インタビュー|

「Restaurant L’AFFINAGE」高良康之インタビュー、「お客様一人ひとりが、このレストランの主役!」

銀座を代表するグランメゾン、「銀座レカン」の総料理長を長年務められた高良康之氏が、2018年10月にご自身のお店として「Restaurant L’AFFINAGE」を開店されました。
幅広い年齢層から高い人気を集めている高良氏の、お料理とサービスがどのように変化を遂げたのか、本日はじっくりとインタビューをいたしました。

F1の世界を目指していた少年が、いつしか料理人を志すまで

―いつから料理人になろうと思われたのでしょうか。

最初はF1カーを作りたかったので、研究所に入るため工業高校に入学して勉強をしていました。高校生だとバイクには乗れるので、バイクを買うために街の喫茶店でアルバイトを始めました。当時の喫茶店は、どこのお店でもカレーやミートソースなどを一から手作りしていましたので、そういう仕事を間近で見ながら、お客様からの反応がダイレクトに伝わってくる楽しさがありました。今思えば、それが料理人という仕事に興味を持つようになったのがきっかけですね。

1985年に池袋のメトロポリタンホテルが開業しまして、高校卒業後に就職をしました。
料理の専門学校を出ているわけでもないので、洗い場から始めました。そのうち調理場に空きが出始めてきて、体で覚えていった方がいいだろうという先輩の勧めで、忙しいコーヒーショップへ配属になりました。ラウンジでミルクセーキやサンドイッチ、ルームサービスでトンカツやうな重というように、ホテルの中でも一番多種多様なメニューに対応しなければならないのがコーヒーショップでした。先輩がホテルオークラ出身で、フランス料理の基礎にも触れられ、色々なものを吸収することができました。

―修業時代のエピソードを聞かせてください。

22歳で渡仏しましたが、その時まで料理人の仕事を辞めたいと思ったことは一度もありませんでした。大変な思いもしたしとにかく多忙でしたが、環境や先輩たちがずっと興味を持ち続けられる経験を与えてくれていたので、とにかく先輩たちに追いつきたい、もっと知識と経験を重ねていきたいという思いで一杯でした。
どうしてうまくできないのだろうと悩むことも多々ありましたが、それでも料理人の仕事を続けられたのは、いつも興味を持ち続けていられたからこそ。このことが、今に繋がっている一番の理由だと思っています。

渡仏してまず感じたのは、自分にもっと経験があればより多くのことを吸収できたのではないかという焦りでした。それでもやるしかないので、日々より多くの物を吸収できるように懸命に働きました。給料や住居の交渉なども、電話をしたり手紙を書いたり、希望の場所で働けるように自分で何でもやりました。

渡仏前にフランスの有名料理人のメニューなどを見ていて、いつかフランスに行きたいと思っていたので、寝る時間を削り限られた給料の中から工面して、フランス語会話教室に通ったりしていました。
自分がフランスに行きたいと言っていたこと、フランス語の勉強をしていることを覚えてくれていた先輩がいて、渡仏のきっかけを作ってくれました。努力している後輩を見守ってくれている先輩が沢山いましたね。
厳しい先輩たちでしたが、そういう先輩たちに恵まれていたのも料理人を辞めたいと思わなかった理由ですね。

ずっと「銀座レカン」でもいいのでは、と言われたこともあった中での独立

―独立までの経緯を聞かせてください。

料理人の仕事を始めた時から独立したいとは思っていましたが、その環境で与えられた自分の仕事をやり終えてから次の仕事に向かっていこうと考えていました。目的があって仕事をしているので、途中で終わるという考えが無かったのです。何歳だからシェフにならなければいけないとか、独立しなくてはならないということではないので、自分が一番いいと思ったタイミングで独立しました。

