食通が通う、東京のおすすめ鮨店5選

日本が誇る食文化の一つとして、鮨は外せません。ネタとシャリの絶妙なバランスから生まれる、鮨を味わった時のみに感じる幸福感は、国内のみならず、海外のグルマン達の心も虜にしています。
今回はフードライター・橋本恭一が通う、東京都内にあるおすすめの鮨店を5軒、ご紹介いたします。

1.美しく切れ味の良い、心が喜ぶネタとシャリの協奏曲

匠 達広(東京都/新宿御苑前駅)

喧騒に溢れた新宿の繁華街から少し離れた新宿御苑前、落ち着いた街並みの一角に佇む「匠 達広」。店内は、白い座席に眩いばかりに磨き上げられた白木のカウンターが清々しく、心地良い静けさがあります。
6名様まで利用が出来る完全個室も用意されており、会食や接待にも利用しやすくなっています。

店主・西達広氏は金沢の和食店や東京都内の鮨店で修業を重ね、2012年に独立。
食べ疲れや飽きのこない、交互に提供されるつまみと握りの卓抜したクオリティが、多くのゲストから支持されています。
仕入れは豊洲市場からだけではなく、北海道や九州、石川などから厳選の魚介類を直接入荷。

合わせるシャリは、西氏の出身地である石川県の「花みづき」を使用。豊かな自然の中で育てられた米は、ネタとのバランスが絶妙の塩梅になる、欠かす事の出来ない影の主役とも言えます。
すし酢には、京都にある飯尾醸造の富士酢の赤酢と米酢をブレンドして使用。米の旨味を引き出すまろやかな酸味に、西氏が惚れ込むのも納得です。

寿司

匠 達広

東京メトロ丸ノ内線 新宿御苑前駅 2番出口より徒歩3分

20,000円〜29,999円

2.握りもつまみも堪能したい、食道楽のオアシス

すし 岩瀬(東京都/新宿駅)

新宿駅西口の雑踏を抜けて東京都庁のあるエリアまで来ると、しっとりと落ち着いた雰囲気に。甲州街道から近い距離にありながら、閑静なロケーションにひっそりと店を構える「すし 岩瀬」。
店主・岩瀬健治氏の持ち味は、何と言っても握りとつまみの巧みなコンビネーション。

“つまみをいただいてから少し握りを味わい、またつまみからの握りを”という流れを繰り返していくスタイルのお店は、近年増えてきています。岩瀬氏の緩急の付け方が見事だと感じるのは、このコンビネーションの間に何度か人肌の温度でしじみの出汁や蛤の出汁を一口提供する点です。

ゲストの食べ進み具合を見ながら供されるのは、口の中をリフレッシュさせ、胃がほんのりと温まる出汁。
これでまた新鮮な気持ちで飲んで食べる事が出来る、素晴らしい工夫と心遣いが嬉しいです。
休日は多様な飲食店へ赴き知見を深め、新しいメニューも随時提供していくという熱心さにも脱帽です。

寿司

すし 岩瀬

京王新線 新宿駅 徒歩7分

20,000円〜29,999円

3.渋谷桜丘町に佇む、魚の可能性を追求し続ける大人の隠れ家

鮨 花おか(東京都/渋谷駅)

魚を楽しみたい人が集う場所を作りたい。店主・花岡広明氏がそんな思いから渋谷桜丘町に「鮨 花おか」の店を構えたのが2018年。多くの支持を集め、幅広い年齢のゲストが通い続けています。

花岡氏は「まだ知られていない魚の美味しさをもっと知ってもらいたい」という気持ちから、全国の漁港を巡る筋金入りの魚好き。東京ではあまり出回らないような珍しい魚も味わう事が出来ます。
また馴染みのある魚でも、産地の違いなどで驚くほどの違いを感じられる食べ比べの一品が供される事もあり、魚好きのゲストにはまさに天国で、花岡氏の魚への愛情が伝わってきます。

日本酒やワインなど、王道から希少な銘柄まで食材の魅力を引き立たせる事を意識したドリンクが揃う中でも、国産ワインとのマリアージュは特に好評で、ついつい杯数が多くなってしまう事でしょう。

