シガーと音を楽しむ大人の隠れ家が渋谷にオープン!「R261 CIGAR & ROCK/セルリアンタワー東急ホテル」

新しい文化が次々と生まれる渋谷に、2001年5月に開業した「セルリアンタワー東急ホテル」。上質なおもてなしの歴史を重ねつつ、新たなナイトカルチャーの提案として、2019年11月に「R261 CIGAR & ROCK」と2つのレストランがグランドオープンしたのは記憶に新しいところです。今回はバーマネージャーの吉田茂樹さんに、「R261 CIGAR & ROCK」の魅力と楽しみ方をお伺いいたしました。

※この記事は、2020年3月に行ったインタビュー・撮影をもとに制作しました。

渋谷の街で、心おきなくリラックスできる「大人の社交場」として

―「R261 CIGAR & ROCK」オープンまでの経緯を教えてください。

40階にあるタワーズバー「ベロビスト」が、2018年9月のリニューアルオープンと同時に全席禁煙となりました。これまでシガーを楽しんでいただいていたお客様のために何かしたいという思いをきっかけに、渋谷の街に大人の社交場を作り、新たなナイトカルチャーを発信したいと考えました。
曲も「ベロビスト」はジャズが主体ですが、こちらでは60~80年代のロックを中心としたレコードを流しています。

シガーやレコードといった、古き良き文化を残したい。そしてそれを生かしながら、新しいものも生み出していきたいと考えています。これは「セルリアンタワー東急ホテル」のブランドコンセプトである「選択・伝統・創造」に則った取り組みでもあります。

―提供されているお酒の特徴は。

ラム、ウイスキー、コニャックなど、シガーによく合うハードリカーを飲まれる方が多いです。少し変わった銘柄を希望されることが増えてきたので、限定生産の物やヴィンテージの物、マニアが好む希少なハードリカーを積極的に取り揃えています。カクテルですとネグローニやモヒート、シグネチャーカクテルもよく飲まれます。

―「セルリアンタワー東急ホテル」にご宿泊のお客様には、そんなシチュエーションでの利用がおすすめですか?

シガーは長い物から短い物まで、キューバやドミニカ共和国産の物を中心に45~50種類ほど用意しております。食後のご利用はもちろんですが、食前のお待ち合わせなどで短いシガーと食前酒を楽しまれてから、同じ階のレストランに移動されるお客様もいらっしゃるのでおすすめです。

―接客をされる上で、特に大事にされていることはありますか。

「ベロビスト」と比べて少人数で楽しめるスペースにしておりますので、世代や会話などからそれぞれのお客様の好みを推察しながら接客をしています。この世代ならこのシガーとお酒の組み合わせに興味があるのでは、この会話ならこのレコードをかけたら喜ばれるのではないかという具合に、お客様が笑顔になれるような対応を意識しています。
来日が予定されている海外のミュージシャンの曲をかけることもありますね。「ベロビスト」ではピアノの生演奏があって曲のリクエストもできるのですが、そのまま「R261 CIGAR & ROCK」にも足を運んでくださった時に、リクエストした曲のレコードを流すというようなさりげない連携をとることもあります。(笑)

人気カクテルのレシピと裏話をご紹介

吉田さんのカクテルは、国内外を問わずその美味しさと創意工夫に定評があります。
今回は、シガーと合う人気のシグネチャーカクテルをご紹介します。

◆「ビットバレー」

アクアビット、アマーロ、アペロール、チョコレートビターズをステアして作るオンザロックスタイルのカクテルです。このホテルが開業した頃、渋谷にITベンチャー企業が集まり始めた頃、渋谷はビットバレーと呼ばれており、そこからのネーミングとのこと。
アクアビットをベースに、甘さとほろ苦さを持つ副材料がまさに山と谷のような絶妙な塩梅で、あとを引く美味しさです。この甘苦さはシガーにも合います。途中でライムを絞ると、フレッシュな酸味がよいアクセントになり少しさっぱりとした風味になります。

◆「リュクサーズ」

ブランデー、ベネディクティン、チェリーブランデー、グランマルニエ、レモンジュースをシェイクして作るショートスタイルのカクテルです。ひと口飲んで、これはシガーとも合うように作られたサイドカーだと感じました。
ベネディクティンのハーブ感と苦味が、全体を腰のあるしっかりとした味わいに仕立ててくれていて、余韻に漂う甘酸っぱさが心地よい1杯です。

どのお酒を合わせるか、燻るシガーの行方を愛でながら決める

美味しさのあまりシガーと合わせるためのカクテルを飲み干してしまいました。
まずは吸う銘柄選びに、温度と湿度が厳密に管理されているシガールームに移動しました。
居並ぶシガーの状態はどれもしっとりと吸い頃の質感で、こうなるとやはり一番長いダブルコロナをゆっくりと味わいたい。それならばと吉田さんからご提案いただいたのは、リッチでボリュームがあり、かぐわしい土のフレーバーが魅力的な「パルタガス」の最上級品である「ルシタニアス」でした。

