【イベントレポート】世界文化遺産・仁和寺で楽しむ、トップクラスシェフが織りなす特別ディナー

去る、2023年12月8日(金)9日(土)。食や芸術を通して、京都と姉妹都市パリの国際的な文化交流の場を創出することを目的に「Cultural Dining Experience」が開催されました。今回のテーマは「京都×パリ×朱(あか)」。そして舞台は、世界文化遺産に登録されている京都を代表する寺院仁和寺。仁和寺の一般非公開ツアーや特別アートの観覧、そして京都に店舗を構えるトップシェフによる特別ディナーでゲストをもてなします。今回KIWAMINO編集部は、そんな特別すぎるイベントへ実際に参加。その様子をレポートいたします。

【イベント詳細】

12月8日(金)、9日(土)の各日10名限定で、観音堂をはじめとする仁和寺の重要文化財の一般非公開ツアーを実施。ツアー後には京都を代表するトップシェフが調理するフランスをイメージした精進料理や、カクテルのフリーフローが楽しめる特別ディナーが振る舞われました。

12月8日(金):上嶋 良太シェフ (なる屋/日本料理)
12月9日(土):中東 久雄シェフ(草喰なかひがし/日本料理)

【当日の流れ】
16:30:「NINNAJI JAXURY SPACE」へ集合
17:00~17:40:観音堂夜間貸切特別拝観を含む一般非公開ツアーへの参加、白書院にて特別アートの観覧
17:40~18:00:食堂(じきどう)にてアペリティフタイム
18:00~21:00:ディナー

「NINNAJI JAXURY SPACE」に集合、マルシェを散策

NINNAJI JAXURY SPACE
季節限定:栗かぼちゃと白味噌のポタージュと金時人参のポタージュ

ツアーの集合場所は、産学共同プロジェクト「JAXURY」が運営する「NINNAJI JAXURY SPACE」。江戸時代に建築された蔵をリノベーションした古民家カフェです。ほんもので心地よい“もの・こと・サービス”がコンセプトの空間では、イベントのための特別ドリンクなどが楽しめます。

カフェの目の前で実施されているマルシェでは、ヴィーガンチョコレートやナッツなど、ヴィーガンスイーツを販売しているお店や蜂蜜屋さん、カトラリー販売店などが出店していました。思い思いに楽しんだ後は、世界遺産・仁和寺内にある完全非公開の観音堂参拝へ向かいます。

国宝・重要文化財の一般非公開ツアーへ参加

観音堂外観
観音堂内観

マルシェを見学した後に向かったのは、通常完全非公開の観音堂の参拝ツアー。御本尊・千手観音菩薩立像、二十八部衆立像など全三十三体をはじめ、約370年前の色彩が残る障壁画などが閲覧できます。

観音堂内観

観音堂では、仁和寺の歴史をはじめ普段なかなか知ることのできない観音堂のエピソードをユーモア溢れるトークでご紹介いただきました。丁寧にわかりやすくガイドしてくださるので、歴史はあまり詳しくなくて、という方も楽しめます。

ライトアップされた美しい五重塔の景色を満喫

五重塔
仁王門

観音堂を見学した後は、歩いて白書院へ移動。道中にはライトアップされた五重塔や、二王門がお目見え!紅葉とのコントラストが美しい特別なひとときを満喫できます。この景色を望めるのは、貸切ツアーならでは。

白書院にて特別アートの観覧

白書院では、コンテンポラリーアートのアーティストであるManuela Karin Knaut氏によるアートを展示。Manuela氏が、京都や仁和寺へ訪れた印象を“朱”をテーマに描いた作品の数々を楽しめます。今回のイベントの為に描きおろした作品は、購入も可能。キュレーターを務めるAurélie Carlet氏が、来場するゲストにそれぞれの絵の背景や、アートに込められた思いを語ってくれました。

食堂にてアペリティフタイム

アートツアーの後は、食堂(じきどう)へ。アペリティフタイムの始まりです。お料理に合わせて日本酒やカクテルを振る舞ってくださったのは、OSAMU KOBAYASHI氏。まずは1726年創業、洛中最古の蔵元・松井酒造株式会社の「神蔵」をいただきます。ワイングラスに注がれると甘い香りがふんわり漂う心地よい一杯。微炭酸がのどごしが良く、そのままでもごくごく飲めちゃいます。

「なる屋」上嶋良太氏による精進料理コースを堪能

さて、お待ちかねのディナータイム。8日(金)は「なる屋」がお料理を振る舞います。お料理のテーマは“フランスをイメージした精進料理”。肉、魚、卵など動物性たんぱく質を一切使用しない全9品でもてなします。

「なる屋」の店主・上嶋良太氏は「和久傳」「南禅寺 瓢亭」などの京都老舗料亭にて研鑽を積み、ニューヨークの精進料理屋の料理長として活躍されていました。2014年に「なる屋」を開業して翌年には早くも世界的グルメガイドの星を獲得。現在は京都を代表する日本料理店の1つです。

食事は、ゲスト全員で1つの大きなテーブルを囲むターブルドットスタイルでいただきます。中央に位置する重厚なテーブルは、700年前の欅の古材で作られているそう。テーブルの上には仏手柑(ブッシュカン)という珍しい柑橘系のフルーツが可愛らしく並びます。少し不思議な形をしていますが、果実の形が手の指に似ており千手観音を思わせることから仏手柑と呼ばれるそうです。なんだか幸運が訪れそうなフルーツですね。