寿司

鮨 花おか

JR線 渋谷駅 徒歩6分

12,000円〜14,999円

4.口の中が幸せになる、蒸しかまどで炊き上げたシャリの魅力

鮨 りんだ(東京都/目黒駅)

目黒不動尊の近くに店を構える、2014年の開業から人気の絶えない「鮨 りんだ」。
店内に入ると威勢のいい挨拶に出迎えられ、気分が高揚するような活気に満ち溢れています。
拘りのシャリは、蒸しかまどで炊き上げた米を使用。高温短時間で一気に炊き上げる事により、米がふっくらとした仕上がりになります。シャリにすると、ネタの美味しさをより引き立てる味わいに。

新鮮な旬の食材はそのままの味をシンプルに活かし、手間を加えてこそ本領が発揮される素材には丁寧に仕事を施す。一貫一貫が、店主・河野勇太氏の矜持を表すような逸品に仕立てられます。

「肩肘張らず、リラックスして楽しんでもらいたい」という思いが、その接客スタイルから伺えます。
好きなネタを伝えると、そのネタを優先して出してくれたり、時には驚きのアレンジが施された握りやつまみが供されたりする事も。何度でも訪れたいという気持ちになり、人気が絶えないのも頷けます。

寿司

鮨 りんだ

JR線 目黒駅 西口から徒歩10分

20,000円〜29,999円

5.国内外の食通が訪れたいと願う、伝説の名店

きよ田(東京都/銀座駅)

1963年に開業し、輝かしい歴史を刻みながら、今なお憧れの名店として銀座に店を構える「きよ田」。
神様とまで言われた初代店主・藤本繁蔵氏、本手返しという高度な握りの技法の名手としても名を馳せた2代目店主・新津武昭氏と、半世紀を越えて愛される伝説の名店の語るべきエピソードは数え切れません。
現在は、3代目店主・木村正氏から任された、4代目店主・吉沢範彦氏が看板を預かります。

信頼する仲卸と何十年にも渡って築き上げてきた信頼関係が「きよ田」だからこそ出来る仕入れを実現させます。
特に鮪には並々ならぬ情熱を注ぎ、最高級品の物を仕入れ、その厳しい目利きで納得のいく部分のみを贅沢に握りとして供しています。
暖簾をくぐった先には青い絨毯が敷かれ、期待と軽い興奮で背筋が伸びるような静謐な設え。

随筆家の白洲正子氏や陶芸家の岡部嶺男氏から寄贈されたという貴重な器も調度品の一つとして飾られており、料理に使用される器も年代物の逸品が多数。名店は、どこを取っても隙がありません。

寿司

きよ田

東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線 銀座駅 C2出口徒歩5分

50,000円〜

いかがでしたでしょうか。どれも信頼に裏付けられた高い人気を誇るお店ばかりです。
心からまた行きたい、そして自分の大切な人を連れて行きたいと思えるようなお店に出会えるという事は、美味しい食べ物が好きな人にとって最高のご褒美ではないでしょうか。
今回ご紹介した5軒が、皆様にとってもご褒美のお店となっていただけたら幸いです。

※こちらの記事は2023年04月20日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

橋本 恭一

美味しいお酒とお料理を求め続ける 都内屈指の胃袋&肝臓フル回転系ライター。 和洋中ジャンル問わず、王道の古典料理から イノベーティブ系のお料理にどんなお酒が合うかを ひたすらに追い求めており、食前食後などのバーの 楽しみ方も皆様にお伝えしてまいります。
【MY CHOICE】
・さいきん行ったお店:ナスキロ/サエキ飯店/赤坂 らいもん/鮨 みうら
・好きなお店:レストラン キエチュード/ラ クレリエール/私厨房 勇/トラットリア ダディーニ
・自分の会食で使うなら:くろ﨑/Les Chanterelles/日本料理 晴山/の弥七
・得意ジャンル:フレンチ/イタリアン/バー
・好きな食材:サルミソース/真鱈の白子/生トリ貝

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