吸い始めの「ルシタニアス」の風味を堪能したかったので、カットはVカットでお願いします。シガー自体の香りを損ねないように、シガー用マッチを使って丁寧に火をつけていきます。ひと口吸うとなんとも上品な口当たりで、柔らかくストレスがないドローです。
煙さえもクリーミーで、蜂蜜のような甘い舌触り。ローランドのウイスキーに感じるような花の香りと、奥に樹木の風味を感じるスパイシーさが混ざり合って官能的な味わいです。
吸えば吸うほどに、しなやかでありつつ複雑なアロマがよりいっそう花開いていきます。

「吸い始め、中盤、終盤のそれぞれに対してお酒を合わせてみませんか」と、吉田さんから斬新なご提案が。
ダブルコロナは吸い終わるまでに2時間前後かかるので、ぴったりだと思いました。

吸い始めの1杯は、ポールジローの「オードヴィー 2018 サブール フルイテ」。
コニャックファンでなくとも、ポールジローは知っているし好きだという飲み手も多い人気生産者。熟成前のフルーティーで気品のある香り、そして優雅な味のふくらみは、シガーの風味と見事に調和します。このマリアージュは、吸い始めの「ルシタニアス」としかできないと思える繊細な味わいでした。
シガーを中盤手前まで吸うと、甘い香りからゆっくりと土の匂いと、煙を少し噛み締められるような深いコクを感じるようになります。この味わいの変化を楽しみながら、2杯目をいただきます。

ウイリアムズ&ハンバート「ソレラエスペシャル 20年」はよく熟成させた辛口のシェリー。程よいとろみにナッツの風味、ドライな口当たりが深みを増してきたシガーと合います。
ふかふかの落ち葉に包まれているような気持ちになる「ルシタニアス」の土と木の匂い、ソレラエスペシャルのスパイシーで苦味のある余韻が、気持ちよく酔わせてくれます。

中盤を過ぎたシガーは、強いスパイスの旨味が舌に残るようになってきました。吸う度に、口のなかに香木が茂ってくるようで楽しく、煙を舌で転がしたあとの後味にはほんのりと甘さを感じます。
ドロー直後の辛味が少し気になってきたのを見計らったかのように、「カットを変えてみましょうか?」と、本当に相手の表情をよく見られていると思った吉田さんのご提案は、絶妙のタイミングでした。マイルドな味わいになるように、Vカットをフラットカットに変えていただき、3杯目をいただきます。

バルデスピノの「レジェンド オブ キューバン ラム Pre-1962」は、1940~50年代に蒸留されたものを熟成させて瓶詰めにした希少性の高いラム。濃厚なシェリーのような黒糖感、シナモンやバニラの風味も感じます。時間が経つと焦がしたキャラメルのような香りも感じられ、とにかく美味しいの一言です。
スパイス感が全面に出てきた「ルシタニアス」を抱きしめてくれるような、恍惚の甘さを持つラムと一緒に、シガーもお酒も最後の最後まで味わい尽くして夢のようなひとときになりました。

今回のようにブランデー、シェリー、ラムと、種類の違うお酒や、ウイスキー尽くしなど、シガーに合わせたお酒のセットを用意することも探究されているそうです。
ホテルの洗練された魅力を大事にしながら、お客様に満足していただくために新たなサービスも創造していきたい。そんな「セルリアンタワー東急ホテル」の理念を全身で感じることができました。

入口の扉に赤く光る「R261」の文字の妖艶さには、なぜか引き込まれるような魅力を覚えます。
シガー、音楽、お酒と、五感が喜ぶバーの扉を、皆様も開けてみてはいかがでしょうか。

シガーバー「R261 CIGAR & ROCK」
https://www.tokyuhotels.co.jp/cerulean-h/restaurant/r261/index.html

アクセス
東京都渋谷区桜丘町26−1 セルリアンタワー東急ホテル 2F

セルリアンタワー東急ホテル(一休.com)
https://www.ikyu.com/00000355/

※こちらの記事は2020年10月29日作成時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

橋本 恭一

美味しいお酒とお料理を求め続ける 都内屈指の胃袋&肝臓フル回転系ライター。 和洋中ジャンル問わず、王道の古典料理から イノベーティブ系のお料理にどんなお酒が合うかを ひたすらに追い求めており、食前食後などのバーの 楽しみ方も皆様にお伝えしてまいります。
【MY CHOICE】
・さいきん行ったお店:ナスキロ/サエキ飯店/赤坂 らいもん/鮨 みうら
・好きなお店:レストラン キエチュード/ラ クレリエール/私厨房 勇/トラットリア ダディーニ
・自分の会食で使うなら:くろ﨑/Les Chanterelles/日本料理 晴山/の弥七
・得意ジャンル:フレンチ/イタリアン/バー
・好きな食材:サルミソース/真鱈の白子/生トリ貝

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