【速報】『ゴ・エ・ミヨ 2024』受賞者発表!グランシェフのインタビューをレポート

日本の豊かな食文化を発信するレストランガイドとして、毎年発刊されている『ゴ・エ・ミヨ』。日本で8刊目となる『ゴ・エ・ミヨ 2024』が、2024年3月19日(火)に発売されました!日本版の歴代の受賞者には「HAJIME」米田氏や「L’évo」谷口氏、「日本料理かんだ」神田氏など、今の料理界で注目されるシェフが名を連ねています。コロナ禍以前の賑わいを取り戻してきた昨今の飲食業界にふさわしい、2024年版で発表された今注目のレストランとは?早速チェックしていきましょう。

『ゴ・エ・ミヨ』とは

フランス発祥のグルメガイドブック「ゴ・エ・ミヨ」
『ゴ・エ・ミヨ 2024』発刊 授賞式 & ガラ・パーティー

グルメ大国フランス発、本格レストランガイドの一つ『ゴ・エ・ミヨ』。2人のフランス人ジャーナリスト、 アンリ・ゴ(Gault) とクリスチャン・ミヨ (Millau) が 1972 年に創刊したパリ生まれのレストランガイドブックです。評価本という形を取りながらも、レストランに寄り添う姿勢を大切にし、シェフたちからの信頼は厚いといわれています。特に「新しい才能の発見」に力を入れるという特長を持ち、ジョエル・ロブションやギィ・サヴォワのような気鋭のシェフをいち早く見出してきた、その先見性に定評があります。日本では2017年より発刊されています。

『ゴ・エ・ミヨ』の評価は、現在展開している世界15カ国共通の定められた基準のもと「予約から見送りまで」を評価し、レストランという舞台全体を支えるプロフェッショナルに注目します。評価は、20点満点中0.5点刻みの点数と、それに応じたトック(フランス語で「コック帽」の意)の数で行うものの、基本は、食べる喜びと感動を伝えることを使命と考えています。

(『ゴ・エ・ミヨ』については、こちらの記事もご覧ください:【極みのコラム】世界的な美食ガイド『ゴ・エ・ミヨ』の秘密に迫る:https://www.kiwamino.com/articles/columns/2567

2024年度日本版は全国版史上最多の532店舗が1冊に

2024年度日本版では「ゴ・エ・ミヨ」が大切にする「テロワール(地域性)」や「新しい才能の発見」をキーワードに47都道府県の特色ある店舗をご紹介。全国版史上最多の532店舗のレストランをまとめた1冊となります。

『ゴ・エ・ミヨ 2024』受賞者の一部を紹介

2024年3月18日(月)に発刊記念イベントが開催されました。受賞者発表や受賞シェフへのインタビューの模様を一部ご紹介します!

「今年のシェフ賞」

「ジョエル・ロブション」関谷健一朗氏(東京)

『ゴ・エ・ミヨ 2024』発刊 授賞式 & ガラ・パーティー

関谷氏は、22歳で渡仏しロブション氏に師事した後、2010年に東京・六本木の「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」のシェフとして帰国。その後2021年に恵比寿にある「ジョエル・ロブション」の総料理長に就任しました。2023年には日本人で初となる快挙、料理部門の「フランス国家最優秀職人章(略称M.O.F.)」を受章。M.O.F.としてフランスの料理文化・調理技術を継承・発展させる役割を担うとともに、常に一流の料理を提供し続けることが期待されています。

関谷健一朗氏の受賞コメント

約25年前、私が料理の道を志した頃、日本に『ゴ・エ・ミヨ』の存在はありませんでした。渡仏後に、初めて手に取った『ゴ・エ・ミヨ』には、一流店ばかりが名を連ねていて、当時の私には雲のような存在でした。まさか日本で『ゴ・エ・ミヨ』が発刊されるようになる日がくるとも、自分がこのような賞をいただく日がくるとも思ってもいませんでした。今、憧れを抱いている若者もたくさんいると思います。ですが、諦めずに望んでいれば、必ず夢は叶います。今まで支えてくださった全ての方々に感謝申し上げるとともに、そういった若者たちの希望になれるようにこれからも邁進して参ります。

「明日のグランシェフ賞」

「明日のグランシェフ賞」は、確固たる基本技術の上に独⾃の料理世界を築き、優れた才能として⽇本の料理界を牽引することが期待される料理⼈へ贈られます。2024年は「一本杉 川嶋」川嶋亨氏と「明寂」中村英利氏の2人の料理人に贈られました。

