石川県といえば伝統と美の街として知られ、自然と歴史が調和した風景が魅力。山と海に囲まれ食材に恵まれた土地では、独自の食文化が築かれてきました。今回は、そんな洗練された金沢にある、大人の夫婦旅で行きたい寿司の名店を5軒紹介します。
目 次
1.四季折々に北陸の味を多彩に彩るシャリとの融合
鮨 志の助(石川県/金沢駅)

金沢駅より車で約10分のところにある「鮨 志の助」。江戸時代に栄えた加賀の歴史を色濃く残すエリアで、しっとりとした大人の時間を過ごせます。白い暖簾をくぐると現れるLの字型に配置された10席のカウンター席。
店主・前田憲志氏は金沢の名店「小松弥助」出身。1999 年に開業、2007年に金沢へ移転して以来、地元の人はもちろん県外からのお客さんも多い予約困難店として知られています。前田氏の包丁捌きやメリハリをつけながら握る所作は圧巻で、思わず見入る美しさ。
昼夜ともに同じ食材・同じ料金スタイルのおまかせ1コースのみ。その中で北陸の多彩な海の幸を満喫できる仕立てとなっています。夏はアワビや地アラ、秋にはサバと、目利きによって厳選された旬の食材の数々。まろやかな味わいのシャリは、口の中ではらりと崩れ、香りと共に北陸の味が広がります。
2.“金沢っ子”が唸る素材を活かした毎日食べたくなる寿司
くら竹(石川県/白菊町)
金沢駅からバスを利用し四十万金石線片町駅から徒歩で約6分。寿司店やバー、陶芸工房を備えた複合施設「Labo白菊」内にある「くら竹」では、肩ひじ張ることなく絶品の寿司を堪能できます。店内は開放的な空間でカウンター席10席の他、個室も完備。
石川県出身の店主・倉橋晃規氏は、ミシュラン一つ星「鮨 みつ川」や石川の名店「鮨 歴々」で修業。2016年に独立を果たし「くら竹」をオープンさせました。地元出身の倉橋氏だからこそ可能にする、その土地ならではの素材使いは“金沢っ子らしい握り”を体現。
例えば、地物の魚介を中心に鮮度や旬にこだわり仕入れたネタは丁寧に下ごしらえをし、繊細な味わいに。江戸前の伝統を継承しつつ独自の工夫を凝らすことで、素材の味を知る地元の人たちも惚れ込む仕立てとなっています。ワインや地酒など豊富に取りそろえたお酒の数々と共に乙な時間を過ごしてはいかがでしょうか。
3.石川の寿司の系譜を受け継いだユニークなコース
河原町 一 はじめ(石川県/金沢駅)
金沢駅から車で約10分。風情漂う一軒家に思わず背中が伸びる名店「河原町 一 はじめ」。暖簾をくぐり中に入れば、2人で切り盛りする店主ご夫婦が温かな笑顔で迎えてくれます。店内は個室とカウンター席があり、木目調がシンプルながらモダンな設え。
店主の濱本慎二氏は元々、石川県の寿司文化を牽引した故・高谷進二郎氏の店「太平寿し」で経験を積んだ職人その系譜を継ぎつつ、能登七尾の内湾や外海で獲れた旬の魚を丁寧に拵え、食べる人に寄り添う寿司を握ります。
コースでは、つまみの合間に寿司が出たり、同じネタで刺身とにぎりを同時に提供するなどの演出も。素材本来の色味を活かした淡くも美しい料理は、どれも繊細で思わずほっとする味わい。食べるたびに笑顔のこぼれる心のこもった寿司を堪能してはいかがでしょうか。
4.技術と経験に基づいた半歩先をゆく寿司
鮨 いくた(石川県/片町)
バス停・香林坊から徒歩で約5分、金沢・片町に位置する「鮨 いくた」。目抜き通りから一本入った路面に、白い壁と白い暖簾が存在感を醸します。店内は、L字カウンター8席と落ち着きのある空間。
店主の生田崇氏は、名店「みつ川」で、料理人としての姿勢を学びその後、2代目を務めた実力派の職人です。経験に裏付けされた技術と感覚を持ちつつ、持ち前の発想力で生み出す新たな料理の数々。例えば小皿料理ではオリーブオイルを使用するなど、既存の感覚にとらわれない美味しさを追求しています。
同店では石川県産コシヒカリの新米と古米をブレンドし、赤酢と米酢をベースに数種類のお酢を使用。卵形に握られたシャリはコクがありながらほろりとほどける絶妙な握りです。さらに、ネタとなるのは旬で新鮮な能登の魚ばかり。生田氏自ら釣り上げた珍しい魚がネタになることも。調理法や薬味での味変は、驚きと感動の連続です。
5.江戸前の技と地元の素材が織りなす唯一の寿司
鮨 木場谷(石川県/金沢駅)
金沢駅から車で約10分、大通りから裏路地に入ると現れる風情ある茶屋街の一角にある「鮨 木場谷」。まるで隠れ家のような佇まいでお客さんを迎えます。店内は店主の技を目の前に楽しめる白木のカウンター8席と、丁寧に手入れされた箱庭を望む個室から選べます。
店主の木場谷光洋氏は、サラリーマンとして働いた後、築地の魚屋に勤め開眼。寿司の魅力に心奪われ、銀座の名店「銀座 鮨青木」などで修業を積み、出張専門の寿司職人として腕を磨くなど、己の道を切り開いてきました。
いただけるのは江戸前の技巧と、こだわり抜いた鮮度の高い地元の魚から成る同店ならではの味。食べた瞬間に“あっ違う”と感じるのは、突き詰めた技による的確な切込みや、熟成・炙りといった精緻なひと手間があってこそ。赤酢と米酢をブレンドしたシャリは絶妙な旨味とコクを引き出します。
自然の恵みと伝統文化が織りなして生まれた金沢の豊かな食文化。旅先としても人気のしっとりとした美しい街で、美味しい寿司と共に夫婦水入らずの時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
※こちらの記事は2024年10月11日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。