農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」の第13回授与式が2022年11月7日(月)に帝国ホテルで行われました。今回はその模様をご紹介します。
農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」とは
「東京は世界一、星付きレストランが多い都市」と言われるよう、日本のレストランに対する評価は非常に高く、そして豊かな食材が多様にあります。
こうした状況下の中、農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」は、日本の「食」と「食文化」等の素晴らしさや奥深さ、更にはその魅力に誇りとこだわりを持ち続ける料理人を顕彰する制度です。
生産者や食品企業等と「協働」し、地産地消や日本の食文化の普及をはじめとした様々な取組に尽力されている現役の料理人が顕彰の対象。このような料理人を顕彰することで、農林水産業、農山漁村、食品産業の発展を図るとともに、観光客の増加による地域の活性化や食品企業の海外展開を目指します。
第13回農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」授与式 受賞者一覧
ゴールド賞
左より)
大阪府大阪市・日本料理「本湖月(ほんこげつ)」穴見 秀生氏
神奈川県足柄下郡・フランス料理「オーベルジュオー・ミラドー」勝又 登氏
京都府京都市・日本料理「草喰(そうじき)なかひがし」中東 久雄氏
シルバー賞
左より)
東京都港区・フランス料理「レストランラフィネス」杉本 敬三氏
東京都中央区・フランス料理「GINZA TOTOKI」十時 亨氏
ブロンズ賞
左より)
福岡県北九州市・寿司「天寿し 京町店」天野 功氏
東京都新宿区・フランス料理「Restaurant Le Mange-tout」谷 昇氏
広島県広島市・フランス料理「hiroto」廣戸 良幸氏
奈良県奈良市・日本料理「白Tsukumo」西原 理人氏
長野県北佐久郡・フランス料理「restaurant toeda」戸枝 忠孝氏
東京都港区・イタリアン料理「RISTORANTE HONDA」本多 哲也氏
※当日欠席※
新潟県南魚沼市・日本料理「里山十帖」桑木野 恵子氏
岩手県遠野市・日本料理「とおの屋 要」佐々木 要太郎氏
それぞれの賞の代表者によるスピーチ
ゴールド賞:「草喰(そうじき)なかひがし」中東久雄氏
10年前に第3回の「料理マスターズ」を初めて受賞させていただき、推薦者の方々にはとても感謝しております。
美山のお百姓さんのところに伺った時「料理人は生産者の所に来たらいいものがもらえると思ってくるけれども、私たちは野菜じゃなくて土を作っている。いい土を作って種を撒いたら、太陽と雨が育ててくれる。それを手当するのが我々の仕事。野菜は収穫の時期が来たら台風や獣に食べられてしまう、そういった環境下で働いている」「未熟であったり、大きくなり過ぎたりしたものを、美味しく料理にしていくのが料理人の務めだ」と言われ、カルチャーショックを受けました。
いいものを使っていい料理をしたいというのは、わかるのですが、そういったお百姓さんの日々の努力というのをその時に感じたんです。「料理マスターズ」という精神とはこういったことなのかなと。
私も今年70歳を迎えましたが、食というのは人を良くすることです。だから私も生きうる限り、明日に命を繋ぐためにも食と向き合い続けたいと思います。
シルバー賞:「GINZA TOTOKI」十時 亨氏
45年間フランス料理を作っていますが、最近やっと料理人とはどういうことをしなくてはならないか、どういうことを伝えていかなくてはならないかというのが少しずつ分かり始めました。
私は料理を作る時にできうる限り第1産業の方と対面いたしまして、こういった方だからこそこんなにいい食材を作れるのだなと感じています。こういったことはスーパーなどでは感じることができません。四季を通して同じ食材が並び、食の季節感が全くなくなってきていますよね。
本当に旬を迎えたものというのは、1週間くらいしか美味しく食べることができません。それをいかに美味しくお客様に食べてもらうかというのが、我々の仕事だと感じています。
「料理マスターズ」というからには、ここに全国から選りすぐりの方が集まっていると思います。もっと知名度を高めていただいて、世界に対しても若い人に関してもこの取り組みを知ってもらい興味を持ってもらいたいです。
そうすれば全国から素晴らしい作り手や料理人が育ち、この業界も盛り上がってくれると期待しています。
ブロンズ賞:「Restaurant Le Mange-tout」谷 昇氏
私も70歳で、50数年この業界に立っておりまして、色々なことを考えます。
自分の料理人人生でこんなことが起こるとは全然思ってもみませんでした。これから私たちができること、それを自分の胸に手を当てて考える時が来ているのではないかなと感じています。
今ここにいらっしゃる素晴らしい諸先輩たちにもお力添えいただき、そして後に続く後輩と共に、我々が未来に向かってできることはないかを考え続けたいと思っています。
私は、常々自分も含め、周りにも謙虚さを忘れてはいけないと伝えています。今ここに立てているのは誰のおかげなのか、料理人は料理人だけでは料理はできません。
生産者の方々がいらっしゃらなければ、そしてその荷物を運んでくださる方々がいなければ、私たちは何もできない立場です。
そういったことも含め、常に謙虚にこれからのことを考えていくのが、我々が今後続けていかなくてはならないことだと感じています。
料理業界を牽引する、錚々たる料理人の方々が顔をそろえた第13回農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」授与式。業界全体のことを多方面から見ている料理人の方々がとてもかっこよく感じました。
※こちらの記事は2022年11月10日作成時点での情報になります。最新の情報は一休ガイドページをご確認ください。