食通が通う、東京のおすすめ日本料理店5選

世界一の美食都市として名を挙げられる東京。数ある東京の名店の中でも、食通が通うのは、料理人の哲学を感じる日本料理店ではないでしょうか。今回は、料理の美味しさはもちろん「ゲストを楽しませたい」という思いがこもった、通いたくなる店を厳選しました。

1.日本料理の粋を体感できる、静謐な空間で味わう妙味

茶寮 宮坂(東京都/六本木駅)

六本木ヒルズけやき坂通りレジデンス棟3階に店を構える「茶寮 宮坂」。界隈の喧騒とは一線を画した静けさの中に、黒一色の平屋が夜の闇に紛れて、ひっそりと佇みます。“茶寮”という茶道の精神を反映したコンセプトの中、ジャパニーズモダンの広々とした静謐な空間にておごそかに届けられるのは、料理長の五十嵐庄太朗氏が、伝統を重んじた手法で生み出す妙味の数々。

なかでも、自家精米し、各地の名水で炊くスペシャリテの土鍋ご飯は、絶品です。ゴマで和えた切り身をのせ、黄金色の出汁を注いだ鯛茶漬けは、昼膳に楽しめる逸品。抹茶と和菓子で締めくくれば、文化として育まれてきた日本料理の粋を体感することができるでしょう。

懐石・会席料理

茶寮 宮坂

東京メトロ日比谷線 六本木駅 徒歩5分

15,000円〜19,999円

2.日本文化を料理で発信、食材ありきの豪快コース

日本料理 龍吟(東京都/日比谷駅)

東京ミッドタウン日比谷7階全フロアに広がる「日本料理 龍吟」。席に着くと、眼下には日比谷公園の緑あふれる眺めが広がります。「日本の豊かさを料理で表現すること」を使命とも捉え、食材ありきの豪快なコースを繰り出す山本征治氏。和紙に日本列島が描かれたメニューには、全国から取り寄せられたその日の素材が記されています。

和食の伝統的な技術をベースにした調理法で、日本の豊さに尊さを憶える逸品へと昇華。名工の作品や伝統工芸品に触れながら、五感で味わう風土の恵みはまた格別です。並々ならぬ情熱をかけて集められた、至高のワインや日本酒を合わせながら、熱いエネルギーが込められた山本氏の哲学を共有する、至福の美食時間が流れていきます。

懐石・会席料理

日本料理 龍吟

東京メトロ千代田・都営地下鉄三田線 日比谷駅 駅直結

50,000円〜

3.海外で愛されてきた料理人が放つ、バラエティ豊かなコース

麻布さおとめ(東京都/六本木駅)

にぎやかな西麻布の大通りから、一本裏道に入った路地に潜む隠れ家「麻布さおとめ」。店主の五月女広之氏は「銀座 久兵衛」で料理人としてスタートした後、アムステルダム、ロンドンに赴任。帰国して「菊乃井」「分とく山」などの名店で日本料理を改めて学び、香港にて独立、という華麗なるキャリアを築いてきました。その後、和食では初となる香港のミシュラン星付き店として、世界の美食家に愛されてきたその店を閉めて、再帰国後に同店をオープン。カウンター8席のこぢんまりとした空間は、いわば五月女氏の集大成。正統派日本料理をベースに欧米の調理法も織り交ぜ、華やかな食宴を繰り広げます。

五月女氏のルーツである鮨も楽しめるほか、ぜひ味わいたいのは、ロンドンで着想を得た「うにトリュフご飯」。吉野檜のカウンターをはさんで五月女氏と食談義をしながら、品数の多いバラエティに富んだコースを味わってみてはいかがでしょうか。

懐石・会席料理

麻布さおとめ

東京メトロ日比谷線 六本木駅 499m

30,000円〜39,999円

4.料理人とソムリエのタッグで、日本料理に新境地を拓く

乃木坂 しん(東京都/乃木坂駅)

乃木坂駅より徒歩約3分、生成りの暖簾が印象的な、風情ある佇まいの「乃木坂 しん」。徳島の名料亭「青柳」で料理人としての道を歩み始め「銀座 小十」やパリの「奥田」で研鑽を重ねた石田伸二氏と、フランス料理から日本料理まで数々の店で経験を積んできたソムリエの飛田泰秀氏により、2016年にオープン。2人のコラボはたちまち注目を浴びました。

出身地の徳島の食材をメインに使い、四季折々の滋味に富んだ料理の数々は、味覚のみならず視覚も楽しめる華やかさ。なかでも、鯛を使った料理に石田氏は自信をのぞかせます。自然派から希少なブルゴーニュまで、ワインのセレクトにかけては随一の飛田氏によるペアリングが、和食の新境地を拓いていきます。

懐石・会席料理

乃木坂 しん

東京メトロ千代田線 乃木坂駅 1番出口徒歩3分

30,000円〜39,999円

5.「ゲストを楽しませたい」という思いが詰まった“滋賀の田舎料理”

銀座 しのはら(東京都/銀座一丁目駅)

銀座一丁目駅から徒歩約3分のビルに店を構える「銀座 しのはら」。移転前の「日本料理しのはら」は滋賀県湖南市にありながら、全国から予約が殺到した日本料理の人気店です。2016年に銀座へ移転し、新たなスタートを切ると、こちらもすぐに予約困難店に。行灯が灯る入り口を下りていくと、白木のL字カウンターをメインとした清々しい空間が広がります。

滋賀で生まれ育った篠原武将氏が生み出す“滋賀の田舎料理”は、素朴な里山の情景、力強い自然の恵みを表現。作家ものやオールドバカラの器に合わせ、目にも艶やかです。季節のテーマを決めて盛り付ける絢爛なる八寸、手渡しの巻き寿司やフォアグラの最中などのプレゼンテーションも、訪問する楽しみの一つ。「ゲストを楽しませたい」という篠原氏の思いが詰まった心地よい空間です。

懐石料理

銀座 しのはら

東京メトロ有楽町線 銀座一丁目駅 徒歩3分

料理が美味しいのはもちろん、個性が光り、空間、サービス、お酒とすべてそろった名料理人の店をセレクトしました。予約困難な店もありますが、常連になって季節ごとに通いたい日本料理店ばかりです。

※こちらの記事は2023年08月30日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

Miki D'Angelo Yamashita

コロンビア大学・パリ政治学院修士。新聞社を経てフリージャーナリスト。専門は別だが、趣味が高じて食担当記者に。延べ3000人料理人インタビュー、約30カ国で食関連を取材。料理本も多数編集。

【MY CHOICE】
・最近行ったお店:未在 / 晴山 / レヴォ /茶禅華
・好きなお店:ギ・サヴォワ / Restaurant KEI / 祇園さゝ木 / 宮坂
・自分の会食で使うなら:ル・ブルキニオン / ラルジャン / 乃木坂しん / 蕎麦おさめ
・注目しているお店:お料理ふじ居 / 日本料理 研野 / ELEZO ESPRIT
・得意ジャンル: スイーツ
・好きな食材:麺類

このライターの記事をもっと見る

この記事をシェアする