【速報】『ゴ・エ・ミヨ 2022』受賞者発表!グランシェフのインタビューをレポート

日本の豊かな食文化を発信するレストランガイドとして、毎年発刊されている『ゴ・エ・ミヨ』。日本での6刊目となる『ゴ・エ・ミヨ 2022』が、2022年3月16日に発売されました!日本版の歴代の受賞者には、「日本料理 龍吟」山本シェフ、「カンテサンス」岸田周三シェフ、「HAJIME」米田シェフなど、今の料理界で注目されるシェフが名を連ねています。2022年版で発表された、今年行くべきレストランとは?さっそくご紹介していきましょう。

『ゴ・エ・ミヨ』とは

グルメ大国フランス発、本格レストランガイドの2大勢力の一つ『ゴ・エ・ミヨ』。2人のフランス人ジャーナリスト、 アンリ・ゴ(Gault) とクリスチャン・ミヨ (Millau) が 1972 年に創刊したパリ生まれのレストランガイドブックです。評価本という形を取りながらも、レストランに寄り添う姿勢を重んじ、シェフたちからの信頼は厚いといわれています。特に、「新しい才能の発見」という特長を持ち、ジョエル・ロブションやギィ・サヴォワのような気鋭のシェフをいち早く見出す、先見性に定評があります。日本では2017年より発刊されています。

『ゴ・エ・ミヨ 2022』の特徴

2022年版では『ゴ・エ・ミヨ』の精神ともいえる「新しい才能の発見」や「その土地ごとの食文化 “テロワール”」を中心とし、初掲載の九州・沖縄地方を含めた、全41都道府県、477軒のセレクションをお届けしています。また、毎年注目を集める「今年のシェフ賞」の他、「明日のグランシェフ賞」、「期待の若手シェフ賞」、ソムリエやパティシエなど、9つの賞、15名の受賞者インタビューも掲載。
新たな「食」と「時間」の感動に出会うためのきっかけとなるよう、思いを込めた一冊です。
(『ゴ・エ・ミヨ』については、こちらの記事もご覧ください:【極みのコラム】世界的な美食ガイド『ゴ・エ・ミヨ』の秘密に迫る:https://www.kiwamino.com/articles/columns/2567

『ゴ・エ・ミヨ 2022』受賞者の一部を紹介

2022年3月15日に発刊記念イベントが開催されました。受賞者発表や受賞シェフへのオンラインインタビューの模様を一部ご紹介します!

「今年のシェフ賞」

「レヴォ」谷口英司氏(富山)

調査した店舗の中でも才能を縦横に発揮し、最も斬新で完成度が高くインパクトのある料理を出した料理人へ贈られる「今年のシェフ賞」は、「レヴォ」谷口英司氏へ贈られました。
前衛的地方料理を謳い、料理界に旋風を巻き起こした谷口氏が、2020年12月、料理・食材・設え・サービスの全てを進化させるべく、富山県南砺市利賀村に移転、宿泊棟を備えたオーベルジュとして新たなスタートを切りました。

谷口氏の受賞コメント
「今回の受賞はとても嬉しいです。スタッフ全員が利賀村に移住し、生産者の方と力を合わせて山の食材を取り入れ、レストランを表現しています。雪深い土地で苦労もありますが、都会ではなく山奥でしか見られない自然の中で感じたものをお客様にお出ししたいという気持ちがあり、とてもやりがいがあります。まだオープンして1年程なので、自然の力強さ、たくましさを料理に反映し、利賀村にある「レヴォ」として何十年も残れるような店を作っていきたいです。」

「明日のグランシェフ賞」

「明日のグランシェフ賞」は、確固たる基本技術の上に独⾃の料理世界を築き、優れた才能として⽇本の料理界を牽引することが期待される料理⼈へ贈られます。2022年は3人の料理人に贈られました。

「レクレルール」田熊一衛氏(東京)

