「誇味山」実食レポ。一頭買いの黒毛和牛を楽しむ”肉好き”のための焼肉店

2019年1月、西麻布にひっそりとオープンした焼肉店「誇味山」。オーナー兼料理長の込山秀規氏は「ら・ぼぅふ」や「Cossott’e」など、有名焼肉店を手掛けてきた焼肉のスペシャリスト! 自ら芝浦の食肉市場へ足を運んで目利きし、A5ランクの黒毛和牛を一頭買いしているとあって、お肉好きの間ではオープン前から話題沸騰でした。

外苑西通り沿いのローソンが目印。ローソンを通り過ぎて次の角に現れる、煉瓦造りの建物の1階が「誇味山」です。外観も内装もシンプルながら、スタイリッシュで大人のための焼肉屋といった印象。重厚感のある木材とタイル合わせがお洒落です。

カウンター席と個室に、オープンキッチンが挟まれている珍しい造り。ここでは全てのお肉を焼いてくださるため、個室にもアプローチしやすくなっています。カウンター席に腰掛けると、にこやかな女将さんがドリンクメニューを手渡してくださいます。お酒もノンアルコールも種類が豊富。

まずはタンの2種盛りから。シンプルに塩胡椒で味付けされた厚切りタンと、自家製のタレに漬け込まれた薄切りタン。

カットも味付けも違うと、同じ部位でも全く印象が異なる仕上がりです。塩タンはお肉そのものの旨味と弾力のある歯応えが楽しく、これぞ焼肉屋さんのタン!

タレタンは、自家製ダレにより香ばしさとコクがプラスされ、1枚の薄切り肉なのに満足感が桁違い。薄切りながらサクサクとした歯応えもあるのは、熟練のカットのおかげでしょうか。

お次は左からカメノコ、ヒレミミ、スネの3種盛り。いずれも希少部位です。なかなか出合えない部位を食べ比べできるのは、一頭買いをしている焼肉店の醍醐味ですね。

カメノコは、肉の旨味が強い赤身。赤身の中でも、火が通り過ぎると固くなってしまいやすい部位でもあります。こちらでは、控えめに焼き目をつけた柔らかい仕上がり。脂が少ないのでレア寄りでもくどさはなく、赤身の美味しさを堪能できます。

続いて、厚みのあるスネ肉とヒレミミが網の上へ。焼き上がりまで時間がかかるため、待っている間に出てくるのがこのお茶漬け。

ご飯の上に薄切りのリブロース、そしてわさび。薄く切られた生肉の色が、熱いお出汁によって変わっていく画はムービージェニックですね。濃いめのお出汁とご飯だけでも十分美味しいところに、溶け出した脂が絡み、思わず笑みがこぼれます。

お茶漬けを食べている間に焼き上がったスネ肉です。弾力があり、噛めば噛むほど旨味が染み出します。

こちらはヒレミミ。特製の生姜山椒ダレが、スパイシーに香ります。他の部位と比べて肉のワイルドさが主張するといいますか、肉肉しいという表現がぴったりでした。

続いては、左からサガリとハラミ。いずれも内臓ですね。

サガリは、しっかりと繊維が感じられる赤身でありながら柔らかい。

ハラミは、肉の味が濃く、お肉を漬け込んだ「漬けだれ」との相性も抜群です。

箸休めのキムチ。

左からトモサンカクとランプ。

トモサンカクは、脂が乗っている部位のためか味付けはシンプル。肉汁がじゅわじゅわと溢れます。

こちらは焼き上がったランプ。なんて綺麗な火入れでしょう。きめ細かくて柔らかく、しっとりとした仕上がりです。

サーロインの丼
卵黄とサーロインの甘味がマッチしている、最高のご飯ものです。
卵黄はひとつ丸々ではなく、適度に絡められているのが特徴的。

丁寧に包丁が入れられたミノ。

コリコリよりサクサクに近い食感。包丁の入れ方と焼き方でこんなに味わいが変わるのか、と考えさせられる部位でもあります。

野菜スティック
シャキシャキのお野菜で、口の中の脂を洗い流してスッキリ。たくさんお肉を食べた後でも特有の胃もたれ感がなかったのは、終盤に野菜スティックが出てくるおかげかもしれません。

冷麺のつけ麺
この日の麺ものは、つけダレでいただく冷麺。

冷麺のちゅるんとした食感はそのままに、ピリ辛ダレでパンチのある味わいです。冷麺はサッパリしたものという概念を覆す一品。

焙じ茶ゼリー
ほんのりとした甘さとお茶の渋みを感じる、焼肉の締めに相応しいサッパリとしたゼリー。

お肉で始まり、終盤にお野菜をいただくコース、良いですね!お肉が食べたくて来たのに、ついサラダやキムチをつまみすぎてしまい、お肉が来るまでにある程度お腹が満たされてしまう経験がある人も多いのでは。特に女性はベジファーストを意識しがちですが、最初から好きなものを食べる幸せに勝るものはないと改めて思いました。

定番の部位であっても、他のお店とは一味違うものばかり。焼肉が好きな方にこそ、一度は行ってみてほしいお店です。

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焼肉

誇味山

東京メトロ千代田線 乃木坂駅 徒歩5分

15,000円〜19,999円

アクセス
住所 東京都港区西麻布1丁目15-9 ラ・アルタ西麻布1F

瀧口 杏耶

焼肉屋を経営する両親の影響で、幼少時から美味しいものに目がない若き美食ライター。肉質や火入れはもちろん、個々の素材や出汁を感じ取る「絶対食感」の持ち主。趣味はパフェやスイーツの食べ歩きで、最近はお寿司を勉強中。 普段は読者モデルやインフルエンサーとして活動中。

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