食通なら押さえておきたい、2024年注目のオーベルジュ5選

料理をメインとした宿泊施設、オーベルジュ。シェフの目利きによって厳選された食材を使い腕によりをかけた料理とその土地ならではの世界観を、一日を通して堪能できる時間 は何にも勝る美食体験です。都会の喧騒を離れ、目の前にある食に集中する。そんな憧れのオーベルジュの中でも今回は、現代のテイストをセンス良く取り入れた注目施設に絞ってご紹介。日常から抜け出し、ひとときの癒しを味わいに訪れてはいかがでしょうか。

1.湖の畔で、五感に響くボーダーレスな美食体験を

SOWER/ロテル・デュ・ラク(滋賀県/永原駅)

滋賀県北部、奥琵琶湖にあるオーベルジュ「ロテル・デュ・ラク」内に併設するレストラン「SOWER(ソウア)」。緑に包まれた山と広大な琵琶湖に囲まれ、耳を澄ませば鳥の声や風の音、湖のせせらぎが聞こえます。

大きな窓から自然光が優しく入るカウンターキッチンで腕を振るうのは、ロサンゼルス出 身のシェフ、コールマン・グリフィン氏。サンフランシスコの三つ星レストランや、惜しまれながら閉店した飯田橋の名店「イヌア(INUA)」でスーシェフを務めた実力派です。この地に惚れ込み2022年に同店をオープンして以来、美食家たちがこぞって訪れる注目の場所に。

いただけるのは湖魚や若狭湾の鮮魚、ジビエを中心とした14品ほどのコース料理。この土地ならではの発酵や醸造といった調理法を探求して創造される、絶品料理の数々。日本の食文化を深く理解しつつグリフィン氏独自の経験により、ボーダーレスとなった料理は、食べた人に思いもよらぬ感動を与えます。

イノベーティブ

SOWER/ロテル・デュ・ラク

JR湖西線 永原駅 車で約5分(送迎あり)

15,000円〜19,999円

2.郷愁漂う廃校で、新進気鋭シェフの料理を味わう

オーベルジュ オーフ(石川県/小松駅)

石川県・小松市にある里山にぽつねんと佇む1棟の旧校舎。「オーベルジュ オーフ」は日本遺産に認定された観音下町にある「旧西尾小学校」をリノベーションして誕生した全国的にも珍しいオーベルジュです。施設内にある学校の机や遊具は、どこかノスタルジックな雰囲気を醸します。

シェフを務めるのは日本最大級の料理人コンペティションにて、当時史上最年少でグランプリを受賞した新進気鋭の糸井章太氏。過去にはフランスのアルザスやブルゴーニュ、アメリカ・カリフォルニア州の星付きレストランで研磨し、2022年に同店のシェフに抜擢されました。

コースでは、糸井氏の鋭いアイディアから生み出されるバラエティに富んだ料理がテーブルを彩ります。真に美味しい、とシェフが見込んだ北陸の食材を使った四季折々の料理は、その土地ならではのテノワールがストレートに感じられる味わいに。料理を通して郷愁に思いを馳せる瞬間は、私たちの心を豊かにしてくれます。

https://www.ikyu.com/00002996

3.一流シェフたちが見る美しき日本の風情を感受する美食体験

Auberge TOKITO(東京都/西国立駅)

東京都・西国立駅から徒歩で約1分。都心からのアクセスが良く便利でありながら、自然の豊かさと落ち着いた街並みを残す立川に、2023年オープンしたばかりの「オーベルジュときと」。1937年にできた旅館「無門庵」の跡地に建設され、モダンさと日本独特の風情がセンス良く絡み合う空間となりました。

同店では“神の手を持つ”とまで言われる、日本料理界のトップシェフのひとり石井義典氏が総合プロデューサーと総料理長を兼任。世界に誇る名シェフが集い、石井シェフを筆頭に艶やかなる食体験の場を作り上げます。

石井氏と共に腕を振るうのは「京都吉兆」で修業後、海外で懐石料理の発展に貢献してきた大河原謙治氏。同じく「京都吉兆」からローマの老舗日本食店やイタリア・ベルガモの名店まで、幅広い分野で活躍する日山浩輝氏ら。一人ひとりの持つ鋭い感性により得意分野を昇華させた料理の数々は、その優美さに思わずため息が出るほどです。

https://www.ikyu.com/00003160/

4.離島ならではの時の流れに身を委ね、味わう島の味覚

Grand Bleu Gamin レストラン(沖縄県/宮古空港)

沖縄県・宮古島に位置する「Grand Bleu Gamin(グランブルーギャマン)」。“感情の赴くまま自由な旅に出る”そんな好奇心に満ちた大人のためのプライベートヴィラです。海に囲まれた離島ならではのゆっくりと流れる時間に、慌ただしさから一線を画すバカンス気分を堪能できます。

シェフを務めるのは、東京都生まれの木下威征氏。本場フランスの三つ星レストランで修業後「AUX BACCHANALES」や「MAURESQUE」などの名店で活躍。現在では食関連のお店を5店舗経営する敏腕料理人です。

34年以上のキャリを持つ木下氏の料理の中でも、同店では宮古島ならではの素材を使用したフレンチを味わえます。スペシャリテのひとつ「フォアグラと紅はるかのテリーヌ」は、宮古島産の紫芋とフォアグラをテリーヌに。コクと香ばしさを加えた贅沢な一品です。カウンター席は変化してゆく食材の香りと調理の音を楽しみつつ、リラックスした時間を過ごせる特等席です。

フランス料理

Grand Bleu Gamin レストラン

線 駅 宮古島空港から車で15分

15,000円〜19,999円

5.作ることから考え向き合う、自然の中の食体験

レストラン – JIMGU -/ENOWA YUFUIN(大分県/由布院駅)

大分県・由布院駅から車で約5分。「ENOWA YUFUIN」は、丘の上から緑と麓の街並みが見渡せる絶景で、ゲストを魅了します。“ボタニカル・リトリート”をテーマに広大な敷地の中に佇む建物は、自然との調和を図りプリミティブな素材を使用。心も身体も浄化されるようなひとときを堪能できます。

「ENOWA YUFUIN」プロジェクトにあたり、エグゼクティブシェフとして就任したのが、世界的トレンド“Farm to Table”を牽引するアメリカのレストランで副料理長を務めていたタシ・ジャムツォ氏。オープンまでの3年間で、納得のいく食材を得るための畑作りから始めたというこだわりようで、力強くも優しい由布院の味を料理で表現します。

席に座り出された料理を食すだけでなく、敷地内に併設された温室で育った野菜を解説することで、ゲストの探求心と好奇心を刺激する新たな試みも。美しく、丁寧に添えられた料理に、大地の営みを感じずにはいられません。

https://www.ikyu.com/00002995/

その土地ならではのテノワールを活かし、地域と密接な関係を持つことで独自の個性を築き上げたオーベルジュ。お皿の上の料理を味わう以上の食体験が得られるところは、レストランにはない魅力のひとつです。みなさんもぜひ、好奇心に導かれ新たな美食の旅に出てはいかがでしょうか。

※こちらの記事は2024年04月30日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

Sonoka Watage

スイーツ専門メディアから「KIWAMINO」編集部へ。美味しいだけじゃない食文化の面白さや、作り手の思いを発信していきます。
好きなワインはピノノワール。お気に入りはカウンターで食べるデセールコース。
【MY CHOICE】
好きなお店:ADI /FARO
好きなジャンル:スイーツ/イタリアン

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