『ゴ・エ・ミヨ 2024』発刊 授賞式 & ガラ・パーティー 写真左「一本杉川嶋」川嶋氏、写真右「明寂」中村氏

「一本杉 川嶋」川嶋亨氏(石川)

川嶋氏は、大阪や京都にある日本料理の名店にて研鑽を積んだ後、2016年に故郷石川県能登へ。「食の力で地域を活性化させたい」と、2020年には自身の店舗「一本杉 川嶋」を開業しました。食材の魅力を最大限に表現した料理を生み出し、高い評価を受けています。2024年1月に発生した能登半島地震では、自身も被災しながら率先して炊き出しを行い、地域の人々からさらに厚い信頼を獲得。能登・七尾を「食」の基点とした世界都市にすることを目標に掲げる川嶋氏の卓越した調理技術とリーダーシップに、大きな期待が寄せられています。

「一本杉 川嶋」川嶋亨氏の受賞コメント

生産者の方々、従業員の皆様、家族、そして支えてくださる全ての方に感謝を申し上げます。この日をすごく楽しみにしていました。ご存知の通り能登の暮らしは大きく変わりました。我が家はもちろん、店でもまだ水すら使えない状態です。店の営業再開もいつになるかわかりません。この授賞式に出るかどうかもすごく悩みました。ですが、地域経済の復興なくして、復興の実現は不可能です。そこでキーになりえるのは食だと思います。僕が壇上に立つことで少しでもその一助になれたらと思います。諦めずに歩みを止めなければ、必ず春は来ると思っています。必ず帰ってきますので皆様応援よろしくお願いします。

「明寂」中村英利氏(東京)

中村氏は、京都「京料理まる多」や徳島の「青柳」にて従事。東京・赤坂「花のれん 花楽」の料理長を12年間務めた後、2022年に自身の店舗である「明寂」を開店しました。現在は、水を中心に据え、研ぎ澄まされた感覚で独自の日本料理を展開。2022年4月の開店から、出汁を使わない、水と塩のみで食材の純粋な味わいを引き出す「水煮」の一品など、秀でた調理センスで、多くのゲストの心を捉えています。確たる技術と豊富な経験に基づく洗練された料理は、日本料理の新たな一面を示すものとして高く評価されています。

「明寂」中村英利氏の受賞コメント

このような賞をいただくことができて光栄です。本当に色々な思いがあります。またこの場所に立てるように、日々頑張っていきたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いします。

「期待の若手シェフ賞」

才能と情熱、技術が、今後の活躍を大いに期待させる新進気鋭の料理人に贈られる「期待の若手シェフ賞」は「Syn」大野尚斗氏(福岡)、「波濤」熊切大地氏(東京)、「Jfree」陣内翼氏(東京)の3名の料理人に贈られました。

『ゴ・エ・ミヨ 2024』発刊 授賞式 & ガラ・パーティー 写真左:「Syn」大野氏、写真中央「波濤」熊切氏代理、写真右:「ジェフリー」陣内氏

「Syn」大野尚斗氏(福岡)

『ゴ・エ・ミヨ 2024』発刊 授賞式 & ガラ・パーティー

大野氏は、ニューヨークの「カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ(略称CIA)」を卒業後、世界各国のレストランで研鑚を積まれています。2023年、自身が旅をしてきた国や地域の料理から得たインスピレーションを基に“キュイジーヌ・ヴォヤージュ”をコンセプトとする店を福岡に開店。これまでの旅や人との出会いを生かし、料理としてどう展開させるか、今、最も目の離せないシェフの一人です。

「波濤」熊切大地氏(東京)

熊切氏は、石川秀樹氏が率いる「石かわ」グループの各店舗で研鑽を積み、寿司の名店でも腕を磨き、2020年に「波濤」を開店しました。その経験を生かした、寿司と日本料理の逸品を織り交ぜたコース料理は、いずれも上質で、高く評価されています。なかでも「野菜の寿司」は、柔軟な発想が生み出した、寿司と和食を融合する一品とされ、その高い技術と、人柄がもたらす温かな活気のある店づくりでもゲストから賞賛の声が寄せられています。

「Jfree」陣内翼氏(東京)