「食前しそジュース」から始まるコース。ジュースで胃の調子を整えたら、早速1品目が提供されます。

1品目は「先付 蒸し寿司 生麩 どんこ 蓮根 宇宙芋 人参 ぎんなん」。秋を感じるイチョウの葉っぱに囲まれた蒸し寿司に、ちらりと見えるピンクのご飯。テーマである“珠”が取り入れられています。

2品目は、柚子がふわっと香る「椀 丸大根 小松菜 金時人参 柚子」。昆布、松茸、マイタケ、そしてドライトマトなどから出汁を取った透き通る一杯です。金時人参の赤が美しい。

3品目「向付 千枚蕪 求肥 昆布 なの花オイル 胡麻 千代呂木」は、さっぱりとしたお漬物数種。マッシュルームソースの芳醇な香りが素敵。

4品目の「焼物 海老芋 ユリ根 山椒醤油 金柑」は、山椒醤油の爽やかなこと。1年寝かしたという百合根はほくほくで、甘味がしっかりしています。さくさくとした触感のクワイのチップスがまた良いアクセントに。

5品目の「おしのぎ 白和え こんにゃく 丸十」は、ぷちぷちとした触感のとんぶりがたっぷりかかった白和え。豆腐を3回、4回と滑らかにした白和えの下からちらりと見える、赤こんにゃくが美しいです。

6品目は「柚子釜むし 胡麻豆腐 小蕪 山葵」。蓋を開けた瞬間に部屋中に広がる柚子の香り。中にはもちもちの胡麻豆腐、そしてトリュフがたっぷり。なんとも贅沢な逸品です。

7品目の「炊合せ 白味噌仕立て 湯葉 しんじょ 葱 牛蒡」は、食材のハーモニーが生み出すコクが素晴らしい一品。しんじょは非常に軽やかでふわっとした触感。そこに白味噌のコクと季節の野菜が組み合わさると、絶妙なマリアージュが広がります。

8品目は「菜の花 むかご飯 赤だし」。鍋の蓋を開けると、青々とした菜の花がたっぷり。なんだか春を先取りした気分になります。

9品目は「栗のお菓子 干し柿 豆乳バター おうす」のデザート3種。モンブランは、目の前で絞りたてを楽しめます。シンプルに栗だけを使用したクリームは滑らかで、栗本来の優しい甘味が広がりました。干し柿には、豆乳バターが加わることで甘味にさらにコクがプラス。どちらもとっても上品な味わいでした。

普段精進料理を食べる機会があまりないなかったのですが「精進料理という料理ジャンルがこんなにも幅広く、様々な食材の旨味を感じられるんだ」という新しい発見と感動でいっぱいでした。お料理はどれも大将の繊細な技術が光る、趣向を凝らした逸品揃い。さらに、世界遺産を貸切にしていただくという特別すぎるシチュエーションも加わり、お腹も心もいっぱいなひとときでした。

イベントの思い出に花を添える素敵なお土産も

今回のイベントの思い出に、ご用意いただいたお土産がこちら。マルシェで販売されていたヴィーガンチョコレート、そしてコースでも使用されていた山椒醬油など。イベント終了後も、思い出に浸ることのできる素敵なお土産の数々です。

食や芸術を通して、京都と姉妹都市パリの国際的な文化交流の場を創出することを目的に開催された「Cultural Dining Experience」。世界遺産に登録されている仁和寺の一般非公開ツアーや特別アートの観覧、そして「なら屋」による特別ディナーなど盛りだくさん。希少すぎるイベントは、忘れられない思い出になること請け合いです。パリオリンピックを来年に控えた今、京都ではさらなる文化交流の場が創出されていく予定です。ぜひお見逃しなく!

【プロフィール】
主催:中東 篤志(One Rice One Soup 株式会社代表)
京都市出身。代々料亭を営んでいる家系に生まれる。12歳の頃から、父である「草喰なかひがし」の主人・中東久雄のもとで料理を学び始める。 2011年、ニューヨークにある精進料理店「嘉日(Kajitsu)」のオープニングスタッフとして就職。その後、副料理長とGMを兼務し、カウンター越しのお客様へ、日本食の意味を説明する喜びと楽しさを見出す。日本で育まれる飲食文化の海外発信に専念するために2016年、カリナリーディレクター(Culinary Director)としてOne Rice One Soup Inc.を米国に設立。2019年、One Rice One Soup株式会社を設立。 現在はニューヨークと京都を拠点に国内外問わず、数多くの日本食や日本酒のポップアップイベントの企画・運営、飲食店のプロデュースやコンサルティング、商品開発や食からの地域創生事業など、 幅広く活動中。

共催:Osamu Kobayashi(京都 小林酒店)
明治10年創業の焼津小林酒店の復活酒屋として、京都は四条河原町近く、花遊小路の一角に小林酒店を2023年12月19日開業。クラフトを中心としたラインナップでカクテルスタンド/酒販/DJブースを携えた「現代版の江戸時代の酒屋」がコンセプトの新しい街の酒屋さん。

Mika.A

外食が何よりの楽しみな編集部メンバーです。
野菜へのこだわりは人一倍!好きが高じて
ベジタリアン・フルーツアドバイザーの資格を取得しました。

・好きなお店:さ行/ボッテガ/鮨かなやま/銀座レカン/シンシア
・好きなジャンル:鮨・肉・フレンチ(正統派クラシック派)
・最近行ったフレンチ:シンシア/レストラン西洋銀座/マダム・トキ/シェ・イノ
・好きな食材:野菜全般/鴨/トリュフ

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