田熊氏は1981年、福岡県生まれ。都内のレストランでクラシカルな料理の基礎を固め、「ベルナール・ロワゾー」パリ店や「ダヴィッド・トゥタン」で修業を積み、「ル・サンク」ではメニュー開発のスーシェフを任されました。2021年9月、代官山に「レクレルール」をオープン。クラシックから最先端まで網羅した「技術で勝負する」田熊氏の料理は、日本のフランス料理界に大きなインパクトを与えることでしょう。
田熊氏の受賞コメント
「フランスに10年いましたので、『ゴ・エ・ミヨ』受賞という素晴らしい機会をいただき光栄に思います。昨年9月にオープン以来、素材はもちろん、プリミティブな薪と共に、技術を活かし、クラシックに原点回帰して、現代と組み合わせています。
“色々な食材に色々な光を当てていく”という意味の店名のように、フランス時代に出会ったシェフがされていた色々なスタイルを、自分のフィルターを通して表現していきたいと思います。」

「御料理ふじ居」藤井寛徳氏(富山)

藤井氏は1976年富山生まれ。金沢「日本料理 銭屋」、京都・祇園「味舌」で修業後、富山の日本料理店で料理長を務め、2011年に独立。
2019年に現在の店舗に移転し、全国の食通を富山に呼び寄せる北陸を代表する日本料理店となっています。
藤井氏の受賞コメント
「目指すべき賞の一つでしたので、日々やってきたことが報われたような気持ちでおります。前店舗では丸8年、表現できることをやり尽くしたという想いがあり、2年半前に現店舗に移転しました。全てにおいてステップアップできるように一生懸命取り組んできたことが評価していただけたかなと思います。
富山で生まれ育った人間として、富山の良さ、人の温かさを日々感じながら仕事をさせていただいています。素材が圧倒的に素晴らしい富山、北陸の良さをもっと広めて飛躍していきたいです。
また、いただいたご縁を大切に、この先もずっと繋がらせていただくお付き合いができるよう、私自身も努力して大事にしていきたいと思います。師匠の教えを守りながら自分流に進化して、日本料理という文化そのものを若い世代に伝えるために、尽力していければと思います。」

「モトイ」前田元氏(京都)

中国料理の風味や技法を巧みに取り入れたフランス料理で知られる前田氏。古都の風情を残す町並みに、大正時代に建てられた呉服店をリノベーションしたレストラン「モトイ」を2012年にオープン。何事も前向きに考えるという前田氏は、コロナ禍においても、自宅で娘さんのために作っていた「パパ餃子」をオンラインで販売、大反響を呼びました。働き方改革にも取り組み、明日の料理業界の在り方にも心を配っています。
前田氏の受賞コメント
「まさか僕がいただけると思っていなかったので、びっくりしています。
フランス料理を希望しながら中国料理の道に入り、魅力を感じて10年修業し、本来やりたかったフランス料理へ。その経験があるから今があり、ありがたいと思います。
京都で生まれ育ち、京都らしい店を探していく中で、この店と出会えたことはラッキーでした。
コロナ禍では、下を向いてても何もならないので、前を向いて一歩ずつ歩いていこうと。昔、中国料理をやっていたことで、娘のために作ったレシピで餃子を販売したら思った以上に好評でした。ポジティブな気持ちを持ち続けることが良い影響を生んだのかもしれません。
厳しい修業を積まれた師匠、今の若い世代に挟まれた過渡期の世代。今の若い方に諸先輩方の想いを引き継ぐことが、自分に託されていることだと思っています。」

「トラディション賞」

その土地が育んできた伝統文化を守り、時に挑戦を試み、次世代へつなぐ知識と技を磨き続ける料理人・職人・生産者へ贈られます。

「比良山荘」伊藤剛治氏(滋賀)

昭和34年(1959年)、比良山系に登る人のための山荘として剛治氏の祖父が開業。先代の頃には「鮎料理の比良山荘」として京都をはじめ、全国の食通の間で知られるように。野趣に京都の風情も感じさせる伊藤氏の料理の数々は、「山の辺」の伝統を受け継ぎながら時代の空気を取り込み、人々を魅了します。

「イノベーション賞」

自身のキャリア、料理哲学、コンセプトなどにおいて挑戦することを選び、新たな切り口で取り組む料理人・職人・生産者へ贈られます。

「株式会社 カマチ陶舗」蒲地勝氏(佐賀)

