天ぷらと一口に言ってみても、最近は様々なこだわりを持ったお店が増えてきています。揚げるネタや油の温度などは勿論のこと、使用する粉の温度や、ネタに合わせた食べ方を細やかに変えるお店も。今回は都内のお店の中で、オススメの8軒をご紹介いたします。
目 次
明治36年創業、受け継がれるこだわりの味
天ぷら 天兼(東京・新宿)
明治の時代に屋台を構え、創業から120年近く多くのお客様に愛されている「天ぷら 天兼」。
希少な玉締め絞り純正胡麻油を使った天ぷらは、食材を引き立てる香ばしさに満ちています。丁寧な接客、お漬物や大根おろしなどのわき役まで美味しく、老舗ならではの貫禄があります。
名店で研鑽を重ねた、軽やかに楽しめる天ぷら
京星 はせ川(東京・錦糸町)
京都に本店がある「京星」の銀座店で16年の修業を積み、満を持しての独立。確かな技術で揚げる天ぷらの衣は卵を使わない独自の配合で、食材が持つ本来の味を活かす軽やかな味わいです。
天ぷらは油っこいのがちょっと苦手という、普段天ぷらを敬遠しがちな方にも喜ばれています。
季節を食す、溢れる自由な発想の世界
天ぷら 元吉 的場(東京・外苑前)
献立を商標登録するなど、独自の発想が人気を集めている「天ぷら 元吉 的場」。天ぷら料理店だけでなく、割烹料理店や料亭での修業もこなしてきた店主の技術は決して奇をてらっていません。
季節の移ろいを感じられる、旬の食材を巧みに揚げる手腕は隙がありません。
静岡からやってきた「天ぷら食って蕎麦で〆る」
蕎ノ字(東京・人形町)
地元静岡のみずみずしい食材の魅力を追求した人気店でしたが、2016年に人形町へと移転し、リニューアルオープン。
駿河湾からの豊かな魚介と、農家直送の玉取茸や島田人参といったネタも、都内ではなかなか口に入ることのない逸品。〆は実家の老舗蕎麦店で培った手打ちの二八蕎麦で、おかわりしたくなります。
昭和天皇も舌鼓を打った、掘り炬燵の贅沢時間
天政(東京・丸の内)
魚の目利きに定評のあった先代が昭和11年に開業、現在は丸の内にある丸ビル35階という都心を見下ろせる絶好のロケーションで、三代目が出迎えてくれます。
おまかせコースも人気ですが、遊び心の詰まった季節の天婦羅コースや、海外のお客様向け特別メニューも好評を博しています。
日本の伝統を感じる空間で、選りすぐりの食材に出会う
清壽(東京・築地)
落ち着いた空間で天ぷらと向き合い、ゆっくり時間を過ごしたい時にうってつけの「清壽」。
車海老の食べ比べなど、天ぷらを食べ尽くすための真摯なアプローチには心が躍りますし、それを実現するための火入れの技術もお見事です。日本酒のほか、ワインの品揃えも充実しています。
開店より一貫して突き詰めてきた「まじめな味」
天冨良 いわ井(東京・銀座)
厳選した食材を仕入れ、食材ごとに最適な調理法をぶれることなく実直に行う。そんな美味しさのための当たり前を日々突き詰めている「天冨良 いわ井」。
熟達の技術で揚げられた一品一品は、「揚げる」というより旨味を衣で閉じ込めて「蒸す」と言え、ジューシーで贅沢な食感にうっとりします。
天ぷらの魅力を世に知らしめた第一人者
てんぷら近藤(東京・銀座)
国内外から厚い支持を得ている「てんぷら近藤」。野菜の天ぷらが今では当たり前にあるのも、天ぷらを和食の一品としてではなく、料理ジャンルの一つとして確立させたいという思いから、近藤氏が積極的に提案してきたところが大きいです。
切り株のようなさつま芋の天ぷらは必食です。
こうしてオススメの天ぷら屋さんをまとめてみると、改めて天ぷらという料理の奥深さを感じます。東京の中だけでもこれだけ多様なスタイルのお店があり、そのどれもが日々真剣に美味しさを貪欲に追い求めている。多くの人々に愛されている天ぷらが、最近より一層の人気を集めているというのも頷けます。黄金色の油の中で音を立てて躍る天ぷらに会いに、皆様もぜひ足をお運びください。