1年のうち、2~4週間だけ市場に出るという希少な花山椒。山椒の花の部分を指し、食用としてさまざまな料理に使用されています。独特のピリッとした刺激や風味がクセになり、春になると花山椒を求めて料理屋には愛好家が押し寄せます。今回は、花山椒を使った料理に定評のある人気店を紹介します。
目 次
1.深みのある出汁に「花山椒の牛鍋」を合わせて春を満喫
日本料理 太月(東京都/表参道駅)
表参道駅から徒歩約5分、表通りの喧騒を避けた一本裏道にモダンな外観を見せる「日本料理 太月」。上質な設えながら明るく軽やかな雰囲気に満ちた店内には、カウンター8席と掘りごたつ席とテーブル席の個室が3室。肩肘張らず、本格派の日本料理が楽しめます。「玄冶店 濱田家」「割烹 喜作」などの名店で研鑽を積んだ店主の望月英雄氏が、水出しとお湯出し2種類のこぶ出汁、本枯節店血合い抜きの鰹節を使って毎日ていねいに引く自慢の出汁を活かした椀・煮物椀が絶品です。
四季の彩りを映した料理が並ぶコースが振る舞われる中、花山椒の牛鍋は、この季節に必ず店を訪れるという多くのファンが絶賛するメニュー。「花山椒を使う店が増えても、この店の花山椒ははずせない」と思わせる、特別なひと皿です。
2.「熊花山椒鍋」を求めてグルマンが集う、スタイリッシュな日本料理店
小熊(東京都/銀座駅)
名店がひしめく銀座5丁目のビル3階に店を構える「小熊」。繭の中に入ったかのような白一色がまぶしい店内に入ると目に飛び込んでくるのは、カーブを描く天井のもと洗練されたカウンター。希少価値の高い食材や、熟成技術を駆使したコースを求めて、多くのグルマンたちが集います。料理長の小岩浩高氏が繰り出す多彩な料理の中でも、特に愛されているのが、限定メニューの特製出汁を使った「熊花山椒鍋」。
ツキノワグマのロースの芳醇な脂身と赤身を、花山椒の香りと刺激が引き立てます。熟成させた魚のお造りや特殊製法の熟成和牛など、奥行きある味わいを追究した妙味は格別のもの。人間国宝作の器や希少な日本酒とともに、スタイリッシュな空間で日本料理を堪能できます。
3.季節感を楽しめる隠れ家割烹で春を味わう「花山椒の小鍋」
津の守坂 小柴(東京都/曙橋駅)
新宿・荒木町の静かな住宅街に潜む、隠れ家割烹「津の守坂 小柴」。店主・小柴武氏は、京都・広島・銀座の日本料理店で修業を重ね、神楽坂で料理長を務めたあとに独立し、炭火焼きの料理を中心に、新鮮な魚介や旬の野菜を豊富に使った割烹料理を提供しています。
目につくのは美しい桐の箱。鯛、太刀魚、カニ、スッポン、飛騨牛など、コース終盤を盛り上げる炭火焼きのネタが贅沢に並びます。また、季節感を楽しんでほしい、と小柴氏が力を注ぐのは、華やかな八寸。料理を引き立てるアンティークの器と相まって目と舌で味わえるひと皿です。冬が終わるとメニューに加わるのが、多くの常連に愛されている花山椒の小鍋。春のご馳走に舌鼓を打ちながら、個性豊かな日本酒を合わせて、この季節ならではの恵みを享受したいものです。
4.魚介も充実の肉割烹で「花山椒のしゃぶしゃぶ」を五感で堪能
肉割烹 上(東京都/六本木駅)
焼肉の激戦区、西麻布交差点のほど近くに位置する「うしごろ」グループの「肉割烹 上」。カウンター越しに繰り広げられる匠の技を眺めながら、香りと音を楽しみ、旬の滋味を「五感」で味わいます。特注窯で焼き上げる極みのステーキは、肉本来の旨みと味わいを持つ純但馬牛のみを使用した贅沢な一品。
肉割烹ながら魚介料理も充実しており、中でも赤身の肉に富山の蛍イカや北海道の毛ガニを合わせた独創的な小さな丼ぶりは、絶品です。季節の肉料理としてはずせないのは、常連が待ち焦がれる花山椒をたっぷり使ったしゃぶしゃぶ。至高の肉をじっくり噛み締めながら銘酒を傾ければ、最上を目指す「心粋」の意を込めた店名の心意気を感じるでしょう。
幻といわれるほど、花山椒は貴重な食材。グリーンの鮮やかさに加えて、香りも味も華やか。料理を一瞬にして春の味わいに変えてくれる多芸な食材です。料理人にとって花山椒をどう使って新しい皿を生み出すか、技術とセンスにかかっています。名店でいただく花山椒の料理は、どれも独創的なものばかり。短い期間しか楽しめない、料理人自慢の逸品を味わってみませんか。
※こちらの記事は2024年11月29日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。