『ゴ・エ・ミヨ 2024』発刊 授賞式 & ガラ・パーティー

陣内氏は「フロリレージュ」「カンテサンス」という日本を代表するフレンチの名店や、日本料理店で修業。2023年1月に「Jfree」を開店しました。「フランス料理の足し算、掛け算のあとに引き算する料理」を目指し、日本人シェフが一つの課題とする“日本の素材をどのように活かすか”というテーマに、和・洋に囚われない「free」な料理を提供し、好評を博しています。

「トラディション賞」

その土地が育んできた伝統文化を守り、時に挑戦を試み、次世代へつなぐ知識と技を磨き続ける職人または料理人へ贈られます。

「島根 美加登家」山根一朗氏(島根)

『ゴ・エ・ミヨ 2024』発刊 授賞式 & ガラ・パーティー

山根氏は、祖父の代から続く「島根 美加登家」の三代目。「この店を抜きにして鮎料理は語れない」といわれるまでの名店にしました。日本有数の清流、高津川の鮎ならではの調理法を探究し、深化させてきた山根氏の料理を求め、毎年、全国から多くのゲストが駆けつけています。近年は鮎の時季以外の料理でも好評を博しており、地域の食文化を全国に広めたことが高く評価されました。

「トランスミッション賞」

「トランスミッション賞」とは、培ってきた知識と技術を、時に国を超え、世代を超えてトランスミッションする(=伝える)ことに多大な貢献をされた料理人を表彰する賞です。

「ラ・メール」樋口宏江氏(三重)

『ゴ・エ・ミヨ 2024』発刊 授賞式 & ガラ・パーティー

樋口氏は、2014年に志摩観光ホテルの第7代総料理長に就任。伊勢志摩の豊かな海の幸・山の幸を中心とした料理哲学の継承、発展に努めています。2016年に開かれた「G7 伊勢志摩サミット」ではワーキング・ディナーを担当。2023年には「フランス農事功労章 シュヴァリエ」を受章しました。包容力と力強さで、厨房を率い、女性の進出が待たれる料理界に変化をもたらす伝達・伝送役(トランスミッション)として大きな期待が寄せられています。

「イノベーション賞」

自身のキャリア、料理哲学、コンセプトなどにおいて挑戦することを選び、新たな切り口で取り組む料理人・職人・生産者へ贈られる賞です。

「さかな人」長谷川大樹氏

『ゴ・エ・ミヨ 2024』発刊 授賞式 & ガラ・パーティー

長谷川氏は大学時代、1年間休学し、口永良部島で素潜りの名人に師事。卒業後も、会社勤務の傍ら漁や魚の知識を深め、転業。(株)「さかな人」を開業し、魚の目利き、仕立てを探求することで、多くの料理人から厚い信頼を集めています。山から海へと続く自然環境の重要性を発信する長谷川氏、多くの料理人にも影響を与え、その存在感はますます大きなものになっています。

2024年に行くべきお店とは?グルメを愛する「KIWAMINO」読者なら必ずチェックを!

2017年にスタートした『ゴ・エ・ミヨ』日本版。2024年は、全国版の第二弾になりました。4年ぶりに実施された授賞式は、各エリアの方々にとって一堂に介する初めての機会になりました。盛り上がりを見せる会場と同じく、全国のレストランが賑わいを見せる昨今。「食べる喜び、感動を伝える」という『ゴ・エ・ミヨ』ならではの視点に、改めて食の可能性や楽しさの価値を再発見することができるでしょう。

『ゴ・エ・ミヨ 2024』は2024年3月19日(火)より全国の書店、オンラインストアにて発売。全47都道府県、532軒の名店の数々から、極みの美食時間を楽しんでみてはいかがでしょうか?

『ゴ・エ・ミヨ 2024』
3,300円(税込)
2024年3月19日(火)より、全国の書店またはAmazon、楽天ブックスなどにて販売
Amazonはこちら:
https://amzn.asia/d/7o8xrWM

ゴ・エ・ミヨ 特設サイト
https://gaultmillau-japan.info/

※こちらの記事は2024年10月21日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

Mika.A

外食が何よりの楽しみな編集部メンバーです。
野菜へのこだわりは人一倍!好きが高じて
ベジタリアン・フルーツアドバイザーの資格を取得しました。

・好きなお店:CIRPAS/Sincére/Heritage by Kei Kobayashi
・好きなジャンル:フレンチ/鮨
・最近行ったフレンチ:ラルジャン/apothéose/渡辺料理店/フロリレージュ
・好きな美食宿:ホテルリッジ/sankara hotel&spa 屋久島

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