一度は行きたい、カウンター割烹の名店 京都編

割烹料理とはどのような料理を指すのでしょうか。広い意味では、季節の旬に合わせた食材を使って「切る(割)」「煮る(烹)」の調理法から生み出される料理を指します。懐石料理などのようにコースでいただく店もありますが、カジュアルにアラカルトを楽しめるところも割烹の醍醐味のひとつ。今回は、店主と料理談義を弾ませながら食事ができる、一度は行きたい、京都のカウンター割烹の名店を6軒厳選して紹介します。

1.季節料理を約50種の日替わりアラカルトで満喫

実伶(京都府/丸田町駅)

烏丸線丸太町駅から徒歩約1分と、アクセスの良い立地に店を構える「実伶」。祇園の割烹などで14年修業を積んだ店主の中尾雄三氏は、素材の味をダイレクトに味わえる割烹料理を信条としており、アラカルトがメイン。

カウンター席メインの店内では、約50種類の日替わりメニューの中から好みの料理を好きなだけ選ぶことができます。季節の食材を最も良い状態で提供するため、ほとんどは注文が入ってから調理をスタート。

中尾氏の出身地である長崎のアマダイの焼物や和歌山から毎朝直送される新鮮な魚介類のお造りなどは、ぜひ味わいたい看板料理です。北欧調のローチェアを使い、和の空間の中で洋がアクセントに。骨董屋を回って集めたという器が、料理を引き立てます。

割烹・小料理

実伶

京都市営烏丸線 丸太町駅 徒歩1分

2.毎月違ったテーマで楽しめる、ジャンルを超えた和食

東山 吉寿(京都府/清水五条駅)

三十三間堂からほど近い静かな住宅街に隠れ家のように佇む「東山 吉寿(ひがしやま よしひさ)」。京都の有名ホテルで料理長を務めた店主の鈴木吉寿氏は、伝統的な技法を大切にしながらも、イノベーティブな和食の新たな形を提案。多ジャンルの独創的な料理が美食家を虜にしています。

最大の魅力は、毎月変わる料理コンセプト。「タケノコ×中華」「月の輪熊×丹波篠山の猪」「肉×キノコ」など、幅広い組み合わせの調理法や食材により自由な発想で繰り出されるコースを、ぜひカウンターで楽しんで。

絶妙に引き立て合う「チーズの燻製」と「オリジナルハイボール」のマリアージュなど、コンセプトに合わせて揃えるお酒が料理に彩りを添えます。

割烹・小料理

東山 吉寿

京阪本線 清水五条駅 出入口4、 徒歩9分

20,000円〜29,999円

3.繊細な手仕事に感銘する、一期一会の食体験

祇園 又吉(京都府/河原町駅)

美食エリア・祇園花見小路の一角に位置する「祇園 又吉」。格子戸を開けると石畳が続き、入り口の暖簾をくぐると凛とした和の空気に迎えられます。

料理旅館「炭屋旅館」で、若くして料理長に就任した経験を持つ店主の又吉一友氏が放つ、一期一会の味わいは格別なもの。茶懐石の心を大切に、季節の粋を集めて卓越した腕を振るいます。創意あふれる温かな京割烹は、全国各地の選り抜きの魚介類や旬野菜などをふんだんに使用。

素材の持ち味を活かした優しい味わいの京料理に仕立てます。店主の手元から差し出される至高の一皿を、カウンター席で舌鼓。2016年より8年連続ミシュラン二つ星獲得の、グルメが集う一軒です。

割烹・小料理

祇園 又吉

阪急線 河原町駅 徒歩10分

30,000円〜39,999円

4.馥郁たる香りを放つ、素材を活かした京料理

ぎおん 阪川(京都府/祇園四条駅)

今も京都らしい町並みが守られている祇園の南側、うっかり見落としそうな裏路地にある「ぎおん 阪川」。花見小路新橋の「割烹 なか川」で17年間修業した後、この場所で独立した店主・坂川浩和氏。

