グルメレポ「人形町 今半 東京ガーデンテラス紀尾井町店」。極上の黒毛和牛尽くしを堪能

東京メトロ永田町の駅から直結の「東京ガーデンテラス紀尾井町」。店舗はビルの外へ一旦出て、独立した別の入り口から入ります。アクセスが良く、駐車場もあるため、車での訪問も気兼ねなくできます。玄関を上がると靴を脱いで、まずはリラックス。旅館のように和やかで落ち着いた雰囲気の中、スタッフに部屋までご案内いただきます。

今回は「牛肉三昧コース」をいただきました。英語に訳すと「BEEF LOVER’S COURCE」!!海外からのお客様にも人気のコースだそうです。

最初の一皿は前菜「七運盛」。「ん」が二つ連なった食材(にんじん、インゲン、なんきん、ぎんなん、レンコン、寒天、キンカン)を7つ使い、運気が上昇するよう願いを込めて作られたそうです。(前菜は季節によって変わり、七運盛は2月だけのメニューです)

長皿の一番左は、なんきん(かぼちゃ)を蒸したものに、カツオの酒盗の餡をかけたもの。右から2つ目は銀杏をもち米と一緒に炊き、潰して片栗粉をはたき、揚げたもの。牛の佃煮、ワカサギの南蛮漬けなど、どれもお酒と一緒にちびちびといただきたいラインナップ(調理長はお酒が大好きと伺いました)。左端の高台付きの皿に乗ったのは、春野菜のお浸し。うるいとセリ、そして細かく刻んだフキノトウが隠し味のようにほんのり苦味を効かせています。

合わせるお酒は佐賀県の銘酒「鍋島」の特別純米です。ほわっとまろやかでふくよかな味わい。酒盗などの珍味ともよく合います。

2皿目はお造りとローストビーフの握り寿司の相盛り。お刺身は鯛と才巻海老(季節で変わります)。緑の小皿に入っているのは、細かく刻んだドライトマトと塩昆布をオリーブオイルで和えたもので、白身魚に付けて食べるとカルパッチョのような洋風の味わいを楽しめます。ローストビーフの握りは肉の旨味を楽しみたいので塩でシンプルに。

フキノトウ豆腐の揚げ出し。ふわふわの葛豆腐の中に、シャキシャキのフキノトウが散りばめられていて、食感の面白さと、噛むほどに広がるほろ苦さが春の味覚を感じさせます。

合わせるお酒は世界的にも評価が高く、数々の賞を受賞している山梨県、中央葡萄酒の「グリド甲州」。こちらのお店ではソムリエさんがここのワインに惚れ込み、ハウスワインとして常備されているそうです。透明感のある繊細な味わいは和食と合わせやすく、春野菜や鮎など、淡い苦味とマッチします。

黒毛和牛のミニ網焼ステーキです。その日によって部位は変わりますが、この日はサーロイン。焼き方は好みを伝えればそのように焼いてくれます。調理長おすすめはミディアムレア。程よい噛みごたえで香りよくとろけるような食感。肉の甘みが口の中に広がります。パクリと一口で食べやすいサイズであることも女性には嬉しい。

合わせるワインはカリフォルニア・ソノマバレーの「べッドロック・ワインズ」。約150年以上栽培が続けられているという伝説的な畑と、幼少時から才能を発揮したといわれる天才醸造家によって造られるワインです。ベリー系の果実味とスパイスっぽさがあり、黒毛和牛の甘みにしっくりと寄り添います。

いよいよメインのすき焼がやってきました。群馬県産の上ロースと、鳥取県産田村牛の肩ロースの2種類を食べ比べできます。田村牛は明治時代から家畜商を営む歴史を持つ生産者・田村正道氏が、但馬牛の血統を引き継ぐ和牛の雌のみを、天然の湧き水とこだわりの独自飼料で愛情込めて飼育したという、大変稀少なブランド牛です。きめの細かい綺麗な霜降り肉です。

スタッフの方が丁度良い加減に作ってくれますのでお任せしましょう。まずは上ロースから。牛脂を塗った鍋に割り下をしき、さっと炙るように火を通します。ほろほろとほぐれるような噛みごたえ、上品な肉の脂身に驚きます。これだけのお肉を存分にいただける至福たるや。

合わせるお酒は広島県の竹鶴の純米熟成酒「壺中有天」。このお酒は人形町今半のプライベートブランドで、ラベルの文字は先代の女将が書いたものだそう。すき焼のためだけに作られたお酒です。人形町今半のスタッフみんなで厳しいテイスティングを行い、数種類の古酒を絶妙な配合でブレンド。20年ほど行なっている取り組みだそうです。酸味、旨味など様々な要素を組み合わせ、非常に厚みと奥行きのあるお酒。すき焼の肉の旨味をしっかりと受け止めてくれる頼もしいお酒です。

次は待望の田村牛を。野菜も一緒に。お正月などのめでたい席に並ぶ金時にんじん、江戸野菜の千住葱、丸十(さつまいも)、春菊、焼き豆腐、しらたき、そして能登のしいたけ。田村牛はシルクのような繊細な舌触りで、脂の上品な旨味がすっと溶け、穏やかに胃に落ちていきます。

壺中有天を半分は燗にしていただきました。冷やでもすき焼とであれば十分に合うのですが、燗にするとふっくらと米の旨味が開いて、よりふくよかな味わいに。やはり燗映えするお酒です。

肉の旨味が残っている鍋の割り下の中に卵を割って、半熟のいり卵を作り、最後は卵かけご飯にして下さいました。人形町今半名物の「ふわたまご飯」です。ちょっと山椒をふるとピリリと大人の味。これについてはもう説明するまでもありません。肉の旨味が存分に沁みたふわふわの卵とご飯に悶絶。

香の物と赤出汁です。口をさっぱりとさせてくれます。

デザートは見た目にも可愛らしい、いちごミルクプリンとあんずのシャーベット。(季節で変わります)優しい甘さが体に染み渡ります。

お部屋は2名、4名、6名様用など個室が充実しており、プライバシーを重視したい会合などにも向いています。畳敷きに掘りこたつ式なので、周りに気を使わず、足も楽に寛げます。料理は粗相なく綺麗に食べられるよう箸でつまみ易かったり、食べやすいサイズだったりと細やかな配慮があり、接待などのちょっと堅い席でも安心していただけます。何よりスタッフの方々のホスピタリティ、スムーズで温かな心配りにほっと癒され、とても心地よい時間を過ごせました。

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すき焼き・しゃぶしゃぶ

人形町今半 東京ガーデンテラス紀尾井町店

東京メトロ半蔵門線・有楽町線・南北線 永田町駅 駅直結

15,000円〜19,999円

アクセス
住所: 東京都千代田区紀尾井町1-3 東京ガーデンテラス紀尾井町紀尾井テラス3F

※こちらの記事は2023年04月20日更新時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。

江澤 香織

ライター。旅、食、クラフト等を中心に、旅雑誌、食雑誌、航空会社会員誌等を始め、書籍、WEB、広告等でも活動。各地の生産者取材も多く、食の背景を探求することはライフワークの一つ。食べ物は甘いも辛いもくさいも酒もOK。特に興味があるのは発酵食品や地方の郷土料理、チョコレート。

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