなじみの味をグッと身近に楽しめます。

なかでも珍しいのは、「黄魚面」こと「イシモチ麺」。イシモチのアラでとる白湯スープが決め手の上海伝統の料理ですが、その濃厚かつ余韻豊かな味わいはまさに唯一無二。ベテランの中国人シェフだからこそ出しえる美味しさでしょう。

上海料理

蟹王府

東京メトロ銀座線、半蔵門線 三越前駅 A8出口 徒歩3分

30,000円〜39,999円

5.銀座で鮨、をランチで手軽に楽しめる。穴場な一軒

鮨 杉澤(東京都/銀座駅)

江戸前鮨のメッカ銀座。名店ひしめくこの界隈に暖簾を掲げて5年。誠実な仕事と良心的な価格設定で根強い人気を集めているのが「鮨杉澤」です。物腰柔らかなご主人の杉澤敬吾氏は、銀座の名店「鮨青木」で17年、みっちりと修業を積んだ手練れ。ここでは、修業先から学んだ技術や仕事へのこだわりはもちろんのこと、ホスピタリティの精神も心に刻み、日々精進。

ランチでは、握り9貫に巻物・卵・小鉢をいただける平日限定のコースからその片鱗を見せてくれます。品数こそ少なくなるとはいえ、クォリティは夜とほぼ同じ。香りを重視して厳選する生本鮪、古い仕事である才巻き海老の唐子付け握りなど、江戸前の伝統を感じさせる握りが魅力です。

数寄屋橋通りの裏手に佇む店内は、カウンター8 席のみのこぢんまりとした空間。ここなら、落ち着いた雰囲気の中、肩肘張らずに銀座の鮨を楽しめるはず。

寿司

鮨 杉澤

東京メトロ丸ノ内線・銀座線・日比谷線 銀座駅 徒歩3分

20,000円〜29,999円

どこも一度は味わっていただきたい美味しいお店ばかりです。
ぜひお店選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。

※こちらの記事は2023年11月02日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

森脇 慶子

学生時代からの食べ歩きが昂じて食の世界に携わり、早や40年余り。
フードライターという言葉もない頃からこの道一筋。美味しいものへの探求心は、変わりません。
食は歴史、食は人をテーマに続けていければ、というのが目下の願い。「東京最高のレストラン」のメンバーとしても20余年のキャリアです。

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