「ジョンティアッシュ」グルメレポ。優雅な挑戦に心躍る、調和を追い求めるフレンチ

様々なジャンルの人気飲食店がひしめく白金台。「ジョンティアッシュ」も2008年4月の
開業から人気を集めていますが、2018年7月より平野敬祐さんが料理長に就任されました。
今まで通われていたお客様からは勿論のこと、新たなお客様も獲得している「ジョンティアッシュ」の魅力の秘密を、本日はあらためて皆様にご紹介いたします。

白金台というと煌びやかな設えのお店が多いですが、「ジョンティアッシュ」はメインストリートから一本外れた裏路地にひっそりとお店を構えています。暖色が多用されていて、シックでありながら温かみを感じ、気持ちが落ち着きます。かわいらしいテーブルセッティングを目で味わっていると、一皿目の前菜が運ばれてきました。

最初の前菜は、「静岡県富士市精進川くぬぎ鱒の燻製、セロリラヴとホタテのクレームの真珠とともに」。
しつこさのない旨味が持ち味のくぬぎ鱒に、真珠に見立てたソースを添えて食べるとまろやかな口当たり。鱒の塩味に滑らかなソースで丸みを持たせまとめてあるのですが、ほんのりとジュニパーベリーやグリーンアニスの香りが漂います。胃袋が目覚めるような、理想の前菜に仕立てられていました。

ここで、「シャルル・エドシック ブリュット レゼルヴ」のシャンパーニュをいただきました。3種のぶどうを巧みにブレンドした、妥協のない丁寧な製造方法で人気の高いシャンパーニュです。焼き立てのパンや柑橘が合わさったようなエキゾチックな香りが、口の中にくぬぎ鱒とホタテの美味しさをじんわりと広げてくれ、生臭さを感じることのない最高のパートナーでした。

もう一皿の前菜は、「淡路島産鱧 軽くあぶって温かいサラダ仕立てに、マツタケのエフィロシェとコンソメ、すだちのエアを添えて」。さながら洋風マツタケのお吸い物。下に細かくほぐした状態のマツタケも敷かれていて、旨味がコンソメスープに十分に溶けだしてたまらない香りです。

鱧も軽くあぶって身がふっくらとしており、弾力のある食感が楽しいです。すだちがエア状になっているので、よく香るけれど酸味がきつくならないのが嬉しい一皿でした。

続いては、「シャルドネヴィネガーでマリネした松輪鯖、ペルノー酒と共に香ばしく炙って
、フレッシュなフェンネルのスープと青長大根のサラダを合わせて」。癖の強いペルノー酒とフェンネルの甘い香りが、鯖の甘酸っぱさとよく合います。鯖の青魚としての身の美味しさが、噛み締めるほどに口の中に広がっていきます。青長大根でスープの濃度を調節できるのもお見事でした。

このお皿には、赤ワインの「シャルル・ジョゲ シノン シレーヌ 2013」を合わせます。
チェリーの香りと一緒に、ハーブのニュアンスも感じるこの一杯は料理にぴったりでした。
シャルドネの白ワインなども合うと思うのですが、この組み合わせは鯖を口に運んだ後の余韻を綺麗に伸ばしてくれるようで、気持ちのよい食後感に浸れます。テーブル上の調和をより一層大切にしていきたいという思いが、深く伝わってくるようでした。

メインディッシュの前に、「ホタテのポワレ、エストラゴン風味の黒枝豆のピュレとともに」。程よい火入れと焦げ目の付いたホタテの味と弾力を堪能しながら、それぞれの付け合わせとペアリングをしてみます。
旨味を楽しみたければ黒枝豆と、甘味を楽しみたければムラサキウニと、酸味を楽しみたければトマトと一緒に食べることで、口の中でホタテの魅力が変化していきます。

合わせるのは、白ワインの「ドメーヌ・ボーマン サン トーバン ミュルジェ デ ダン ド シャン 2014」。
ミネラリーでコクのある味わい、上品な口当たりと主張し過ぎない樽香が料理を引き立てます。飲み進めて温度が少し上がってきた状態でも、ホタテとの相性の良さは崩れず、むしろ深まっていきます。

メインディッシュは、「向日葵の蜂蜜とコリアンダーでラケした仔鴨の雌、甘酸っぱいビーツとみょうがのコンディモン」。仔鴨の皮目の土っぽさとビーツの滋味が相まって、厚みのある味わいに。これだけだと重くなり過ぎてしまうので、蜂蜜とスパイスでバランスを取って、満足感はそのままに最後まで食べ疲れするようなことがありません。

マネージャーソムリエの柴田さんからの提案は、赤ワインの「ドメーヌ・ショーヴネ・ショパン レ プティヴージョ 2014」。
仔鴨に合わせて重厚さがありながらも、タンニンが滑らかで飲みやすい。口の中で食材と一緒に噛むように飲むと、凝縮した果実味が柔らかく花開いていくようで、うっとりしてしまいます。

デザートは、「洋ナシのキャラメリゼとビターなクレームブリュレ、ジャスミンの香るメレンゲとグラスのハーモニー」。洋ナシの香ばしさとクレームブリュレの控えめな甘さが絶妙に溶け合い、スプーンが止まらなくなります。メレンゲを崩しながら食べ進めると、お皿の上に爽やかな香りが漂い、舌だけでなく鼻でも美味しく感じられるデザートに仕立てられていました。

食後に紅茶をいただきながら平野さんとお話をしましたが、話せば話すほど調和を大切にされている印象を受けました。柴田さんとの連携を密にして、お客様のご希望に沿って料理を引き立てる最良のワインを提案する。どのテーブルのお客様にも、テーブル上の幸せな調和を感じていただけるように努めている姿は、見ていてとても気持ちのいいものでした。

引き続き、目が離せないフランス料理店であることを味わえた優雅なひとときでした。
皆様も「ジョンティアッシュ」で過ごす幸せな調和を、ぜひお楽しみください。

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ジョンティアッシュ

都営三田線 白金台駅 1番出口 徒歩3分

20,000円〜29,999円

アクセス
住所: 東京都港区白金台5-18-17 ゴールドフォレストビル2F

※こちらの記事は2023年04月20日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

橋本 恭一

美味しいお酒とお料理を求め続ける 都内屈指の胃袋&肝臓フル回転系ライター。 和洋中ジャンル問わず、王道の古典料理から イノベーティブ系のお料理にどんなお酒が合うかを ひたすらに追い求めており、食前食後などのバーの 楽しみ方も皆様にお伝えしてまいります。
【MY CHOICE】
・さいきん行ったお店:ナスキロ/サエキ飯店/赤坂 らいもん/鮨 みうら
・好きなお店:レストラン キエチュード/ラ クレリエール/私厨房 勇/トラットリア ダディーニ
・自分の会食で使うなら:くろ﨑/Les Chanterelles/日本料理 晴山/の弥七
・得意ジャンル:フレンチ/イタリアン/バー
・好きな食材:サルミソース/真鱈の白子/生トリ貝

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