日々食べ歩きをするフードライター・森脇慶子さんが、絶対に外さない行きつけの蕎麦店をピックアップ!メインとなる蕎麦へのこだわりはもちろん、一品料理が楽しめるなど、店ごとの個性溢れる4軒をご紹介します。
目 次
1.店主こだわりの空間で味わう、挽き立ての蕎麦と一品料理
浅草ひら山(東京都/田原町駅)
田原町駅から歩いて数分の場所に佇む、蕎麦処「浅草ひら山」。店内に一歩足を踏み入れると、職人が手作業で仕上げた胡桃の木のテーブルやカウンター、モダンな鉄製の照明、漆喰の壁など、こだわり深い設えが迎えてくれます。家具やインテリアで、空間に多くの曲線を取り入れているのも特徴。温もりある柔らかな雰囲気が伝わります。
ご主人の平山周氏は、名店「ほそ川」出身の実力派。玄蕎麦から仕入れ、2階にある製粉室で、剥きたて挽き立てで十割蕎麦を提供しています。蕎麦の実を挽く特注品の石臼は、ずっしりとした重さと石の特性によって、のど越しが良く香り豊かな蕎麦に仕上がるのだそう。さらに、季節の食材を用いた一品料理にも注目。カウンターで揚げる天ぷらは、食事のペースを見ながら出来立てを提供してくれます。心地よい空間で、蕎麦や一品料理を味わってみてはいかがでしょう。
2.昭和レトロな空間で味わう。レジェンドが打つ極細の蕎麦
仁行(東京都/浅草駅)
浅草観音裏に昨年6月オープンした蕎麦割烹「仁行」。昭和の民家といった佇まいの一軒家で腕を振るうのは、ご主人の石井仁氏。神田で蕎麦屋「いし井」を始めて30有余年、修善寺・東京・群馬・茨城を転々とし、7年半ぶりに東京の土を踏んだレジェンドです。かつての東銀座「古拙」、日本橋「仁行」では、ミシュランの星にも輝いたその実力を、ここでも如何なく発揮。
通称「水腰蕎麦」と呼ばれる素麺のように極細の蕎麦は、喉越しの軽さが身上。それも、通常は加水率40〜50%のところを65%で打つ独自の手法なればこそ。その蕎麦を、せいろを始め、蕎麦寿司やあんかけ蕎麦など様々な形で味合わせてくれます。料理に応じて配合を変える出汁の旨さも秀逸。その蕎麦と出汁を堪能できる冷かけはぜひ味わってみたい佳品です。
公式Instagram:https://www.instagram.com/nigyou_141/
3.旬の味を取り入れた季節の蕎麦も楽しみ
石臼碾きそば つきじ 文化人(東京都/東銀座駅)
「石臼碾きそば つきじ 文化人」という、ユニークな店名の由来は「文化と人の集まる場所にしたい」とのご主人・松田裕次郎氏の思いから。蕎麦という江戸を代表する食文化を要として、それを愛する人々が集う。そんな蕎麦屋を目指してのネーミングだとか。
“新しい老舗”をコンセプトに店を構えて10年余。もり、かけ、鴨せいろ等々蕎麦屋のスタンダードメニューはそのままに、冬は牡蠣、春は蛤、夏には潤菜と旬の素材を用いた蕎麦も楽しみです。その蕎麦も、福井・大野在来や鹿児島・肝付在来など全国の産地を自ら訪ね、その目で納得したものだけを扱っています。もちろん手打ちの十割蕎麦。ちなみに、2023年からランチのスタイルを変更。蕎麦単品を無くし、前菜とセットのスタイルで提供しています。
4.情趣豊かな古民家でいただく個性あふれる在来蕎麦
蕎麦おさめ(東京都/目白駅)
2018年、在来種の蕎麦に特化した蕎麦屋として西麻布にオープンして以来、瞬く間に食通らの舌を魅了した「蕎麦おさめ」。昨年には目白に移転。築100年の古民家をリニューアルしてリスタートしました。木の温かみが伝わるしっとりと落ち着いた空間で、坪庭を眺めながら手繰る蕎麦もオツなもの。それが個性的な在来種の蕎麦なら、また格別です。
「在来種とは、その土地で昔から交雑することなく栽培され続けてきた蕎麦のこと。小粒ながら濃厚な味わいと香り、余韻の深さが特徴です」とは、ご主人の納剣児氏。せいろ、粗挽き、玄蕎麦と蕎麦の挽き方を変えた3種を、異なる産地の蕎麦で提供。食べ比べできるのも楽しみです。
どこも一度は味わっていただきたい美味しいお店ばかりです。
ぜひお店選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。
※こちらの記事は2024年10月09日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。