昔からのお客様には、ずっと「銀座レカン」の総料理長でもいいのではないかと言われたこともありました。お店は常に満席で、メニューは信頼して任せると言ってくださるお客様がだんだんと増えていく中で、次は自分が同じようにお客様を満足させることができるお店を作りたいと思うようになりました。自分の代で改めてお店の名声を高められた、それは私に「今ここでやるべきことをやり切った」と思わせてくれたのです。
「銀座レカン」の総料理長は誰もがなれるものではないので、ここをやり切ったと思わなくてはならないし、やり切った一番いい状態から次は自分のお店を開店させるというステップに進みたいと思いました。

―「Restaurant L’AFFINAGE」の魅力を教えてください。

お客様が主役で、そのステージでお客様に自己表現をするのがレストランの人間たちの役割だと思っています。カウンターと個室のどちらがいいか、お客様のニーズをしっかり見極めてリピートしていただけるように心掛けています。

お客様に寄り添うサービスをし、今日一日が楽しかったと思っていただけるような時間をご提供する。そういったことをできるのが、私たちの強みの一つでもあると思います。

―高良さんが調理を統率されつつ、全席のお客様と食事の流れを壊すことなくコミュニケーションを取られていて感嘆しました。特に留意されていることがあれば教えてくださいませ。

右利きのお客様にお出しするお皿の場合、主材料はフォークで刺しやすいやや左側に盛り付け、ソースが下に敷かれていて付け合わせが奥にあると、メニューに書いてある食材の順番で召し上がっていただけます。付け合わせをソースと合わせてほしい時とそうでない時で、主材料との盛り付けの距離も調整します。

メニューに書いてある言葉は、私からお客様への約束。盛り付けは見栄えのためだけではなく、調理法なども考えて、こう召し上がっていただきたいという意図があってのものなのです。食べること自体にストレスがかからないよう、お客様に合わせて盛り付けを考えています。
料理の説明も最初にポイントのみをお伝えし、少し召し上がっていただいた後に補足の説明をするようにして、だらだらと長い説明でお料理が冷めてしまうことがないようにしています。

―独立された後で、料理にはどのような変化があったか教えてください。

味を軽めにするということではなくて、素材が生きるような適切な重さを特に意識しています。フォンの取り方やソースの作り方も変化させ、飲めるようなソースを目指しています。核がしっかりとありつつ、軽やかな味わい、というようにです。
これに合わせて料理に使う塩を少し控えると、最初の一口は素材自体の味を感じやすくなります。食べ進めていくと、ああやっぱりしっかりと塩も効いている、ワインも飲みたくなるなあというように、グラデーションを感じながら食べられる味付けにしています。

お客様のことを一番に考えている、というとよく聞く台詞かもしれませんが、高良さんとお話しすればするほど本当にそう思っていらっしゃることが強く伝わってきます。食材への愛情も深い高良シェフ。「値段を付けているのは人間の勝手で美味しくない食材などない」という思いで、生産地を直接訪れて美味しさを追求されているそうです。食材の魅力をどのように発揮させるかについても、探究を続けています。本当に料理が好きな料理人の作るフレンチを皆様もご堪能ください。

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フランス料理

Restaurant L’AFFINAGE

東京メトロ銀座・丸の内・日比谷線 銀座駅 A5出口から徒歩約1分

20,000円〜

アクセス
住所 東京都中央区銀座5-9-16 GINZA-A-5 2F

橋本 恭一

美味しいお酒とお料理を求め続ける 都内屈指の胃袋&肝臓フル回転系ライター。 和洋中ジャンル問わず、王道の古典料理から イノベーティブ系のお料理にどんなお酒が合うかを ひたすらに追い求めており、食前食後などのバーの 楽しみ方も皆様にお伝えしてまいります。

MY CHOICE
・さいきん行ったお店:Buca del Tappo/サエキ飯店/赤坂 らいもん
・好きなお店:日本料理 晴山/ラ クレリエール/私厨房 勇
・自分の会食で使うなら:くろ﨑/リストランテ ペガソ/Panacee
・得意ジャンル:フレンチ/イタリアン/バー
・好きな食材:サルミソース/真鱈の白子/生トリ貝

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