日本の「カンテサンス」やフランス「トロワグロ」「レストラン・ケイ」など世界のグランメゾンで、シェフが自らの料理をその器で表現したいと願う有田焼の「カマチ陶舗」。代表取締役で食器プロデューサーを務める蒲地氏は、シェフの意向を聞いて工房に発注し、試作を繰り返し、その店にしかない器を作り出します。今やシェフ憧れの器として、世界に通じる有田焼を作り出すイノベーションが評価されました。

「テロワール賞」

土地の風土や食材、育まれてきた文化を尊重しつつ、食材または料理を通じて独自の挑戦を試みている生産者または料理人へ贈られます。2022年は、3人の料理人に贈られました。

「鎌倉 北じま」北嶋靖憲氏(神奈川)

「高台寺和久傳」に弟子入りし16年間、系列店の料理長を任されるまで、名店の技術と流儀を自分のものとした北嶋氏。2021年5月、安国論寺近くの民家を趣ある料亭に改装、開店するや、瞬く間に鎌倉や首都圏の食通の間で評判を呼んでいます。

「里山十帖 − 早苗饗 −」桑木野恵子氏(新潟)

オーストラリア、ネパールやインドに移り住み、健康に関する知識を深めた桑木野氏。帰国後、ヴィーガンレストランを経て2014年より「里山十帖」へ。2018年からは料理長を務め、南魚沼の豊かな山の幸や豪雪地帯ならではの発酵を活かした多様な食の知恵を掘り起こし、「里山ガストロノミー」を提唱しています。

「トヨシマ」豊島雅也氏(山梨)

静岡県の柑橘農家に生まれた豊島氏は、軽井沢「星のや」グループのレストランにて浜田統之シェフのもとでスーシェフを務め、「星のや」グループの河口湖進出にあたり、メニュー開発のシェフとして赴任。退職後、河口湖駅前に「トヨシマ」を開業。狩猟、養蜂、農業に取り組み、フランス料理の技術で皿に表現する「富士山麓ガストロノミー」が話題を呼んでいます。

2022年にチェックしたいお店とは?グルメな「KIWAMINO」読者なら必ずチェックを!

常に新しい才能を発見し、新しい潮流を見通す『ゴ・エ・ミヨ』ならではの視点に、改めて食の可能性や楽しさの価値を再発見することができるでしょう。気になる全情報はぜひ『ゴ・エ・ミヨ 2022』でチェックしてみてくださいね。
『ゴ・エ・ミヨ 2022』は3月16日(水)より全国の書店、オンラインストアにて発売。全41都道府県、477軒の名店セレクションを読んで、極みの美食時間を楽しんでみてはいかがでしょうか?

<編集後記>

「KIWAMINO」がこれまでにご紹介したシェフも受賞されていてとても嬉しかったです。おめでとうございます!
過去のインタビュー記事はこちら
明日のグランシェフ賞 「モトイ」前田元氏(京都)https://www.kiwamino.com/articles/interviews/9969

◆公式情報:『ゴ・エ・ミヨ 2022』の刊行について

【書誌情報】
書名:ゴ・エ・ミヨ 2022
発売日:2022年3月16日
定価:3,000円(税込)
判型:A5変形版
ISBN:978-4-344-95438-0
ページ数:312
発行:ガストロノミー・パートナーズ株式会社
発売:株式会社 幻冬舎

書籍の購入について
全国の書店、オンライン書店にてご購入いただけます。
<Amazon>https://www.amazon.co.jp/dp/4344954386/
<楽天ブックス>https://books.rakuten.co.jp/rb/17031921/

※こちらの記事は2022年03月16日作成時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

Airi Ishikawa

一休のメディア事業部長。日本全国を旅しながら、その道のプロにインタビューや取材をしています。国内ワイナリーを巡るのが好き。地産地消や、生産者に近い距離で食材や料理に向き合う「極みのシェフ」がいる店をご紹介します。
【MY CHOICE】
・最近行ったお店:割烹かわだ / 南青山 まさみつ / 寺子屋 すし匠
・好きなお店:ICARO miyamoto / フランス料理 エステール / レストラン・マッカリーナ
・注目しているお店:オーベルジュeaufeu / bekka izu / 無垢 / KOBAYASHI
・得意ジャンル:フレンチ / バー
・好きな食材:山菜 / 鴨

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