東京にはビストロのようなカジュアルな店からグランメゾンまで、多種多様なフランス料理店がありますが、いずれも美味しいかどうかだけが満足のポイントではありません。味、盛り付け、器はもちろん、空間、テーブルセッティング、インテリア、サービスなど総合的に創り上げられた芸術を楽しむ場所です。今回は、トータルな魅力が光るフランス料理店を4軒厳選して紹介します。
1.精緻な調和を極めたフレンチ
ジョンティアッシュ(東京都/白金台駅)
白金台駅から徒歩3分、プラチナ通りを一本入った通りに立つ「ジョンティアッシュ」。足を踏み入れると、季節の風景を表現した空間が。木の皿や黒い封筒に入ったメニューなどスタイリッシュなテーブルセッティングに迎えられます。
厨房で腕を振るうのは、1990年生まれの若きシェフ、平野敬祐氏。「シャトーレストラン ジョエル・ロブション」で5年半修業し渡仏。ブルゴーニュの一つ星レストラン「ル・カルマン」で研鑽を積み、帰国後「ジョンティアッシュ」の料理長に抜擢されました。
平野氏の持ち味は、調和を保ちながら食材を引き立て、スパイスの香りで緩急をつけた品々。「フォアグラのフォンダン」は、季節によって素材を変化させ、複数の食材を巧みに調和させたスペシャリテです。ソムリエ資格を持つシェフが合わせるワインとのマリアージュも秀逸です。
2.遊び心と重層的な味わいの美食を旅する
le sputnik(東京都/六本木駅)
六本木の東京ミッドタウン近く、大通りから一本入った路地にひっそり佇む「le sputnik(ル スプートニク)」。ロシア語で「旅の連れ」を意味する店名は、伝統から生まれる新しい料理という「創造的な旅」にゲストを同行者としたい、との思いが込められています。
シェフの高橋雄二郎氏は、パリの三つ星店「パヴィヨン・ルドワイヤン」などで経験を積み、帰国後、丸の内にあった「オーグードゥジュール ヌーヴェルエール」を人気店に押し上げた実力派。
ブーランジェリーやパティスリーでも修業し、前菜からデザートまで華やかなビジュアルに心弾みます。前衛的な表現で挑むひと皿は、深く重層的な味わい。優美なスペシャリテ「フォアグラ・ビーツ・薔薇」で美食の旅を楽しんでください。
3.遊び心あふれる独創的フレンチはサプライズ満載
sincere(東京都/北参道駅)
北参道駅より徒歩約3分、閑静な住宅街の一角にあり、蔦の絡まるエントランスが粋な「sincere(シンシア)」。自然光が注ぐ半地下の扉を開けると、目の前に現れるのは開放感あふれるオープンキッチン。スタッフが満面の笑みを浮かべてゲストを迎えてくれます。
シェフの石井真介氏は、名店「オテル・ドゥ・ミクニ」や「ラ・ブランシュ」で修業。その後は「レストラン バカール」で腕を振るい、同店は予約の取れない人気店として名を馳せました。
テーブルには、物語を伝える手紙のようなメニューが置かれ、旬の具材を詰め込んだスペシャリテの「たい焼き」をはじめサプライズが満載。新しいアイディアを散りばめ、遊び心たっぷりの独創的なコースを繰り出します。随所に盛り込まれた「レストランの楽しさ」に、一度行けば虜になること間違いなしです。
4.日仏融合の新感覚フレンチを49階の絶景とともに
apothéose(東京都/虎ノ門ヒルズ駅)
「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」49階、圧巻の絶景を誇る「TOKYO NODE」内に2023年11月、オープンした「apothéose(アポテオーズ)」。シェフの北村啓太氏は、成澤由浩シェフ率いる「ラ・ナプール」で経験を積み、渡仏。パリの「オー・ボン・アクイユ」のシェフを任されたのち「エール」のシェフとして一つ星を獲得した実力者です。
香りや音など五感で楽しめる店内は、和とカジュアルな北欧要素を融合させ、北村氏のこだわりが詰まった空間。フランスの優れた要素は取り入れつつ、日本のテロワールを大切にしたハイクオリティな素材を揃えコースを仕立てます。
スペシャリテは、パリで思いついた米のブイヨンを使ったひと皿。日本の風土とフランスの技術を融合させた新感覚のコースを、絶景の眺めの中、堪能してください。
料理が運ばれ、食材から生産者、調理法などを解説してくれるスタッフと始まる料理談義。そして、ワインのマリアージュをソムリエに相談する。そんなコミュニケーションがひと皿をさらに美味しくしてくれます。今回挙げた店は、食事をするだけでない、レストランの醍醐味を味わえる店ばかり。ぜひ、一度会話を楽しみながら、フランス料理の真髄に触れてみてはいかがでしょうか。
※こちらの記事は2024年04月17日作成時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。