日本料理と言えば、伝統的な食材と技法に則って調理が行われるイメージがありますが、先人の偉大な足跡を踏襲しながらも、新しい料理を打ち出す「ネオ和食(進化型和食)」の人気が近年大きな高まりを見せ、老若男女問わず幅広い層が足を運んでいます。今回は東京都内にある、独創的な進化が止まらないネオ和食の名店を5軒、ご紹介いたします。
目 次
1.日本料理の枠を超える、新感覚の和洋折衷コース
NK(Nanpeidai chef’s table featuring Kakuland)(東京都/神楽坂駅)
日本料理の名店として名高い「石かわ」グループが、一風変わったお店を神楽坂にオープンしたというのは、2020年の大きなニュースとしてまだ記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。「NK(Nanpeidai chef’s table featuring Kakuland)」は、和食の料理人である角谷建人氏と、洋食のシェフとして名を馳せていた高橋七洋氏がタッグを組んで開業したお店です。
石畳が続く路地の奥、穏やかに街へ溶け込んでいる店構えの扉を開けると、木の温もりを感じるシックな内装が目に入ります。オープンキッチンの中央には焼き台が用意されており、臨場感あふれる調理を五感で楽しむ事ができます。
フレンチの定番メニューである、キャビアとサワークリームの組み合わせから着想を得た「薪の香りをつけたイクラと酢橘のクリーム」や、アフリカのミックススパイスであるラッセルハヌートを隠し味に用いた「甘鯛の松笠焼き」など、独創的な美味しさがたまりません。
2.日本全国を食べ歩いた店主がもてなす、唯一無二のおまかせ料理
美会(東京都/乃木坂駅)
世界のセレブリティのコーディネートや飲食店のコンサルティング、ライター活動などを通じて活躍していたビア氏。日本の食の多様性や技術力に魅せられ、全国各地を食べ歩き、ついに自身の料理を表現する場所として2020年6月に「美会」をオープンさせました。
繊細な日本料理と、ビア氏の出身であるタイ王国のスパイスとの取り合わせが、ユニークな美味しさを生み出す絶妙な塩梅となり、多くのゲストから高い評価を得ています。食材は、京野菜や日本全国から厳選された新鮮な魚介類、上質な和牛など、こだわりの素材がずらりと揃うのは、生産者や卸問屋と深いつながりを築き上げてきたビア氏だからこそ。
店では、和食をベースにタイのエッセンスを加えた、新しいフュージョンスタイルの料理が楽しめます。ヴィンテージワインや流通量の少ない希少な日本酒もいただけます。
3.余韻と奥行を大切に、豊かな四季に包まれる幸せ
日本料理 四四A2(東京都/広尾駅)
広尾の閑静な住宅街の中、シンプルで洗練された佇まいがどこかホッとする「日本料理 四四A2」。店内は穏やかで温かみのある調光、緩やかな曲線の椅子は座り心地が良く、癒されます。店主・福島良篤氏は、料亭や割烹の名店などで修業を重ね、満を持して独立しました。
春夏秋冬それぞれの季節に出会う事ができる、山海の幸の美味しさを最大限に引き出すという、日本料理の伝統を踏襲しつつも、常に固定概念にとらわれないメニューを供していく。その確かな技術に裏付けされた福島氏の料理は、インパクト重視の一品などではなく、多くのゲストの心と胃袋をつかむ、感嘆と美味しさに満ちた逸品に仕立てられています。
女将である奥様は、バーテンドレスの経験もあり、ゲストの気持ちに寄り添うような語り口と、的確なお酒の提案が魅力。料理とお酒を何倍にも楽しませてもらえる、見事なコンビネーションです。
4.日本の伝統を大切に、西洋の文化に学ぶ和魂洋才の隠れ家
麻布 淺井(東京都/六本木駅)
六本木からほど近く、都会の喧騒から離れた西麻布の裏路地にひっそりとお店を構える「麻布 淺井」。窓を全面的に取った店内は、昼間には心地の良い太陽の光が差し込む爽やかな雰囲気。夜は店内の照明を落とし、お洒落なペンダントライトがテーブルを照らす大人の雰囲気が漂い、昼と夜で表情を変えるスタイリッシュな空間になっています。
大理石を敷いたベージュとウッド調のナチュラルな設えは、気疲れせずリラックスして食事を堪能できます。食材の仕入れは旬を大切にし、ゲストに自信をもって提供できる素材のみを入荷。
オーナーシェフである浅井太一氏は、日本料理にイタリアンやフレンチのエッセンスを採り入れ、様々な技法を駆使した独創的な美味しさを提供する料理人として、多くのゲストを虜にしています。英語対応もOK、ベジタリアンメニューも予約時の相談で対応可能で、海外のゲストにも喜ばれています。
いかがでしたでしょうか。一口にネオ和食と言っても、多様な表現の違いが生まれます。それぞれ表現の仕方が違っても、より美味しい料理でゲストに幸せな時間を過ごしてほしい。この気持ちは料理人共通の思いで、私たちが繰り返しお店に足を運ぶ、大きな原動力になっているのでしょう。本日の食事も、皆様にとって幸せな時間となりますように。
※こちらの記事は2022年12月26日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。