こだわりを持って仕入れる旬の食材を使用したコースやアラカルト料理は、新鮮だからこそ感じられる素材の旨味が詰まっています。すっぽん、鱧、タイ、ぐじ、鮎などの魚介に、タケノコや松茸といった京都らしい素材を活かした京料理が味わえる名割烹。単品メニューに食べたいものがあればコースに入れたり、好みではない料理はコースから抜いたりと臨機応変な対応でリピーターを増やしています。

目の前で焼いてくれる鱧は、ほどよい焼き加減を見極めてゲストに提供。調理の過程を見て楽しみ、その香りに食欲をそそられる、そんなカウンターならではの良さを満喫することができる一軒です。

割烹・小料理

ぎおん 阪川

京阪線 祇園四条駅 徒歩7分

20,000円〜29,999円

5.煉瓦造りの竈で引き出す旨味を、アラカルトで堪能

割烹 梅津(京都府/祇園四条駅)

細い路地を奥に入った祇園の一角にひっそりと佇む割烹料理店「割烹 梅津」。落ち着いた雰囲気の店内のカウンター奥には、煉瓦造りの竈の中に炭がくべられ、旬の魚や野菜の旨味がじっくりと引き出されていく様子を眺めることができます。

そんな季節ごとの旨味を最大限に活かした割烹料理を生み出すのは「割烹 なか川」出身の梅津直人氏。「おまかせコース」は、その日の仕入れによって内容が異なり、日替わりのアラカルト一品料理も豊富。

からすみやこのわた、なまこの酢の物、「半生このこ」など、日本酒のアテには最適な珍味もずらりと並びます。また、ゲストのリクエストに合わせて柔軟に対応してくれます。カウンターで京都の旬を、好みの調理法でいただく。これぞ割烹の醍醐味です。

割烹・小料理

割烹 梅津

京阪電気鉄道線 祇園四条駅 祇園四条駅9出口から徒歩約4分

15,000円〜19,999円

6.独自の発酵技法を駆使した新しい和食の味

じき 宮ざわ(京都府/烏丸駅)

烏丸駅から徒歩約1分、茶懐石を基本とする京料理店「じき 宮ざわ」。カウンター10席のみの店内の窓には京都「唐長(からちょう)」の白い唐紙が施され、緑あふれる窓の外とのコントラストが美しく映えます。

料理長の泉貴友氏は、京都の料亭「天㐂(てんき)」で修業した後、当時の「じき 宮ざわ」の店主・宮澤政人氏に弟子入り。そして、宮澤氏が姉妹店「ごだん 宮ざわ」を2014年にオープンした際「じき 宮ざわ」の料理長に。食材の命と生産者がつなぐ気持ちも含めて、食材本来の味わいを活かした料理を生み出します。

魚を熟成させたり、乳酸菌を用いて野菜を発酵させたりするなど、独自の発酵料理はこれまでにない新しい和食の味。ペアリングは、日本酒やナチュールワインをメインに泉氏がセレクトし、料理の美味しさを広げてくれます。

割烹・小料理

じき 宮ざわ

阪急京都本線 烏丸駅 徒歩1分

15,000円〜19,999円

最近はコースを用意している店もありますが、調理の過程を眺めながら一品ずつ注文することができるのも、カウンター割烹の楽しみ方のひとつ。肩肘張らずに京料理を満喫でき、おひとり様を歓迎してくれる店も多数あるのがカウンター割烹の魅力です。京都を訪れる機会があれば、カウンター割烹をぜひ利用してみてはいかがでしょうか。

※こちらの記事は2024年03月10日作成時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

Miki D'Angelo Yamashita

コロンビア大学・パリ政治学院修士。新聞社を経てフリージャーナリスト。専門は別だが、趣味が高じて食担当記者に。延べ3000人料理人インタビュー、約30カ国で食関連を取材。料理本も多数編集。

【MY CHOICE】
・最近行ったお店:未在 / 晴山 / レヴォ /茶禅華
・好きなお店:ギ・サヴォワ / Restaurant KEI / 祇園さゝ木 / 宮坂
・自分の会食で使うなら:ル・ブルキニオン / ラルジャン / 乃木坂しん / 蕎麦おさめ
・注目しているお店:お料理ふじ居 / 日本料理 研野 / ELEZO ESPRIT
・得意ジャンル: スイーツ
・好きな食材:麺類

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