明治末期から昭和初期にかけて花街として栄えた東京・四谷荒木町。車力門通りの看板が見えると、美食街が始まる目印です。粋な芸者衆が行き交った街の風情の面影を残しつつ、今では、東京屈指のグルメ店が軒を連ねます。親しみがもてるこぢんまりとした店が多い中、今回はカウンター越しに作り手との食談義を交わしながら、口福を味わえる割烹の店を厳選しました。
目 次
1.“日本”をテーマにした食材とお酒を隠れ家のようなカウンターで楽しむ
荒木町 たつや(東京都/四谷三丁目駅)

名店「神楽坂 石かわ」の姉妹店「蓮」を経て独立した石山竜也氏が2017年にオープンした「荒木町 たつや」。路地奥に静かに佇む隠れ家のような店の扉を開けると、カウンターが7席。およそ100脚から選んだという心地よさ満点のイスに腰掛けて味わうのは“日本の食材と日本のお酒”をテーマに旬を堪能できるコースです。
長年の付き合いから特別に仕入れができる「香箱ガニ」は、ぜひ味わいたい逸品。丁寧にほぐした身と外子に内子、カニ味噌一杯を丸ごと満喫してください。日本をキーワードにしたお酒も多種取り揃えられています。特に、ワインは生産者の栽培段階から現地に足を運んで選んだもの。繊細な仕事が施された料理の数々とともに格別な時間が過ごせます。
2.和食文化の振興にも取り組む腕利き料理人が振る舞うスペシャリテの数々
鈴なり(東京都/四谷三丁目駅)
荒木町の奥まった小路に潜む、つい立ち寄りたくなるような店、「鈴なり」。侘び寂びをコンセプトにこだわった空間では「なだ万」で13年間修業した店主が腕を振るう、お値打ちの美食が待っています。東京・門前仲町でふぐ料理店を営む祖父に影響を受け、料理人を志した村田明彦氏。現在では、さまざまなメディアでも活躍し、2015年にはミラノ万博に和食の料理人として参加。そのほか、和食文化の振興にも取り組んでいます。
人気のスペシャリテ「生ウニの玉蒸し」は、たっぷりのウニと茶碗蒸しのようなクリーミーな舌触りをぜひ味わってほしい一品。ほかに、スペシャリテ「本マグロの黄身醤油」は、各地から厳選した日本酒との相性も抜群。大将との会話も弾むカウンター席で、お気に入りのひと皿を見つけてください。
3.1日3組限定のカウンターでゆったりと日本料理の真髄を味わう
荒木町 光樹(東京都/四谷三丁目駅)
旬の国産食材や天然の魚を使った丁寧な仕事が光る「荒木町 光樹」。新宿にある老舗日本料理店「車屋」で修業を積んだ岡野光樹氏が、2017年にオープン。タイミングも繊細に調節し、温度や香りまでもこだわった季節のコースで、四季を味わい尽くせます。
希望により、スッポンやフグを使った料理でワンランクアップも可能。選び抜かれた日本酒を、店主自作の酒器で一献傾けるのもまた一興。自ら点てた抹茶を振る舞うのも、優雅な締めです。店先に生ける花や床の間に飾る掛け軸など、季節を感じられる演出の中、1日3組限定のカウンターでゆったりと、目にも美しい八寸や丁寧に引いただしのお椀など、日本料理の真髄を味わえます。
荒木町には、肩肘張らずに本格的な日本料理を堪能できる割烹の店が並んでいます。料理のクオリティに比してどの店もお値段をおさえて提供しているので、リピーターが多いのもうなずけます。スタッフの目が行き届く落ち着いた空間で過ごす至福のひととき。おひとり様を歓迎してくれる店も多数ありますので、カウンターをはさんで店主と会話を楽しみながら旬の和食を満喫できる、自分だけの隠れ家を見つけてみませんか?
※こちらの記事は2024年12月05日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。