虎ノ門ヒルズ駅より徒歩数分の場所に位置する「The Okura Tokyo(オークラ東京)」内にある「フランス料理 ヌーヴェル・エポック」。“フランスと日本の食の融合”をテーマに、フランス料理の大胆さと日本の優美さを追求するフレンチレストランです。1973年に開業した「ラ・ベル・エポック」の血統を受け継ぎ、オークラフレンチと日本の食文化の融合を目指し2019年にオークラ東京とともに開業しました。今回は、そんな新時代フランス料理「ヌーヴェル・エポック」の魅力を探りにKIWAMINO編集部が伺いました。
「オークラ ヘリテージウイング」5階に位置する「ヌーヴェル・エポック」
2019年に新規開業をした「オークラ東京」は、17階建ての「オークラ ヘリテージウイング」と、41階建ての「オークラ プレステージタワー」の2棟から構成されています。今回訪問した「フランス料理 ヌーヴェル・エポック」は、「オークラ ヘリテージウイング」の5階に位置するレストランです。高低差のある敷地に建つオークラ東京は、正面エントランスが5階となっているので、ヘリテージロビーをぬけるとすぐにお店へと案内していただけます。
落ち着きを感じるナチュラルでモダンな内観
店内は、モダンでありながらも、西陣織の壁紙や木目調の壁など和の設えが優しい雰囲気を醸しだす洗練された空間。天井まで続く大きな窓からは、四季それぞれで違った表情を見せるオークラ庭園を望みます。
季節毎に表情が変わる、旬を味わう「Menu Découvertes」
今回は「Menu Découvertes」のランチコースをいただきました。
メニューは「始まりのお愉しみ」からスタート。まず運ばれてきたのは小さな木箱。蓋を開けると、中には桜海老のチップスが。口の中に入れると、香ばしい桜海老の後に、爽やかな柚子の香りが広がります。サクッとしたとても軽やかなタッチ。
2品目は、小さなガラスの器に春が詰まった一品。富山県産ホタルイカの下にイカ墨のクスクス、粒マスタード、トップにはスプラウトを添えています。ホタルイカの旨味に、クスクスの粒々感とマスタードの酸味が心地よい一皿でした。
本日のパンは全部で4種類。まずは桜のロールパンとプチバケットの2種をサーブいただきました。桜のロールパンは、口に入れる瞬間からふわっと桜がほんのり香るとても上品な味わい。
パンと共に用意いただいたのは、世界中の一流レストランにてテーブルバターとして使用されているジャンーイヴーボルディエ氏が手掛けた風味豊かな発酵バター。ナチュラルな無塩バター、数種類の海藻を練り込んだ海藻入りバター、燻製塩を練り込んだ燻製塩バターの三種。それぞれ見た目や香りに特徴があり、パンとの相性も抜群。目の前で取り分けよそっていただきました。
お待ちかねの前菜一皿目は、「ホワイトアスパラガスと烏骨鶏のポーチドエッグ スペイン産生ハムとトリュフのソース」。フランス・ロワール産のホワイトアスパラガスは、とても太くて立派。そこにスペイン産のハモンセラーノ、そしてトリュフ香るオランデーソースをたっぷり。トップにはトリュフがスライスされ、芳醇な香りが堪りません。ホワイトアスパラガスはまずそのまま一口。口いっぱいに広がるアスパラガスの旨味を満喫します。そしてトリュフの香りを堪能しながら、ハモンセラーノを卵と一緒に食べると、野菜の旨味と絶妙な塩味バランスに、口福が訪れました。
次はレストランの名物の1つである「オークラ牛で仕上げた琥珀色に輝くダブルコンソメを小さいカップで」。オークラ伝統のレシピで作られたコンソメに、さらにオークラ牛を加えて仕上げたダブルコンソメスープです。とっても濃厚なスープで、創業当時の総料理長・小野正吉氏のレシピに基づき”オークラの味”として伝わる名物料理がさらに進化!牛肉は島根県の牧場で「オークラ東京」専用に肥育された銘柄牛「オークラ牛」を使っているそうですが、館内のレストランでもこのお肉をコンソメに使用しているのは「ヌーヴェル・エポック」だけだとか。デミタスカップでサーブされるコンソメは、飲んだ瞬間に芳醇な香りが一気に広がり、熱々のままコンソメスープを堪能できました。
「ヨーロッパ産オマールブルーのロースト 軽く仕上げたアメリケーヌソースにサリエットの香りプティポワのピュレとベーコン風味のエキューム」は、ふわふわの泡状のエキュームにベーコンがほんのり香り、グリルで芳ばしさを加えたロメインレタスが味わいに深みをもたらします。弾力があってしっかりとした食感のオマール海老は、噛むほどに旨味が広がる逸品。
ここで次のパン2種をサーブいただきました。胡桃入りの蓬パンと塩昆布のパン。塩昆布のパンはオマール海老との相性抜群。さらに海藻バターを付けて食べると、より一層海のハーモニーを楽しめました。
「干し草の香りを纏わせたアイスランド産仔羊のロースト春の芽吹きの野菜とルビーポルトのソース」には、アイスランド産の仔羊を使用。日本に輸入される仔羊の中でたった2-3%と希少だそう!放牧して育った仔羊は全く癖がなく、豊かな自然の中でゆっくり育つのでお肉のきめが細かくなるそうです。藁焼きしたお肉の薫香に、一気に食欲が掻き立てられます。プレゼンテーションの後、カットされた仔羊のローストが再登場。甘みのあるワインソースをたっぷりとつけていただきます。弾力のあるお肉は噛めば噛むほどに旨味が広がります。全く臭みがないので、「ラムはちょっと苦手」という方でも美味しく食べられてしまうはず。骨の周りの最後の部分まで、しっかり堪能させていただきました。
デザートは2種類。1品目は「ルビーショコラのエスプーマとシャンパーニュのジュレ」。天然由来のピンク色が可愛らしい滑らかで優しいエスプーマ。フルーティーなチョコレートと、シャンパーニュのジュレ、そして文旦の爽やかさが絶妙な組み合わせ。間に登場するクランブルのサックサク感が程よいアクセントとなり堪りません。
2品目のデザートは、「フォレノワールのオマージュ レモングラス香るクリークのソルベと赤いベリー」。チョコレートとさくらんぼを使った伝統のお菓子「フォレノワール」をオマージュした一皿です。きめ細やかなチョコレートムースと甘酸っぱいさくらんぼのゼリーのマリアージュが絶妙。キルシュ漬けのさくらんぼや、さくらんぼのビール「クリーク」を使ったソルベの酸味がまたアクセントに。
コースはこちらで一通り。最後は小菓子と一緒にコーヒーをいただきました。フランボワーズのゼリーを合わせたレモン風味のケーキ、パイナップルのタルト、そしていちごのボンボンショコラの3種類。趣向を凝らした小菓子に、細部までのこだわりを感じました。
今回は、「ヌーヴェル・エポック」でランチコースを堪能させていただきました。
洗練された空間で、一流のおもてなしと共にいただく美食の数々に終始笑みがこぼれるひとときでした。どのお料理も素晴らしかったですが、特にシェフの技が光る香り高いコンソメ、非常に立派だったホワイトアスパラを使った前菜、噛むほどに旨味が広がる仔羊のお料理が印象的でした。しっかりとボリュームはありながら、全く食べ疲れしなかった点は特筆すべきポイント。シェフの並々ならぬ食材へのこだわりと技術が光るお料理を、皆様もぜひ楽しんでみてください。
※こちらの記事は2023年06月09日作成時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。