中国料理のレストランというと、個室で会食といった接待や会合に利用されるイメージがありますが、気心の知れた相手と、あるいはおひとり様で、ハイエンドな中華の味を楽しむことができれば嬉しいですよね。そんな時は、カウンターがベストチョイス。音や香りなどをダイレクトに感じられる中国料理店のカウンターは、五感が満ちる食体験を可能にしてくれます。今回ご紹介する5軒は、カウンター席で気軽に食事をいただけるガストロノミックな中国料理店ばかりを厳選しました。
目 次
1.日本食材と広東技法を掛け合わせたハイブリッド中華
Ino Cantonese 日本橋 たかせ(東京都/人形町駅)

「マンダリン オリエンタル 東京」の「広東料理 センス」で初代料理長を7年務めたあと「カントニーズ 燕 ケン タカセ」「銀座中華たかせ」をオープンさせ、人気を博してきた、高瀬健一氏の新独立店「Ino Cantonese 日本橋 たかせ」。日本人の繊細な感性に合わせた優しい味付けが魅力です。広東や香港に50回以上通い詰め、技術や本場の味を突き詰めてきて辿り着いたのが「日本の食材と広東技法のハイブリッド料理」。
現地の再現ではなく、日本食材と広東技法を掛け合わせたカントニーズは、新しい発見に満ちています。おすすめは、シェフとの距離も近く、料理工程を目の当たりにできる迫力あるカウンター席。料理に合わせたワインや紹興酒、中国茶も各種取り揃え、スタッフの目が行き届くプライベートな空間で、独創的な中華をゆったり楽しむことができます。
2.特大フカヒレや干しアワビをダイナミックに楽しむ
銀座嘉禅(東京都/銀座駅)
「中国飯店グループ」や香港の「マンダリンオリエンタルホテルグループ」など、広東料理の名門で研鑽を積んだ料理長の簗田圭氏。ランチ時は飲茶、ディナーでは特大フカヒレや干しアワビなど、広東料理の醍醐味である海鮮料理を中心に、キッチン前のシェフズテーブルでダイナミックな演出を楽しむことができます。
簗田シェフがドラマティックに繰り出す料理のなかでも、特大フカヒレのトリュフ煮込みは他のどこにもないぐらい迫力満点のスペシャリテ。希少な限定紹興酒にぜひ合わせてみてはいかがでしょう。ワインは、広東料理と合わせやすいカリフォルニアやフランスのビンテージがメイン。ソムリエが提案するペアリングで、広東料理の魅力を再発見できます。
3.四川伝統の香り高い料理を味わえる、大人の隠れ家中華
Ji-Cube(東京都/六本木駅)
西麻布の閑静な住宅地にひっそりと溶け込む一軒家、四川菜店「Ji-Cube」。多彩なスパイスの香りに誘われて庭の小路を抜けると、1階はオープンキッチンのカウンター席、2階には静かな個室が用意されています。料理長の佐々友和氏は「赤坂 四川飯店」からスタートし「ファイヤーホール4000 麻布十番店」の料理長を経て「4000 Chinese Restaurant」にて、名料理人・菰田欣也氏の右腕として料理長に就任。2021年、独立して「Ji-Cube」をオープンするや、さっそく美食家を惹きつけています。
佐々氏が重視するのは、辛味にとどまらない無数の味わいを表現する、四川伝統の香り高い料理。中華の技術だけでなく、食材本来の味わいを活かす日本の感性も存分に発揮されています。四季折々の味覚を柔軟に引き出す中華の王道。臨場感あふれるカウンター席で、ゆったり満喫してみませんか。
4.割烹スタイルで本格広東料理の醍醐味を満喫
旬華 なか村(東京都/東日本橋駅)
隅田川側の閑静な一角にある広東料理店「旬華 なか村」。国内の星付きレストランで研鑽を積み、修業先の香港では家庭料理も学んだシェフ・中村俊徳氏が手掛ける、本格的かつ優しいひと皿が味えます。海鮮、牛・豚・鶏の肉類、季節に合わせた食材を使用した割烹形式にて提供されるのは、ゲストの希望に添う11~13品のコース。岡山県にある契約農家で育てられた新鮮野菜や果物、各地の銘柄豚などの厳選素材を使い、本場の広東料理に仕上げます。
さまざまな豚を使用した広東式叉焼、広東式の衣で揚げ、からすみと自家製山椒塩をかけた松花ピータンの他、フカヒレ、アワビ、冬虫夏草の蒸しスープなど。広東料理の醍醐味をカウンターでゆったり堪能できる一軒です。
5.独自のアイデアが光る、彩り豊かな四川料理
中国菜ARATA(東京都/人形町駅)
人形町駅から徒歩約3分、モダンな外観の「中国菜ARATA」。オープンキッチンを囲むようにコの字型のカウンターを構えた上質な空間です。オーナーシェフの中園健司氏は、六本木の「老四川 飄香(ピャオシャン)小院 六本木ヒルズ店」などで腕を磨いたのち、独立。毎朝豊洲市場で仕入れる厳選素材を使用し、四川料理の基本を大切にしながらも独自のアイデアが光るメニューは、彩りも豊かに印象づけます。
調味料にもこだわり、できる限り自家製を使用。修業先から受け継いだ、熱々の酸辣餡をかけて仕上げる人気の海鮮おこげは、迫力の音と香りで食欲が刺激されます。ソムリエが厳選する国産ワインと共にオリジナリティあふれる多彩な味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。
広東、香港、四川など、中国料理の真髄を味わえる個性あふれる店ばかりをご紹介しました。それぞれ、本場の修業経験を持ち、本格中華を学びながら自らの独創的な味を確立してきたシェフたちです。カウンター席でライブ感を楽しみながら、本格中華を五感で味わってみませんか。新しい中華の魅力を発見できるはずです。
※こちらの記事は2024年10月31日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。