日々食べ歩きをするフードライター・森脇慶子が、絶対に外さない行きつけの中国料理店をご紹介!本場の味を楽しめるお店からスタイリッシュなネオ中華まで、様々なお店をピックアップしました。
目 次
1.小皿で味わう香港の味。伝統の美味しさを軽やかに楽しみたい
一平飯店(東京都/麻布十番駅)

麻布十番の賑やかさから一歩外れた路地中に、ポツンと灯る看板が「一平飯店」。「桃仙閣」オーナーの林亮治氏と筋金入りの香港迷(広東語で香港ファンの意味)である安達一平シェフが、ガッチリタッグを組んで始めた香港料理の名店です。「赤坂璃宮」で香港の魅力に目覚めた安達シェフ、本場に通うだけでは物足りず、現地で2年半研鑽を積んだ手練れです。
「この店では、素材を生かしたシンプルな美味しさと食べ疲れしないよう、一歩引いた味を心がけています」とは、安達シェフ。スペシャリテの一つ「フカヒレの上湯蒸しスープ」は、まさにその一言を象徴する逸品でしょう。おまかせのコースは、焼物や飲茶といった香港の普段着の料理からフカヒレなどの高級乾貨を使った一皿まで14品で構成。安達シェフが本場で培った香港のテイストをベースに、林氏のセンスを生かした一皿一皿は、現地の力強さを残しながらも、洗練された美味しさにあふれています。
2.都会のど真ん中で味わう素材を生かしたネオ町中華
桃仙閣 東京(東京都/六本木駅)
父の後ろ姿を見、料理人を志したオーナーの林亮治氏。その父が始めて半世紀余りになる島根松江の実家「桃仙閣」を、町中華のスタンダードはそのままに、少しだけ上質な食空間にブラッシュアップしたのが、2020年、六本木にオープンした姉妹店「桃仙閣 東京」です。なるほどメニューを見れば、町中華の定番がずらり。とはいえ、手を抜かず丁寧な仕事を施すことで、どこにでもありそうでいてどこにもない味を生みだしています。
例えばチンジャオロース。林氏によれば「大切にしているのは均一であること」だそう。肉やピーマンの長さ・細さはもちろん、衣のつき加減、タレの絡み加減など全て均等になるように細心の注意を払っているとか。そうして生まれた料理は、一見、特別感はなくともどこかほっとする味わい。吉林省出身の女性点心師が作る点心も同様。コースもありますが基本はアラカルト。夜は、作りたての前菜と豊富に揃うワインを楽しめる使い勝手も良いネオ町中華です。
3.ベテランシェフの新境地。悠久の時を味わうモダン四川
飄香 広尾本店(東京都/広尾駅)
2005年のオープン以来、伝統の四川料理を提唱し続けてきたオーナーシェフの井桁良樹氏。中国本土でも武者修行するほど“老四川”に心醉する井桁シェフが、麻布十番の店を閉め、新たに始めたのが広尾「飄香」です。コンセプトは“伝統四川料理の未来を創る”。曰く「伝統料理をただなぞるだけではなく、基軸は四川伝統の調理法に置きつつも、今まで培ってきた経験や技術、知識を駆使し、日本の食材の持ち味をより引き出した『飄香』ならではの料理に昇華させていきたい」とのこと。
2万円台のコースには創意あふれる四川の皿が並びます。本来は濃厚なソースで煮込む四川の伝統料理「肝油海参」を軽やかに仕立て直した「随園」、楊貴妃がワインを好んで飲んでいたという史実に基づき、紹興酒ではなくオレンジワインで黒鮑(食材はその時々で変更)を煮込んだ「貴妃」など。シェフズテーブルのような劇場型の店内で、ワインと共に心ゆくまで味わいたいですね。
4.伝統と革新の味が光る。日本広東料理界の老舗
赤坂璃宮 銀座店(東京都/銀座駅)
不世出の料理人・譚彦彬シェフ。稀代の食いしん坊でもあった譚シェフが「赤坂璃宮」をオープンしたのは27年前のこと。その後、2004年には銀座にも支店を開業。年に幾度も香港を訪れ“香港の今”の味を舌に叩き込むと共に、現地の食材を買い付けては、自身のアレンジを加えつつ“璃宮”の味を作り上げてきました。
鮨屋の蒸し鮑にヒントを得た「活鮑の煮込み」、イタリアンの冷たいカッペリーニを食べて閃いた夏の「海鮮トマト冷麺」等々、譚シェフが生み出した新しい広東の味は枚挙にいとまがありません。また、焼き物名人・梁偉康氏の焼く焼味も、本場顔負けの美味しさ。なかでも「蜜汁叉焼」「豚バラ肉のクリスピー焼き」「乳鳩の丸揚げ」はぜひとも味わってみたい逸品です。急逝されてはや一年、その味と遺志を、現在は息子の譚澤明シェフがしっかりと受け継いでいます。
公式HP:https://rikyu.jp/ginza/index.html
どこも一度は味わっていただきたい美味しいお店ばかりです。
ぜひお店選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。
※こちらの記事は2024年10月28日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。